A.明るい(キアーロ)な声と暗い(スクーロ)な声の見極めは非常に重要です。ただしこれがそのまま軽い声か重い声かの判別にはつながらないです。ヴェルディを歌う声はスクーロである程度の重みが必要です。オペラのドニゼッティやベッリーニなど、どの声種も歌うようなレパートリーの場合、スクーロな声のひとはその声なりに歌う必要があります。ちなみにキアーロでレッジェーロな声のひとは、発声についての勉強は非常にシンプルです。ただスクーロで重めの声は、楽に、しぜんに、では指導できません。勉強の段階で教師がこうした声の判別を理解するのには時間がかかります。歴史的な歌手のマスタークラスで、ディーヴァ(ディーヴォ)の偉大なる直観でそのひとの声種を断言することがありますが、こういうのは大例外です。問題外なのは、こうした判別をせず、指導の仕方に工夫がない場合です。こうした場合、生徒は地獄を見ます。
キアーロな生徒がパッサッジョの無理なメソードを押し付けられると声を失ってしまうし、その逆はもっと多いです。(♭∀)