発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3944. 呼吸法について改めて詳しく教えてください。

A.息を吸った時に、胃のある腹部上部ではなくてへその下、数センチにある箇所まで息を吸い込むようにイメージします。吸気と共に、へその下、下腹部が中心となって腹部に動きを感じるとよいです。ただし、下腹部につられて腹部上部(胃のある辺り)も、多少は膨らみます。これは肺が胸にあるので当然のことです。前部だけではなく、脇腹や背中側にも、息が入るようにイメージします。

実際の横隔膜が、前部だけではなく、前後左右に360度張り出すからです。吸気と共に、横隔膜がへその下まで下がりながら、前後左右に張り出していくとイメージすると分かりやすいでしょう。分かりにくい方は、雨傘をイメージして下さい。

柄の部分を背骨に見立て、傘を下向きに開くとイメージします。開く傘の中心点(柄が突き抜けている所)が、へその下の位置に来るようにイメージします。呼気時(息を吐く時)、その開いた傘=横隔膜が、すぐに弛緩して上がって来ないように、できるだけ低い位置で、前後左右への張り出しを維持します。その横隔膜の緊張は、呼気(吐く息)から吸気に移る瞬間に弛みますが、息を吸いながら、また張り出しの緊張感を強めます。実際の歌唱時には、吸気は一瞬で行われますので、一瞬で横隔膜を下げながら張り出し緊張させるとイメージする必要があります。

顔の前面の空間、丁度鼻の前辺りにあるに握りこぶし大の空気の塊を、ストーンと一瞬で、へその下の丹田の位置まで落とすとイメージすると、吸気が深く入り易くなります。呼吸の訓練は、歌うために必要な呼吸器官の鍛錬に欠かせませんし、正しい呼吸法なくしては、正しい発声はできません。ただし、実際に歌うにあたっては、ただ機械的な呼吸を繰り返すだけでは、声を正しくコントロールすることはできません。大切なことは、歌うための正しい自然な呼吸法を、習慣として無意識にできるようになるまで訓練して、歌う時には、音楽表現に集中することです。何事もしぜんに出来ている時は忘れているものです。

とことん練習した上で忘れる。それがいちばん良いのです。音楽表現には、呼吸、声のポジション、音色、音程、リズム、歌詞など、全てが含まれます。イメージによって、音楽と一体化すると、どうすればよいのか音楽が教えてくれます。

それに従って、過不足なく呼吸をすることができます。呼吸も音楽の一部であり、音楽表現そのものなのです。(♭∀)