発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. プロデュースについて学びたいです。

. プロデュースで一番大切なことは、需要と供給でしょうか。需要のないものをいくら供給しても、日の目を見なくてはちょっと残念です。ここで無意味と言わないのは、たとえ大々的に世に出ることはなくても、とても素晴らしいものができあがれば、多少は、意味があると思いたいからです。

人をプロデュースするとして、人にはどうしても、長所と短所があるものです。長所と需要がマッチすれば、こんなによいことはありません。長所をどんどん伸ばしていけば、需要はますます増え、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いになるかもしれません。しかし短所と需要が重なっていては、絶望的なので、まだ諦めがつくかもしれません。

問題になるのは、長所と短所が、両方とも需要と重なっているときです。せっかく長所が需要と重なっているので、短所をなんとか改善すれば、道が開けると誰でもわかるとき、どうしていくかです。通常は、簡単に短期間で改善しないのが、短所です。それを踏まえて何年も努力するのも、それぞれのポリシーなので止められませんが、やはり時間の限られた人生、別の解決策も考え、短所の改善はほどほどにしながら、長所をしっかり伸ばして、第三の道を探すのも悪くないのではないでしょうか。([E:#x266D]Ξ)

 

.基本的にはプレイヤーとプロデュース業というのは、違うジャンルだと思っています。物をつくる会社で考えるならば、歌い手は商品であり、商品を考えたり売り方を考えるのが会社ではプロジェクトのチームでありプロデュースの役割だと思います。商品を作る工場に近いのが稽古場でありレッスンであると思います。それぞれが分担制として作業を担うことでそれぞれが専門職として仕事ができると思います。

プレイヤーが思う作品と、売れる作品というのは決してイコールではありません。そこを見極めてプレイヤーを売れる作品にしていくのがプロデューサーの役割だと思います。しかし、現在ではSNSの発達などにより自己プロヂュースによって、お金を得る手段、名前を広める手段が多々あります。YouTubeでのネット配信、アプリやLINEなどでのパフォーマンス配信など方法は多岐にわたります。今後は、このような方法での活躍というのも有りな時代です。ただし、基本的にプロデュース業というのは専門職ですから、プレイヤーが自己プロデュースをするといろいろと難しい問題も出てくると思いますので自分に合った方法を検討する必要があると思います。([E:#x266D]Σ)

 

.セルフプロデュースということでは経験があります。

海外にいたときは、国籍が違う上にアジア人という決して有利ではない立場ですので、審査員だったり観客に少しでも目に留めてもらうためにはどうしたらよいかを試行錯誤する状況に置かれます。

そこで自分の声の特徴を活かし、その特徴(声が細い・高い・早く転がるなど)を存分に発揮できる選曲をして、同じ声種の人との差別化を図りました。他の人から見て難しい曲でも、私にとっては声の特徴にマッチしているので難しいほどに特徴が目立つので一石二鳥です。あなたがどのジャンルに関わるにしても、「その作品やアーティストの特徴(長所・短所どちらも)をよく知り、差別化を図る」ことは有効な方法のひとつだと思います。

([E:#x266F]α)

 

.プロデュースをするためには、さまざまな経験が必要になってくると思います。アウトプットも大事だと思いますが、プロデュースするためには、さまざまな公演を観たり聴いたりという経験を、普通の人の数倍行うことが大事だと思います。さまざまな経験と価値観のデータを持っていることが必要不可欠ではないでしょうか。時々天才肌の人もいますが、プロデュースするためには人の琴線に触れる作品を生み出さなければ、仕事として成り立たなくなると思います。先に述べたさまざまな公演を観たり聴いたりという経験のほか、視覚・聴覚・触覚などに関するあらゆる視点と価値観を磨くことが重要なのではないでしょうか。

売れたものをマネするだけでは、売れる作品は生まれないと思いますし、偶然ヒットしたとしてもロングセラーになることは難しいのではないでしょうか。本質の追求、人の心に響くもの、常にエモーショナルであり続けるためにはどうすればいいのかを問い続けることが必要なのではないかと思います。いいものを認め、素材を活かし、どのように魅せられるか。このあたりの目利きに優れている人、また、それを探求し続けられる人というのが大事なのではないかと、個人的には思います。([E:#x266D]Я)

