発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

04.発音/言葉

Q.なぜ母音のアは、母音の体系表の下の真ん中に置いてあるのですか。

A.母音の表では、口の開きの小さい母音は上に、大きな母音は下になるように配置しています。左は舌の盛り上がる位置が前、右は後ろを表します。 母音のアについては、口の開きが大きいだけで、盛り上がる位置で区別されなければいけないのではないのです。…

Q.音によって、語感が変わるのですね。

A.たとえば「~から」は口蓋音の「か」、「~ので」は鼻音の「の」が使われているので、固いイメージと柔らかいイメージ、公式っぽいのと私的なもの、つまり、心理的な距離の違いになります。

Q.オノマトペに音が多いのは、なぜですか。

A.自然音や物理的な音と破裂音、摩擦音、共鳴音が結びつくのは、しぜんなことです。特に、日本語では、たくさんの音と意味が結びついて語ができています。

Q.英語にも、語感のようにスペルと意味のつながりがあるものはありますか。

A.flは動く光、glは動かない光、slは湿っていてすべる、krはうるさい音の語頭につく子音で、オノマトペのような語感をもちます。

Q.日本語にオノマトペが多い理由は、何ですか。

A.擬音語が多いのは、音を聞いて視ることが多いからでしょう。 擬態語は、みえ方や心理状態、動作ですので、他言語に訳しにくいのです。英語では、オノマトペを使うと子供っぽくなりやすいので副詞や動詞にしてしまうことが多いようです。

Q.民謡は、伝承のままの語り口ではないのですか。

A.大半はそうだと思います。しかし、民俗学者、柳田國男の「遠野物語」では、生の話を聞きかじったのに、そのことばそのままの記録ではなく、創作した作品に変えてしまっています。

Q.日本の話しことばの文字での記録は、どうなのですか。

A.明治以降、日本語も速記、口述筆記で記録されるようになっていきます。西洋では、神学とその裁判のために発達していったのです。 日本では、落語や人情本、「福翁自伝」などが、そうして書かれました。 子供も「立川文庫」「少年講談」などを読んで育っ…

Q.日本人は、昔から話下手だったのですか。

A.限られた人たちが話すのを、大多数の人は、もっぱら聞くだけであった時代が長く続いたのは確かです。

Q.言霊に興味があります。口に出したことは、起きるのですか。

A.言=事というのが、日本では言霊信仰です。そのため、今でも忌みことばなどには厳しいです。 神主の祝詞などでは、太い地声で神を呼ぶのです。ことばは、神聖なもので、どこでも話したり、じかに名を出したりするのは危険なこととされていました。

Q.日本語は、あいまいな言語ですか。

A.言語である以上、どの言語もあいまいなものなのですが、日本では、それを使うのに、あいまいに、はっきりさせないで使うことが多いのでしょう。明確に使うこともできるのですから、言語としては、そういうものではないと考えます。

Q.外国語で一つの意味と思い込んで使っていることばは、けっこうありますね。

A.タイ語の「マイペンライ」は「問題ない、大丈夫」みたいに思っていますが、謝る、礼をいう、慰めるなど、多くの意味があるそうです。 ハワイの「アロハ」も「ようこそ」「こんにちは」だけではなく、神の心などの深い意味があるとなると「バイバイ」では…

Q.もっとも簡単に日本語を学ぶ方法は、ありますか。

A.日本語の否定は「ない」より「な」をつけ、疑問は「か」をつければよいのです。「行く」の場合なら、「行くな」と「行くか」で使えます。

Q.英語が母語ではない国では、英語をどう学ばせているのですか。

A.VOAは、放送用に英単語を1,400にしました。アメリカの政府が予算を出して、海外で聞かせるのに簡易な英語にしたのです。

Q.日本でも、英語が共通語になる可能性があったのですか。

A.当初、東大の前身であった開成学校は、英語で授業していたそうです。

Q.日本語の母音は、5つですか。

A.はい、発音の聞き取りの力で説明します。言語一般として、基本となる母音は13種あります。それは母語になっていくうちに選ばれていくのです。日本語は5つ、英語は10、スウェーデン語は12です。しかし、沖縄のことばの母語は、3つで、しかも島によっても…

