発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

12.表現/オリジナリティ

Q.怒ったりするような声は、歌によくないですか。☆

A. 喉によくなく、発声上もよい声とはいえません。よい声でないからこそ、感情が伝わるわけです。ですから声優や役者、芸人などに問われる声というのは、トレーニングの理想ではなく、その延長上にあると、応用だと分けておく必要があります。 歌い手でもミ…

Q.理想的な歌唱表現と正しい発声法は両立するのでしょうか。☆

A. 歌唱表現が素晴らしいときには、発声法は正しくなっているとはいえます。しかし、発声法が正しいからといって、歌唱表現が最も素晴らしいとは限りません。最も素晴らしい歌唱表現が、発声法をゆがめていることはよくあります。 アスリートのファインプレ…

Q.歌が一本調子です。☆

A. これにはいろんな原因があり、いろんな直し方があります。まずは、出しやすい母音で歌ってみて、それにメリハリを大袈裟につけてみてください。歌詞がついている方が簡単と思うなら、うまく音の世界で成り立たせられていないのです。ヒット曲などでした…

Q.声を大きくすることと、演技や歌唱は両立しませんか。

A. それをどう見るかというのは、本番とどのように区別するかによります。うまく切り替えられるならよいのですが、それがうまくいかないときは、ステージが近いなら無理はしないように、場合によっては、中断しましょう。

Q.歌を評価するときに、楽譜に正しいかを重視すべきですか。☆

A. 歌を楽譜で判断するというのは、根本からおかしいのです。まして、その楽譜というのは、ポップスの場合は、作曲家が変えたのでなく、歌い手の歌から起こしているからです。もし作曲家の心をきちんと取るのであれば、必ずしもその歌い手の楽譜の通りにな…

Q.バランスのとれた状態で歌ってもあまり伝わりません。

A.何か足らないからトレーニングするわけです。バランスを取るということと伝わることは違います。きれいに声が出るのと説得力があるのとも違います。 調整とトレーニングが違うということは理解したほうがいいと思います。 トレーナーはバランスの崩れた…

Q.高いところが上手くなると表現力が高まりますか。

A.高いところを歌っていると練習している気分になります。うまく出せると高揚感があるのでしょう。表現力とはまた違う基準です。

Q.大きな声の方が伝わりますか。

A.声量は、基本です。聴こえなくては伝わりません。しかし、大きな声なら表現した気になりますが、必ずしもそうではありません。練習していくと、小さな声でも大きく表現できます。

Q.伝わる歌にしたいです。

A.歌詞を読んでみるとよいでしょう。できるだけ覚えてください。大きな声で読みます。そして感情が宿ってきて、伝えられたという感じが出るところまで頑張りましょう。 そうしたら、声量を変えたり、間を意識したりして、丁寧に読んでいってください。セリ…

Q.歌詞の詞の解釈を教えてください。

A. 詞には、意味、内容では、最低限の言葉しか述べられていません。それを膨らませてみるのです。完全に読める作品にする必要はないのですが、そこまでやっておくとよいでしょう。 歌になると、音楽的なイメージで補うことができます。その時に、詞の言葉と…

Q.声に表情をつけたいです。

A.声の音色について、考えてみてください。それには、ものまねなどがとてもよい勉強になると思います。いろんな人のいろんな声をたくさん聞いて楽しみながら試してみることです。

Q.声のテクニックを評価されるようになりたいです。

A.技術を使うのは、それでしかもたないケースの方が多いです。声のテクニックも同じです。ひけらかす必要はないし、それでアピールしないと伝わらないくらいなら大したことではありません。それで伝えられても、大したものにならないです。ものまねやボイパ…

Q.プロに聞くかアマチュアに聞くか。

A.私も一部のプロの人の固定観念、安定、保守路線よりは、アマチュアの発想、欲、生きているパワーに惹かれるときがあります。しかし、餅は餅屋です。長くやれている人には、やはり、それだけの理由や実力があるのです。

Q.作品について、人に聞くか、自分で決めるか迷います。

A.自分のキャリア、既得権、権威、専門にしがみついてしまいがちです。それを守ることに固執してはなりません。本質に入らず、表層ばかりでズレまくるので、そういう論議をするなら、他人の意見は参考にしても、一人でじっくり考えを深める方がよいでしょう。

