発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q141.私はセリフを言うときに自然に言おうとしているのですが、大げさに言う人も多くいます。いわゆる役者っぽいセリフの言い方は必要なのですか?

A:型にはまったような役者っぽいセリフの言い方というのは間違っていると思います。しかし、自然に言おうとするのも初期のトレーニングとしてはよいとはいえません。自然というのが、今の自分の見えている枠の中での自然であるから、これから枠を広げようというときにはその枠を超える努力も必要です。

以前シャンソンカンツォーネを習っていたときの先生に、はじめはカンツォーネから勉強することをすすめられました。シャンソンで語るように歌うのをはじめから意識してしまうと、四畳半の狭い世界から出られなくなる危険がある。だから、スケールの大きなカンツォーネで張って歌うことをやってみたほうがよいという理由です。

大きく張って声を出せればその対極にある自然な出し方もできるので、そのぶん表現の幅が広がります。表現するなら枠の中での自然を目指すより、枠を壊し、破れて飛び散ってしまってから、どう拾い集めていくかというように考えたほうがよいと思います。

観客には、セリフ自体の意味よりも、その役者から発される「気」のようなものと、それが現れた声のトーンにより伝わる要素が大きいのです。ですからセリフを言う以前に自分の内部で回っているものが大事です。(ゲスト役者:K)