 

.何といっても独自性が大事だと思います。自分にしか思いつかないこと、自分にしかできないこと、自分が本当にやりたいと思うことを実行しようとすると思わぬ力が湧いてきたり、周りの人々の興味も引きつけられます。私自身のことで言えば、アジアの民族楽器のミュージシャンとのつてが多かったことや、ヨーロッパ偏重な日本音楽界において、日本民俗音楽のようなもの、日本語での演奏に重きをおいて、特長づけたプログラムでコンサートを企画したりしていました。ある文学者に、「どんなに小さくてもいいから一つの文化を創り出すぐらいの気持ちで」やるように言われました。プログラムの内容を決め、キャストを決め、伴奏をどの楽器にするか決めていきます。次に会場をとり、稽古日程を組み、協賛を得られそうならば協力していただき、国や企業が資金を支援してくれるようなプログラムもあります。そしていかに多くの人を巻き込んでいけるか、今でしたらネットの力も大いに利用していけるのではないでしょうか。

([E:#x266F]β)

 

.もし、自分がプロデュースということを手掛けるとしたら、という観点で回答します。

自分と音楽の関係、人にとって音楽とは何かということを正解はないにしても自分の中でまずはっきりさせることが大切ではないかと思います。そういうものがないと人を動かすことはできないと思います。

その上で、音楽的センス、時代を見る目、作曲、アレンジ力、対人力、経済的管理能力、が必須となると思います。

プロデュースをパッケージとして学んでプロデュースができるようになるということではなく、あらゆる能力が備わった人に結果的にプロデュースという仕事ができると考えています。([E:#x266F]ё)

 

.アーティスト全員に必須の「自らをプロデュースする」ことについて書きます。

それはずばり、自分の強みと弱みを把握することです。書いてしまえば簡単ですが、これはとても難しいことです。

一般に人が何かを目指す場合、そのことが得意で「行ける!」と思うから目指すのだと思います。つまりはじめは自分の強みしか目に入りません。これが第一段階です。この段階では自分は優れていると考えているため、人の批判を謙虚に受けることができません。

第二段階は、逆に自分の弱みしか目に入らなくなります。なぜか。「優れているはずの自分があまり売れていない」という現実。はじめは環境のせいにしますが、そうとも言い切れないことに気づき始めるからです。折しもだいたいその頃「厳しい師」に出会います。(厳しい師に出会わないで一流になった人はいません。)優れた師は先を見て、本当に一流にするために教えるから厳しいのですが、レッスンでは何をやっても全否定、全否定。これを繰り返されるとやっと実力がないことに気づきます。「自分は何もできない」ことに気づきます。

そうしているうちに、それでも自分はこれとこれができる、こういう場合はこうやったらうまくいったという少ない成功体験をかき集めて自らの強みと弱みが分かるようになっていきます。ここがアーティストの本当のスタートです。([E:#x266D]∴)

 

.セルフプロデュースのお話をさせてもらいます。

セルフプロデュース、つまり自分をどう見せるか、ということです。

「あなたはどんな人ですか」「どんなキャラクターですか」「何が強みですか」「どこが他の人と違いますか」、まずはそのあたりを自己分析してみましょう。あなたがうんと若い人なら、まだそのあたりが明確でないかもしれません。では「どんな人になりたいですか」「人からどう見られたいですか」、簡単なことからで構わないのです。例えば見た目。初対面の人からは、声以前に見た目で判断されます。オーディションに何色の服を着ていきますか。もし眼鏡をかけているなら、サラリーマンみたいな眼鏡で大丈夫ですか。メイクや髪型はどうでしょうか。

人に選ばれる人は、細かいところを大切にしているように思います。

そして私が最も重要だと感じているのは「間違えないこと」です。選ぶ側からすると、音やセリフを間違ったり、集合時間や場所を間違える人はストレスです。一緒に仕事をしたくありません。だからそこだけは大事にしています。

もちろん、なによりも声なのは言うまでもないことです。しかし、まともに声を聴いてもらえる以前にふるい落とされないよう、できることはたくさんあると私は考えています。([E:#x266F]∂)