発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.録音すると変な声になるのは、どうしてなのでしょうか。

A. 自分の声は、空気中に出されて自分の耳の鼓膜を通して聞いている声と、自分の身体を通じて内耳から入る声と、二つ同時に聞いています。しかし、他人が聞いている自分の声は、空気中を伝わった声だけです。つまり、自分で聞いている自分の声と第三者が聞いている自分の声とは、異なっているのです。

ヴォイスレコーダーで再生したあなたの声は、空気中を伝わったもので録音されていますので、ふだん、あなたの声として他の人が聞いている声に近い声です。あなたにとっては、聞き慣れない声で、やや高くて変な感じがするものですが、慣れていないのです。声は他の人がどのように聞くかということが問われるのですから、録音された声がどうなのかが、あなたの思い込みの声のイメージよりも重要なのです。

ヴォイスレコーダーでもマイクを通し、あとで聞くことになりますから、本当の自分の声をリアルタイムで、自分で聞くことはできません。そこで第三者に聞いて、判断してもらうとよいのです。

録った他の人の声をあなたが聞けば、その人とわかるでしょう。そのくらいに、あなたの声も正しく録れているのです。自分の声だけが変という人もいますが、他の人の声も、その人がプロでもなければ、それなりに変な声ですから、ご安心ください。(♭π)

 

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A. 自分の耳に聞こえる声は、実際に、外に出ている音と、骨伝導などで耳に伝わる音がミックスされています。録音された声は、骨伝導などで伝わる要素は含まれていないので、いつも聞きなれている自分の声から、骨伝導などの要素が抜けて、少し高めの、ややもすると間抜けな感じに聞こえるのが、普通のようです。しかし、実際にまわりの人に聞こえる声は、録音した声に近いです。昔は、録音技術もイマイチだったので、友達の歌を録音して聞くと、少し違っていて、「やはり違う」と、無駄な抵抗をしたものです。今は録音技術も改善されているので、自分の録音した声を友人などに聞かせると、「いつもより少しよい」とか、「あまり変わらない」とか、つまり、いつもの自分の声に、まあまあ近いという返答が返ってきます。

ですから、基準とするべきは録音された声です。それを元に、自分のめざす声を作り上げていかなければなりません。少し面倒ではありますが、自分の自主トレなどの声を録音して、録音した声に慣れていくことが大切です。特に、声色を考える上では、重要になります。

ここで注意しなければいけないのは、声の響きを考える上では、録音された声に注目するよりも、実際に出ている声に、オンタイムで耳を傾けることが、より重要だということを、忘れないようにしましょう。(♭Ξ)

 

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A. 誰しもが自分で声を出しているときに聞いている自分の声と、録音した自分の声とでは違和感があるかと思います。どんなに素晴らしい声の人でもプロの人でも同じように感じるでしょう。自分の声は自分の鼓膜の振動と自分の骨の振動で自分自身は聞いています。録音はその人の骨振動がない状態の声をマイクでひろうので聞こえ方に誤差が生じます。変な声というよりも自分が聞いている自分の声とのギャップは大きいです。

しかし、第三者が聞いている声は録音された声の方です。しかし声に含まれるさまざまな共鳴の部分は録音では収録しきれないというのが個人的見解です。生で聞いている音ほど声の豊かさが録音されていない。しかし逆もあって、自分ではイマイチだったときでも録音や聞き手の評価が自分のイメージよりも高いときもあります。

その意味では自分自身での声の判断も、録音での判断も常に正しいとは言えないということでしょうか。

私自身が録音で一番助けられる部分は音程かもしれません。音程の狂いは録音はそのままを教えてくれます。そして譜読みの段階で間違っているときにも教えてくれますが、発声のバランスをくずした結果音程がうまくいっていないことを確認することができます。音程の狂いは発声の狂い。これは個人的にとても気をつけているところです。

その意味で自分自身の発声のバランスなどの確認をおこなうことは録音でもできると思います。(♭Σ)

 

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A. オンタイムで聞く自分の声と、録音で聞く自分の声とでは、それぞれ耳の聞き方が異なるからです。まずオンタイムで聞く自分の声は、内側で聞こえる内耳からの声と、外に出た声を外耳から聞く声の両方を同時に聞き、内耳・外耳の聞こえ方の総合した声を「自分の声」と認識しています。一方で録音で聞く自分の声は、外耳から聞く声のみなのです。このように内耳からの声が欠落した状態で自分の声を聞くことで、普段の聞き慣れた声とは違うと感じるのです。

実際には、録音すると変な声になるのではありません。単に聞こえ方が変わるということだけです。他人があなたの声を聞く分には、オンタイムでも録音でもさほど大差なく「あなたの声」と認識します。普段の自主練習やレッスンを録音するメリットはいろいろあるのでおすすめですが、上記のような違いがあるため、もしよい声が出たりうまく歌えた際に、その録音した声に寄せる(近づける)ことはしてはいけません。感覚のバランスがおかしくなってしまいます。あくまでもオンタイムで声を出した(歌った)ときの体感や声の聞こえ方を基準にしてください。(♯α)