Q.日本語は、何拍子ですか。

A. 1拍子と言う人もいましたし、8ビートと言う人もいます。拍子という使い方によります。4分の4拍子で完結していくとみるなら、そうともいえます。

Q.メリハリは、アクセントですか。

A.アクセントは、なまりのようなもので、強拍がストレスアクセントです。 強く言ったあとで弱く言う、弱くおくのが原則で、メリハリが生じるのです。

Q.英語の音は、日本語より多いのですか。

A.音素は、日本語20、英語45です。

Q.最低限の英会話には、何千語必要ですか。

A.英語なら、会話の基本として4千語、必要と言われていますが、3歳児でも2千語は話すのですから、そう多くはありません。でも、1日1語、学んでいくペースなら10年かかるわけです。

Q.欧米のことばの方が、弁論に有利ですか。

A.弁論に強いことばは、核心から説明に入ります。しかし、日本語は、逆に、場や周辺を説明していって終わることが多く、核心にズバッとは入りません。しかし、使う人、使い方しだいでしょう。

Q.言語は、語りから始まったのですか。

A.古代でギリシャはホメロスの叙事詩「イーリアス」「オデュッセイア」、オリエントは「エヌマ・エリシュ」。語り部がいて、各地の言語の文字がつくられていったのです。それは、いつの時代も同じです。ローマ字は、ウェルギリウス、イタリア語はダンテか…

Q. 漢字からくる日本語の成り立ちがよくわかりません。

A.漢字を日本語読みにしてみたのです。人(中国語でren)を「ひと」と訓で読み、「レン」の発音と近い「ニン」や「ジン」も音として残したわけです。そして、万葉仮名で漢字一文字を一音に対応させました。かつての不良ことばの「夜露死苦」みたいなもので…

Q.日本では、庶民に創造性があったのですね。

A.日本の文化は、他の国のように貴族だけが担うものではなく、早くから一般の人も嗜んできました。ブログと私小説とエッセイ、日記、俳句などを好み、マニアックな創造でコミュニケーションをとろうとする力として発揮されています。

Q.日本では、子供の歌が多いのですか。

A.はい。日本では「みんなのうた」などで、今でも子供の歌が多くつくられ続けています。

Q.日本にもピジン語はあるのですか。

A.明治維新後の横浜ピジン、戦中の台湾クレオール、小笠原クレオール(欧米人)などがあるそうです。

Q.日本には、アイヌ語以外の言語がありますか。

A.世界には6,000くらいの言語があります。ユネスコの消滅の危機に瀕する2,500言語には、アイヌ語のほか、八重山語、奄美語、八丈語など、日本の8言語が入っています。言語と方言とは厳密に分けられません。

Q.幼い子供に特有のことばは、何ですか。

A.「おめめ」「おみかん」と美化語も使います。 オノマトペも多いです。 NHKのNEWS WEB EASY「やさしい日本語」を参考にするとよいでしょう。

Q.子供に難しい発音は、何ですか。

A.サ行が難しいですね。「おかあたん」「おいちい」 「うしゃぎ」「しゅごい」。「さ」が「しゃ」、「す」が「しゅ」になっている例です。

Q.日本の東西で意味が違うことばはありますか。

A.東西で、シャベルとスコップ、素うどんとかけうどん、うどんは、たぬき、きつねも違いますね。

Q.方言を気にする地域とそうでない地域がありませんか。

A.方言の評価は、その地域の人へのイメージに左右されます。方言コスプレが流行しました。 ついでに、暗い時代の方言札(1903~1945年沖縄)、言語ヘゲモニーなど調べてみてください。