発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. 横隔膜を鍛えるには、どんなトレーニングが効果的ですか。

. 横隔膜を鍛えるには、どんなトレーニングが効果的ですか。

 

. 横隔膜を鍛えるには、横隔膜を使うトレーニングを、適度な負荷をかけて実施すればよいだろうと思います。どんなときに横隔膜が使われるかというと、もちろん腹式呼吸をするときです。横隔膜は、膜と言っても膜ではなく、脱力しているとお椀を伏せたような形で肺と心臓の直下にある筋肉です。力が入って縮むと、平らに近くなり、肺と心臓の収まっているスペースが広がるため、肺に空気が入りますが、胃や肝臓などの臓器が下に押しやられるので、お腹がふくらむことになります。横隔膜を自覚はできなくても、息を吸ったときにお腹がふくらめば、横隔膜を使っているということです。このときに、お腹がふくらむのをベルトや帯などで、ふくらみ難くしながらがんばれば、横隔膜を鍛えることができるともいえます。あるいは、椅子などに座って前かがみになり、お腹だけで息を吸うようにして、少しがんばれば、帯やベルトがなくても、トレーニングできます。また、「丹田を練る」という健康法なども、悪くないでしょう。ただし、トレーニングが行き過ぎたり、偏ると、内臓下垂や筋断裂になることも少なくないので、無理をせず、一歩一歩、注意深く進めていくことが大切です。(♭Ξ)

 

. 私がライフワークのトレーニングで実践しているものをいくつか書きます。

1.このトレーニングは全て口は開けたままです。少し胸は高い位置で吸気でも呼気でも息の音が聞こえないように丁寧におこなうことが重要です。

5秒間かけて吸気→5秒間息を止める(口は開けたまま)→5秒間かけて呼気(音をさせない)

息を吐いたらすぐさま6秒間吸気がはじまり6秒息を止めて6秒かけて呼気です。これを10秒間ぐらいまで時間をのばしてみるといいと思います。

私の場合はメトロノームでテンポを刻みながらおこないます。基本は1分間に60回刻む(1秒)ペースで行いますがだんだん刻みのテンポをゆっくりしていき最終的には1分間に40回刻むペースでおこないます。

2.ゆっくりと息を吸っておもいっきりすばやくFの子音を発音するのも効果的です。

3.すばやいブレスの後Fの子音素早く5回、これを繰り返し4回ほど行ないます。

横隔膜は不随意筋なので自分の意志では動かせません。呼吸の訓練などで使い方や周辺の筋肉とともに刺激して使っていく以外にトレーニングはありません。 (♭Σ)

 

. 仰向けに寝て「ズー」といいながらゆっくり上半身だけ45度くらい起き上がります。その位置で何回も「ズ」を繰り返します。この時、声が揺れないようにすることがポイントです。また椅子に座り左足を上にして足を組みます。そして、右腕を左足の上に置き、右手をグーにして鳩尾に手をいれます。左手を口の前にあて、ロウソクの火を消すイメージで息を短く「フッ」と吹きます。それを何回もやります。右手 が鳩尾から抜けないようにすることが大事です。(♯Ω)

 

. 横隔膜を鍛えるというよりは、コントロールしやすくなると思う練習方法は、やはり呼吸法ですかね。私のお奨めは、息を時間をかけて吐き、吐ききったところで息を時間をかけて吸い、そして息を時間をかけて止める。そしてまた、時間をかけて息を吐いて・・・。の繰り返しを5セットから10セットぐらいづつやるのが良いと思います。この方法はとても効率的で、なおかつ心にも優しい練習方法だと考えます。歌うことに関して言えば、息を吸うこと、吐くこと、止めることをコントロールするのに、横隔膜が一番重要ですよね。特に、ロングフレーズで歌うためには、横隔膜をゆっくり動かすことで、肺から息がゆっくり流れないとすぐ息が流れてしまって、歌いきれなくなりますよね。呼吸法で、時間に付加をかけることで、筋トレと同じで、身体が自然にコントロールすることを覚えてくれれば実践でいかせるはずです。その上、呼吸を整えることで、精神にも穏やかな作用が働く気がします。気持ちが滅入っているときや、緊張状態の時にも、とっても役に立ちます。私は、特に感じていまして、一石二鳥の練習方法だと思います。 (♯Δ)

 

. どんなトレーニングが効果的なのかは人によって違うかとは思いますが、動きが激しくなくどなたでも行える方法をご紹介します。立てる人は姿勢よく立って、または姿勢よく椅子に座って「息をゆっくり8拍で吸い、ゆっくり息が続くまで吐く」を行います。吸うときの重要なポイントは、シェイクをストローで吸い上げるようにして(吸い上げるようにイメージをして)息を吸います。人は数を数えてただ息を吸うよりも、ものを食べる、飲むという行為(イメージ)を伴って吸うと横隔膜が下がりやすいようです。また吐くときのポイントは、お腹をへこませずに外へ押し広げるイメージで行うことです。できる限りギリギリまでへこませずに保ち、いよいよ息が終わりそうになったらお腹もへこんでよいので吐けるところまで息を吐きます。どちらも息の聞こえ方は「スー」です。吸うときに下げた横隔膜を、「お腹をへこませずに」吐くことで、下げた状態を維持する、さらには維持する時間をのばすことが期待できます。 (♯α)

 

