A. ハミングのレッスンメニュとしての使い方は、他のメニュと同じようにトレーナーによっていろいろだと思いますが、基本的には、鼻腔共鳴を上達させるために使われていると思います。以前の日本人は、邦楽(和製ポップスや歌謡曲などのことではなく、歌舞伎や能などの日本特有の声楽。)の影響も大きかったのか、今の日本人に比べると、かなり口腔共鳴に偏っていたようです。
大きな声を出すには、応援団の発声に見られるような(今は少し違うのかもしれません)、喉から絞り出した声を、大きな口を開けて、大きく響かせるというのが、一般的でした。確かにそういう口腔共鳴の使い方もありますが、口腔共鳴のよいところは、声色をさまざまに変化させやすいということなので、邦楽では重視されているように感じます。
鼻腔共鳴では、声色を変えることはほとんどできませんが、声を柔らかく響かせることができるのが、その長所でしょう。メニュとしてのハミングは、口を閉じて、声を鼻のあたりに響かせるように練習することですが、たまに間違えて鼻にこもった声になることがあるので、注意が必要です。(♭Ξ)
A.一番多い目的は共鳴の改善でしょうか。響きを上げる、音を明るくする、喉への負担を減らすという意味あいが大きいと思います。鼻腔共鳴、マスケラなどを重要視する指導者は多く用いるメニュだと思います。
また、違う意味でいうと声帯をしっかりと合わせるためにハミングを持ちいる指導者もいます。
私自身もトレーナー業を始めて5年近くは、レッスンの開始はまずハミングでした。しかしだんだん減っていき、現在では自分の練習でもレッスンでも使わなくなりましたね。使わない理由は、ハミングはうまくいできると喉への負担が減り、響きが増して音量の増加、倍音の増加、声域が広がるなどのいい効果も期待できるのですが、一人でわかった、できる気分で練習しつづけるとかえって悪い方向へいくことも多いのです。
ハミングは理解できる指導者のもとで徐々につかんだ方がいいです。理由としてはハミングはより、自分の中に響かせようとして喉を絞めて、窮屈な音を出しがちです。また正しいハミング、悪いハミングの差が自分では分かり辛いのが難点です。
また、指導者によって口を開けたハミング、口は開けるが舌はおろしておくハミング、口は開けるが舌は上の前歯につけておくハミング、口を閉じたハミング、唇は閉じるが、歯は開けておくハミングなどさまざまでどれが正しいとも言えないのがこれまでの経験から言えます。
ただ、これまでの経験でいけばどれが正しいのかもわからないことがあるのでいろいろ試してみるのもひとつだと思います。(♭Σ)
A.トレーニングにハミングを取り入れるときは、響きを捉える、息の流れを整える、力み過ぎを改善する、などの目的で行っています。例えば必要以上に息が漏れてしまい声に響きが乗らない人は、ハミングをして鼻からのみ息を吐くことで息漏れを修正して響きが集まりやすくなります。
逆に、喉で押してしまい息が流れず声が固い人、声が前に進みにくい人は、ハミングをすることで吐く息が増え(息を吐かざるを得なくなるので)、息の流れが出てきます。このように双方にとって「息の流れを整える」 ことに有効です。
やり方としては、無理のない中低音域で簡単な音型を使いゆっくりとしてテンポで行うのが安全です。通常は口を閉じますが、その際歯はかみ合わせず離して行う方が顎の力みも入らず、響きも捉えやすいです。口を閉じるとどうしても力みが生じる人は、口を軽く開けた状態で行ってください。
またハミングでも喉で押してしまう場合には、鼻筋に指を当てて、その指に響きを集めるように意識して行ってください。(♯α)
A.息が気管を通って声帯を通過することによって、左右の声帯が振動して声が出ます。その際、ハミングが一番喉に負担がかからず、そして副鼻腔に響いていることを確認しやすいため、ハミングのトレーニングをすることをお薦めします。
まず鼻から息を吐きます。このとき、確認のため、鼻の下(上唇の上)に人差し指を横にして置いてみましょう。この人差し指に「シュー」と風が当たって、その後に「ン~」とハミングになるように発声します。
先に息の風が当たらなければ、声帯を正しく息が通過していないことになりますし、また、喉や舌根に圧力をかけて力で押しているかもしれません。
この状態がよくわからない人は、「うん」や「ううん」など、自然に楽に言ってみましょう。顔の裏側が空洞になっているような感じで、鼻に抜ける感覚、顔全体に響いていることを確認します。このとき、響いている感覚がなく、喉がかゆいとかイガイガするようでしたら、またそれも間違った発声です。(♯Å)
A.声は息に乗って流れます。この息の流れを確認するために、ハミングのトレーニングが適しています。
口を閉じ、鼻から楽に息を吐きます。ため息の要領です。息が通過したのを確認したら、そのままM~と声を出します。そのときに、喉をこすったり、締め付けたりなどの違和感がないよう、あくまでもため息をつくような感覚で息を吐きます。
