A.「声立て」(起声、アタック、アインザッツ)とは、発声時の音の出はじめのことをいいます。これは、声門閉鎖と呼吸圧上昇とのタイミングによって、次の三つに区別されています。
1.「息を伴う声立て」(気息起声、H起声)・・・声門が閉じるより前から呼気流が強まり、音声に先立って気息音が聞こえます。
2.「硬い声立て」(硬起声)・・・声帯を押しつけるように、声門を強く閉じた状態から、強い呼気圧で声帯振動して発声が起こります。軽い咳払いやスタッカートの場合に表れます。(このような声門破裂音は[ ]の記号で表わされる)。
3.「柔らかい声立て」(柔起声)・・・声門閉鎖と呼気圧上昇がバランスよく整って、声帯振動が始まります。音声衰弱症の場合には柔起声ができなくなって硬起声を用いるようになることがあります。
発声の終わりは「止声」(アップザッツ)といい、声立て(アインザッツ)の場合と同じように3つの切り方があるのです。(♭)