発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3344.高音域が詰まってしまいます。

A.たまに見受けられるタイプですが、高音域をはっきりとした母音で発声しようとしすぎるタイプの人がいます。高音域は、パッサッジョを超えてアクートという域に達したとき、ことばをしっかりと発音できる域ではなくなってきます。
往年の大テノールで、Giusepope Di Stefano (ジュゼッペ・ディ・ステーファノ)という歌手がいました。ステーファノはアクートでことばをはっきりと発音しすぎようとする歌手で、若い頃は開いた声ながらも高音が出ていましたが、晩年の録音を聞くと高音域のクオリティがとても残念なことになっています。パッサッジョからアクートにかけては、口の中のフォームや響きのポジションを意識して、無機質な形を作り、息のスピードで表現をコントロールする必要があります。アクートで子音をはさんでことばを発音しなければならないときは、子音の発音される接着面を限りなく小さく鋭くするイメージも必要です。(♭∀)