このハミングの状態から、口を開けるとMA(マ)になります。ハミングで流れた息を変えずに口だけを開くのです。顔面がモワッとするような、響いている感覚がつかめれば正しくハミングができています。ンマンマンマ・・・と同じ音で、口を開いたり閉じたりして、ハミングのポジションとマのポジションがずれないよう、腹筋で支えて声を出してみましょう。
次に、下降形のフレーズでハミングしてみましょう。(ミレド、ソファミレドなど)音が変わるときに、喉で変えずに、息の通過と腹筋の支えだけを頼りにします。これができるようになったら子音をつけて発声練習をしてみます。ハミングのラインと同じように発声できれば、正しい発声と言えるでしょう。(♯Å)
A.これは教わってきたメソッドによって解釈が分かれる内容だと思います。現状、自分の中でのハミングの目的は、「力まないで息が流せること」、「響きのポイントを狙いずぎずにあてること」の2点だと思います。
以前、教わった中に、「鼻に集めてハミングをしなさい」というのがありましたが、今ではそれは、自分にとっては合わないことであったと認識していますし、そのような教え方はしないようにしています。
ハミングの練習は、実は高度な練習方法です。初心者が行うと、先に述べた鼻声になったり、喉が上がって、力みすぎたりとよくないことばかりが起こります。自分がハミングの練習を行うときは、「息の流れが極めて悪い時の確認」、「鼻声になりそうな場合の確認」、「力まない状態で歌うための確認」、「いい部分を通ってきた声の響きの位置の最終確認」という場合に行うことが多いです。
いずれにせよ、ハミングの練習の本質を理解・実感し始めたのは、ごく最近のことですので、トレーナーの監修のもとで練習を行う以外、ご自身でやられるのは難しいと思い、初心者にはお勧めいたしません。(♭Я)
A.歌うときに、太くなっているとか、焦点をもってなどと言われたことはありませんか。慣れてくると、いい声が簡単に出るので、幅の広い声、大きい声を出してみたくなるかもしれません。しかし、プロの歌手は、声を効率よく遠くに届けるために、そして声のクオリティを高め、より響きの密の高い声を求めて、とても高いポジションを目指して訓練します。その訓練にとても役に立つのがハミングです。
口を閉じて、舌も口蓋にピタッとくつけて、いつもは開けてと言われている口腔内をきわめて狭くします。そこでハミングをすることで鼻の付け根、目に近いほうがピリピリと振動すると思います。さらに、頭蓋骨が丸いことを思い出し、声がこめかみのあたりに響くようにイメージしてみてください。
ハミングで単音で練習します。次に「m(ハミング)ーイーm」で音階練習します。次は「m-イーエーイーm」「m-イーエーアーエーイーm」などとバリエーションしていきます。必ずハミングで響いている位置を変えずに発声してください。一本の金の糸が鼻からすうっと伸びているようなイメージを思い描いてみましょう。
(♯β)
A.ハミングの練習には、「声帯を起こす」「声帯の粘膜に適度な潤いを与えて守る」「声の響きを感じる」という目的があると考えています。他にもあるかもしれませんが、私の場合はこの3つを感じています。
まず「声帯を起こす」ですが、スポーツをするときに準備体操をするように、声帯もいきなり使っては負担がかかってしまいます。ハミングによって声帯および口頭筋群のウォーミングアップができます。
また「声帯の粘膜に適度な潤いを与えて守る」ためには、できるだけ低い音域でロングトーンのハミングを数分続けます。そうすると、声帯粘膜が潤い乾燥から声帯を守ります。また、風邪の初期などにも気付いたら(外出中でも)低い音でハミングをするのはとても有効です。
最後に「声の響きを感じる」ですが、口を閉じて低い音域から声を出して行くと身体にびりびりと振動を感じると思います。まずは胸、鼻すじ、おでこ、頭のてっぺんと音域によって振動する場所が変わることを感じてみてください。口を開けて母音を作るときにもその響きを保ったまま発声します。口を閉じているハミングの状態は振動をより強く感じられます。(♯ё)
A.ハミングは唇を軽く閉じ、息の振動により発する音のことと思っています。実際の楽曲にもジャンルを問わず、時折ハミングが聞こえてくることがあります。
ハミングは、声を出す前の準備運動に最適です。スポーツでいうところのランニング、ストレッチに相当します。確かに準備運動なしにいきなりフルパワーでボールを投げたり、打ったりしますと怪我に繋がる恐れがあります。それと同じように発声練習なしでいきなりフルに声を出すと喉に負担がかかる、喉が壊れる可能性がかなり高いです。よって、ハミングをすることにより、声、体が起こすことが大事になります。
ハミングのやり方は、上下の唇を軽く合わせ、体を使ってゆっくり息を下から送り込みます。丹田~腰~肩甲骨~首~上顎という順です。息を送り込みましたらソファミレドの音階で「ん~」発します。音域を上げたり下げたりします。
ここで注意することは、唇及びその周辺に力を入れない、横に平べったい音ではなく、縦の響きを意識することです。力加減としましては、唇が振動し、唇、鼻の下辺りがムズムズする程度が丁度よいです。
以上のハミングのやり方により、声、体が起きてきます。特に午前中、デスクワークの後に声を発する前は最適です。(♭й)