 

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A.「声」というものが、他の楽器と異なる最大の点は、「楽器とプレーヤーが一体化している」ということです。そのため、他の楽器の場合は客観的に音をとらえることができますが、声の場合は、骨や共鳴空間を伝わって自分の中で振動して聞こえる音というのも多く含まれてしまいます。それ故に、自分自身で出しながら聞いている声というのと、録音などをしたときに記録されている声とでは聞こえ方に差が出てしまいます。

録音すると自分の声が変な声に聞こえるかもしれませんが、実際に相手に聞こえている声というのは、どちらかといえば、録音されている声というのが近いと思います(耳で聞こえる音と機材の録音できる音は、多少なりとも差が生じるので、完全に同じとは言い切れませんが)。自分の声と認識していた声が、録音された状態だと別物に感じてショックを受ける人がいるかもしれません。しかし、相手に届いている声というのは、自分自身では出しながら聞くことはできないので、客観的な視点を受け入れられるとよいですね。(♭Я)

 

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A. 自分の声を聞くときは、外耳から聞こえる音に加えて自分が発した音が頭蓋骨に響いたのを内耳でとらえて聞いているのです。自分の身体の中を通して聞いているわけです。録音した音というのは、つまり他人が外耳で聞こえる音のみ、となりますので、変な声、いつもと違うように感じるわけです。

自分の本当の声を正確にオンタイムで聞くことはできないので、歌を生業にする人は必ず他人に聞いてもらいチェックする必要があるのです。歌っている最中に自分の声を聞こうとするとおかしなことになってしまいます。他人に聞こえている音と自分に聞こえている音が異なるわけですから。歌手になる過程で、自分の声を聞かないように、という注意はよくされることです。それより、他人に声を聞いてもらい、よしとされたときに、自分の身体が(口の開け方、軟口蓋のあげ方、頬の感覚、眉毛、胸の開きなど)どんなふうに働いていたかを観察することが有益だと思います。(♯β)

 

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A. 変な声ではなく、それがあなたの声です。自分の出した声を聞いているのは、あなた以外の人です。自分で聞く自分の声は、自分の身体の中を通るので、他人の聞く声と違って聞こえるのです。録音の声は、ほぼ正確にあなたの「ほかの人が聞いている」声を再現していると考えてください。

録音した声をよく聞いてみてください。そんなに変な声ですか。それがあなた以外が聞く声です。慣れていないだけで、それなりに魅力的な声ではないですか。

ヴォイストレーニングは、自分の声が嫌いでは始められません。あなたが生きてきた声、あなただけにしか発することのできない声。それを全肯定し、認めてあげるところから始まります。あなたにとって、今のあなたの声は、世界で一番よい声なのです。小さい声かもしれません。でもそれは、かわいい声だとまわりから愛された声だったかもしれません。滑舌が悪いかもしれません。でもそれは、舌っ足らずでかわいいね、とまわりから大切にされた声だったかもしれません。

世界で一つのあなたの声。そこからトレーニングは始まります。トレーニングが始まると、今度は厳しい自己評価が必要になってきます。全然進まないトレーニングに、遅い成長。焦るようになるかもしれません。トレーナーと相談しながら、一歩ずつ進めていきましょう。(♭∴)

 

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A. 確かに、自分の声の録音は変な声に聞こえてびっくりしますよね。レコーダーの性能が悪いんじゃないかと思ってしまいます。でも残念ながらそれこそが他人が聞いているあなたの声です。疑うなら同じ機械で他の人の声を録音して聞いてみてください。きっと普段通りのその人の声が聞こえてくるはずです。機械のせいではありません、ショックですよね。

しかし同じように感じている人はたくさんいます。ほぼすべての人が感じていることかもしれません。「なぜこんなに高くて薄っぺらい声なのか」と。

これは、声を発する本人に限っては2種類の振動を合わせて聞いているからです。

音は空気の伝導で伝わります。周囲の物音や他人の声に関しては、耳がこの気導音をキャッチして聞いています。ところが発声者本人には、発声時に頭蓋骨などが振動して生じる骨導音も聞こえます。つまり本人だけは気導音+骨導音で自分の声を聞いているわけです。また、骨導音は低音で起こりやすいため、自分の声は落ち着いたよい声に聞こえます。ところが録音は空導音のみを拾っているため、ペラペラの声に驚かされるのです。

当然、他人が聞いているあなたの声は録音と同じ気導音のみです。

いろいろな人とお話ししていると「私の声は低いから~」とおっしゃる人が多いのですが、日本人、とりわけ女性は高い声の人がほとんどです。自認と実際の声とのギャップに驚かされます。しっかり低い音域から声を作る必要があるのは、このためです。(♯∂)