A. 今まであまり声を出していなかった人が、これまでの声の使用に加えて、ヴォイストレーニングを始めたら、疲れるのは当然です。ヴォイストレーニングで唯一、やっていけないことは、テンションがない状態で続けることです。勘も鈍って、集中力も欠け、喉の悪い状態でさらに使えば、おかしくなります。カラオケなどでは調子にのってやりすぎるから、喉を痛める人が多いのです。トレーニングはともかく、それ以外で、喉を無駄に疲れさせないことです。
1.トレーニングの時間を短くする。
2.一日のトレーニングを分ける。
3.一つのトレーニングが終わったらその分、休みを入れる。
トレーニングは、翌日、喉に疲れが残らない状態までがよいと判断してください。
疲れたら、すぐに喉を休ませましょう。次に疲れるまえに、喉を休ませられるようになりましょう。さらに疲れるような、無理な出し方、雑な出し方はやめましょう。[結果-自覚-修正]の繰り返しで、その判断レベルが高まるようにしましょう。真剣にやろうとしたら、喉を使うのをおのずとセーブするものです。(♭π)
A. 自主トレなどで喉がすぐに疲れるのは、大体はがんばり過ぎです。喉に痛みなどが起きなければ、疲れたら休めます。栄養補給をして自主トレを終了すれば、問題はないと思います。
ただ、自主トレのメニュが終わらないのに、喉が疲れてしまっては本末転倒なので、疲れるメニュを最後にしたり、強さの加減が可能なら、弱めにすることで解決しましょう。
声を出し続ける時間は、人間の集中力の問題なども考えると、疲れない程度に、1時間位の自主トレが一般的のようです。
自主トレの内容にもよりますが、テクニカルな練習で、もし、疲れないのなら、長時間でも問題ないかもしれません。ただ、感覚も鈍ってくると思うので、無理な長時間練習はお勧めしません。
声の筋力(喉周りやお腹周り)アップのトレーニングなどで、ほとんど声を出し続けている場合は、1時間程度がお勧めですが、喉や体などがまったく疲れない場合は、トレーニングとしては、イマイチかもしれません。
これはあくまで、声を出すことがメインで、曲の練習などで楽譜を読んだり、音源を聞いたりなどの時間が含まれると、どんどん時間は長くなります。
人によっては、毎日3~4時間位自主トレする人もいます。喉や体が、疲れ過ぎなければ問題はありません。
ただ、長時間練習には、盲点もあります。長時間練習することで、喉や体が適度に疲れて無理ができなくなり、無駄な力が抜けて、よい声が出る場合です。これでは、よい声が出るまでの、喉や体の無理な力を抜くための2~3時間が、ウォーミングアップになってしまっているので、時間の無駄といえます。喉や体の無理な力は、疲れさせることで抜くのではなく、感覚のコントロールで抜くようにしていくのが、本来の方法です。
音楽大学では、ピアノなどの楽器の人は、長いと1日に8時間も10時間も練習するのに、声楽科は、長くても2~3時間しか練習しないと笑われたものです。喉を守るためには、いたしかたありません。(♭Ξ)
A. 基本的には違和感がでた段階で休憩するとよいでしょう。30分~60分程度休んでその後、歌ってみても違和感がないようならまた歌ってみていいと思いますし、違和感があるようでしたらその日は歌うのをやめましょう。トレーニングのやめどきを知っているというのもとても大切なことです。オーバーワークは喉へのダメージを与えるだけでなく、よくない方向の発声へと向かってその状態を固定させてしまうリスクもとても高いです。自分にとっての休み方や回復の方法を知っている歌い手というのもプロの一つの条件かもしれません。
毎日ある一定のレベルをキープできるようなトレーニングというのが、とても大切です。ある一日だけ頑張るとか、毎日喉が疲れきるまで歌うというような極端な方法はおすすめできません。自分自身のモチベーションを保ちつつ、淡々とトレーニングを続けられるやり方を自分なりに考えてみることもとても重要です。
声をだす時間ということに関していうと基礎発声のレベルでも変化します。プロの場合、仕事としてある程度のレベルの曲数をこなせなければいけません。喉へのダメージをおさえつつより高いパフォーマンスになることが必要なので、プロになればなるほど自分自身のバロメーターをはっきりともっています。
発声のレベルがわからないので答えづらい部分はありますが、60分から90分ほどが喉が疲れすぎずに10~15曲ほどをある程度のレベルで歌えるようになるといいと思います。そこに至るまでは15分や30分で3~5曲ほどをていねいに歌うトレーニングを休憩を入れながらやりましょう。(♭Σ)
A. どのくらい声を出してよいかの基準は人それぞれなので、これは自分で探していくしかありません。喉がすぐに疲れると自覚があるのであれば、現状は30分程を目安にして、疲れを感じた時点でもう無理はしないことです。喉が疲労したまま練習を続けたところで、自己満足にはなったとしても、練習が身になることはほぼないと思ってください。
どちらかというと、どのくらいの声を出すかよりも、練習の仕方について考えた方がいいように思います。喉がすぐに疲れるのは、それ相応の負担をかけているからです。