. 呼吸や下半身の体感、上半身の脱力を意識しながら、いわゆる腹筋・背筋の上下運動は効果があると思います。この時あくまでも歌唱や台詞の発声を意識した上での体感を意識しながら、集中してやってください。横隔膜はお腹の中にある筋肉なので感じにくいというのが難点ですが、おそらく腰回り背筋あたりの筋肉に疲労を覚えると間違いないと思います。逆腹式呼吸を意識して、身体を上げるときに呼気、下げるときに吸気と緩めてください。胸喉は常に脱力を心がけてください。

あと鍛えるというのとはちょっと違うかもしれませんが、ドッグブレスは横隔膜の動きの性質を知るにはいいのかもしれません。吸気呼気少量の小さな上下運動から多量の大きな上下運動、早く遅くといろいろ試すと横隔膜のコントロール能力が増すと思います。

(♭Д)

 

. ゆっくり息を吐きます。お腹が引っ込むように吐いていきます。肋骨は徐々にしぼんでいく感じです。次にゆっくり息を吸います。息の音を立てずに、引っ込んだお腹を戻すようにすると、自然に息が入ってきます。肋骨が徐々に外側に広がっていくことを確認しながら呼吸します。息を吸ったら次はそのまま肋骨をキープさせます。吸ったり吐いたり、変に力を入れたりせずに、広がった肋骨をそのままキープするのです。

それから、「スッスッスー」と短く息を吐く練習をします。口の前に指を立てて、ろうそくの火を消すように、一気に息を吐きましょう。これを繰り返します。先ほどと同様に吐くときはお腹がへこみ、一旦戻って、また吐くときにへこむ、というのが繰り返されます。よくわからない場合は、体をくの字に曲げて、前かがみの状態でやってみましょう。そのとき、手は腰で、手のひらが背中側に来るようにすると、腹背筋が使えているかどうか確認できます。

このようなトレーニングを日ごろから積んでいくと、次第に筋肉が鍛えられて頑丈になってきます。 (♯Å)

 

. 横隔膜を鍛えるためには、腹式呼吸をすることです。横隔膜は肺の一番下にあるドーム型の膜です。腹式呼吸といっても実質、空気が出入りしているのは肺で、横隔膜をしっかり下げて肺にたくさん空気が入ることで、骨で囲まれていない箇所:肉が押し出された結果、お腹の前側、横、後ろ側(腰周り)まで膨れるのです。腹式呼吸をするために姿勢も大事です。立って行う場合、大地にどっしり根を張った樹木のように腰から下は重心を低くし、腰から上は太陽に向かうようなイメージを持つと良い姿勢になります。そして鼻からゆっくり深く、横隔膜を下に下げながら息を吸います。エレベーター(肺)が下に下がっていくようなイメージを持つとわかりやすいと思います。そして、吐くときは吸った時よりも時間をかけてストローで少しずつ吐くような感じで細くゆっくりと息を吐きます。この時、丹田(おへそから指3本ほど下)で息をコントロールするとやりやすいです。この呼吸を繰り返しすることで、横隔膜は鍛えられます。 (♯μ)

 

. 横隔膜というのは不随意筋であるため、横隔膜自体を動かすことはできません。周りの筋肉が作用して動かせるようになります。一番大事なのは、「横隔膜を下げなきゃ」などと意識しすぎずに、呼吸の練習を繰り返すことです。最初から「横隔膜」と意識しすぎてしまうと、ややもすると力みに変わってしまうからです。「腹式呼吸を心がけています」という人のブレスの状態を見ると、明らかにお腹を意識しすぎるあまり力みになっているだけで、ほとんど吸えていないことが多々あります。最初から理屈重視になってしまうと、このような弊害も考えられます。ですので、リラックスしていつものように呼吸をすることからはじめましょう。リラックスしながらですから、余分な力が入らない感覚を大事にしましょう。それに慣れてから、少しずつ吸ったり吐いたりの量を増やしていくとよいでしょう。大事なのは焦らないことです。ゆっくり穏やかに練習することを心がけましょう。焦ってしまうと力みやすくなります。力まない感覚というのを最も大事にしましょう。このように、無駄な力が入らない状態で呼吸を徐々に増やしていくことが、横隔膜及び呼吸に関する部位のトレーニングとして最も重要だと考えます。

(♭Я)

 

. 呼吸補助筋にアプローチして行くことも、補佐的に肺活量を増やすことに役立つと思います。

ではいくつか、呼吸補助筋のストレッチをご紹介しましょう。

・大胸筋のストレッチ 両手を胸の上に当てて、ゆっくり息を吸いながら、持ち上がる胸を手で押し下げるようにします。息を吐きながら、普通の姿勢に戻します。

・背中のストレッチ胸の前で手を組み、口からゆっくり息を吐きます。息を吐ききったら息を吸いながら、腕を前に伸ばし、背中を丸めていきます。息を充分に吸い背中を、丸めきったらゆっくり息を吐きながら元の姿勢に戻ります。

・体側のストレッチ 片手を頭の後ろに当てて、鼻からゆっくり息を吸います。吸いきったら、息をはきながら、頭に当てた側のひじを持ち上げて体側を伸ばします。息を吐ききったら、身体を元に戻します。

・息を吐くことを強調 両手を背中側で組み、ゆっくり息を吸いながら少し前かがみになります。ゆっくり息を吐きながら組んだ手を少し後方に引き上げながら身体をそらすようにして引っ張ります。息を吐ききったら元の位置に戻ります。 (♯β)