Q.心で歌え、頭を切れと言われます。

A.頭で考えることは、脳を使うことなので、それは、心と同じというのが、科学者の現在の見方です。脳=心なのですが、現実には胸=心臓=心や、腹=丹田=(覚悟)=気、のように捉えた方がよいように思います。表現の力、想いや意気込み、注意深さ、集中力…

Q.声、ヴォイトレの魅力とは何でしょうか。[E:#x2606][E:#x2606][E:#x2606]

A.心身の支えが必要なので、頭よりも体で覚えることの一つです。そこで深められることです。声というものは、外に表れる現象として捉えられるので、わかりやすいでしょう。声帯の振動から共鳴して心身から時空へ自己を延長します。他人の鼓膜を振動させ伝…

Q.プロと専門家は違うのですか。

A.プロとは、職業という意味が強いと思います。普通は、それを収入源として生計を立てている人を指します。求道者のような人もいます。クリエイターとアーティスト、職人と芸術家など、いろいろと区別は考えられているようですが、私には関心ありません。

Q.日本では、懐メロがスタンダードナンバーにあたるのでしょうか。

A.懐メロは、NHKの番組の「懐かしのメロディ」から来たことばです。懐かしく思われるような、前に流行したような歌謡曲のことです。 この番組は、敗戦で軍歌が聞けなくなったために、戦前の懐かしいメロディを流していました。ですから、スタンダードナン…

Q.エバーグリーンとは、何ですか。

A.ジャズやポピュラー音楽で、長年にわたって受け継がれていく曲です。ロングセラーであり、スタンダードナンバーです。いわば、老若男女誰もが知っているナンバーといえます。

Q.音楽の成立には、どういう人が必要なのでしょう。

A.音楽は演奏する人、聞く人、研究批評する人がいて、初めて成立します。

Q.声のよさなどは音楽などではないという、なかにし礼さんの発言は、どう思いますか。

A. 確かに、奏者のいない楽器では音楽は生まれません。でも、音や声そのものも、音楽という捉え方もありましょう。

Q.自分を名乗るのに、どういう肩書が正しいのでしょうか。

A.正しいのではなく、ふさわしいかどうかです。 聞き手に合わせて名乗り方を変えることになってもよいと思います。

Q.美術や音楽がわかりません。

A.わかるにも、内容と価値(評価)とがあります。何なのかはわかるが、よさがわからないとしたらアートに接したことにはなりません。よさがわかる感じが足らなければ、よさの程度を上げるか、感じる感性を上げるかです。

Q.自己PRがうまくできません。

A.これまでのキャリア、価値観については、特別なものでなくてもかまいません。できる限り、メモしてみましょう。今や、普段の生活をオープンにすることでも自己PRができる時代なのです。伝えるメディア(発信力)を誰もが手にしたからです。

Q.セルフプロデュース力を高めたいです。

A.それには、ポジティブに考える、つまり、肯定的思考が必要です。たとえば、 ・自分を信じ、人に流されない ・皆に気に入られようとしない ・ネガティブなことを引きずらない ・金銭にこだわりすぎない ・かっこよくみられようとしない

Q.パワーではなく、省力の芸というのは、成り立ちますか。

A.噺家の名人には、声をけちって使わないことで、強調する方法もあります。 人は皆、精神の成熟と肉体の衰弱という問題にあたっていくのです。つまりは省力化、省エネで、どう芸に昇華させるのかが問われるのです。メリハリは欠かせないということです。

Q.音声は、ヴィジュアルに淘汰されませんか。

A.「ラジオドラマで耳を鍛える、何度聴いてもよいのは、音であり、そいつの声の音楽だ」というようなことを、小林秀雄は言っていました。 付言すると、彼は、誰もが知っていることをもっと深く考えることを学問と言ったのです。

Q.仕事とアートとどう区別しているのですか。

A.全てに万能であるかのことを求められるようになると、自分の素質や才、あるいは運命というもの、そして、何よりも限界も知っていくと思うのです。その限度をも知りつつ、現実と折り合いをつけていくのが仕事となります。 限界、限度まで目一杯行い、精一…

Q.感情表現は、自分の生の感情を切って表すのですか。

A.心地よいのを心地よく感じること、不快を不快に感じることが原点です。その上で、気持ちを切り替えたり、忘れること、快不快がなくとも、その表情を演出、つまり、表現できることが問われるのです。

Q.歌は、リアルな情景を読み込むものですか。

A.恋愛歌や逸歌が多いのは、相手がそこにいないからです。歌でコミュニケーションをするのです。