目下のところは、喉が頑張ってしまう(力んでしまう)という状態を減らしていくことが必要です。大抵の場合、喉が疲れるのは息の流れが少ないことに起因しています。息が少ないのに声を出そうとするから喉に負担がくるのです。
自主練習では、息を吐く呼吸の練習から始めるようにしましょう。何もせずいきなり声を出すのと、先にしっかり息を吐いた後で声を出すのとでは体感が違ってきます。後者の方が確実に声が進みやすくなるので、喉への負担も減らしていけます。(♯α)
A. 習熟度合いによって、続けて声を出せる時間は変わってくると思います。私自身も、歌を始めた頃と、今とでは変化を感じています。
初心者の方は、効率的な声帯の使い方、体の使い方が身についてないと、無駄な力を入れてしまったり、疲労しやすかったりということが考えられます。まずは15分に一度休憩を入れてみてください。休憩を入れつつ、続けて練習する時間は2時間までかと思います。私の場合は2時間以上続けると次の日に疲労を持ち越すという実感があります。(学生の頃は1時間でしたが)
すぐに疲れるという方は、喉頭が上がりやすいというか、声帯がピシッと閉じていないといった傾向があります。喉頭を下げて、声帯からの息漏れを少なくしていくことで、疲労を少なくすることが可能です。呼吸のトレーニング、体で息を支えるトレーニングが必要になるでしょう。
日々のトレーニング、発声、呼吸の練習で基礎的な体力をつけつつ、無呼吸練習も役に立つでしょう。息を吸って止め、こらえた状態で横隔膜の拡張、体の支えを感じてみてください。まずは基本からおさえていきましょう。(♯β)
A. 個人差があると思いますので一概には言えませんが、出しすぎても、変に弱々しく出しても、どちらとも喉にとってはあまり好ましくない出し方になってしまうと思います。個人の裁量で行うよりも、トレーナーによる管理のもとで自分のペースを見つけていくのがよいのではないかと思います。
どうしても個人でやらなければならない場合、現在がどのような状況にあるのかで、まずは判断することになると思います。例えば、叫びすぎてしまうようなパターンの場合であれば、叫ばないことを第一目標としつつ、その上で遠くの相手に届けられるような声をめざしてみてはいかがでしょうか。
次に弱々しすぎる声や、息漏れ声のようなパターンの場合、発音直前に息を吐きすぎないことや、力まず母音の輪郭をくっきり出せるような状態をめざしてみてはいかがでしょうか。
いずれにせよ、聞き手に届く声でなければ弱すぎますし、力み過ぎても負荷をかけすぎるだけなので、自分の中で試行錯誤して、これらのバランスが取れるところを見つけていけるとよいですね。(♭Я)
A. 疲れたら休んだ方がいい、というのが一般的な答えでしょう。しかし、ある程度無理をしないと、深い声を得ることは難しいのではないでしょうか。
修行中の若いお坊さんが親戚の法事の読経に来ていたことがあります。素っ頓狂なほどの大声で、喉をつぶしながら全力でお経を読んでいました。「師にこうしろと言われているのです。一度、喉をつぶさないとだめなのだそうです。」これは、現代では不適切でしょうし、その人の素質にもよるのでしょうが、トレーナーの私にはいろいろ考えさせられた出来事でした。
喉がすぐに疲れる方は、体力自体がないことが多いです。声はフィジカルなものです。何でもよいので体のトレーニングをしてみてください。スポーツを本格的にしてみることは、声にはとてもよいことです。みんなで楽しく、ではなくて、本格的に、です。本当にそのスポーツのプロになるくらい鍛えてみてください。
一分間、全力で笑うトレーニングも効果的です。ストレス発散にもなります。喉には負担はあまりないでしょう。
声の基礎は息吐きトレーニングです。喉は疲れずにハードなトレーニングができます。sで強めに息を吐いてください。できるだけ長く強く吐けるようになりましょう。(♭∴)
A. 個人差の大きい問題です。一日中喋りまくっても疲れない人もいれば、10分歌っただけで声がカサカサになる人もいます。大前提として、喉だけに頼らず、息と筋肉のアシストをよく使って声をだすことを心掛けましょう。
一つの目安としては、声を酷使した翌々日によい状態に戻っていれば問題ない、ということです。この考え方はオペラの公演スケジュールにも反映されていて、最終リハーサルを含め、同じ歌手が二日続けて歌うことのないように配慮されています。
ただし、これはあくまでもオペラ(マイクなしで2,000人規模のホールで歌う)での話で、ミュージカルや演劇、あるいはライブツアーなどでは毎日、ときには一日2公演をこなすこともあります。オペラほどではないとはいえ、こういった喉を酷使する職業の方々は、一晩寝たら回復できる声の使い方を計算しています。
学校の先生や営業、接客業に毎日従事される方々も、翌日には回復していることを原則とするといいと思います。週末だけ歌を楽しんでいて平日はエンジニアです、という方なら、回復に中一日かける考え方で大胆に歌ってもいいでしょう。でも2~3日回復しない喉の使い方は間違いで、危険です。(♯∂)