A.流れを作って、できるだけその流れに乗っていくことです。一度流れができてきたら、その流れを損ねないようにして、それが弱まってきたり、一本調子になってきたら、また新しいものをその延長線上で鋭くいれるのです。一つひとつの部分で何もやらなくても音楽は進んでいく。それに委ねてできるだけ歌わない、言葉を置いていくのです。テヌートやレガートも、一つの音を取ったら、それを伸びるところまで自然に任せておくのです。
例えば、水泳で飛びこんですぐにかき出すのは、速くなるようでいて、実際は飛び込んだ速さで進むのを妨げることになってしまうわけです。速い人ほどバタバタやらずにどのくらい自分がかいた流れに乗れるのかということを伸ばします。かいているときに進むのではなく、かいたあとに進む。駄目な人はどんどん疲れていきます。どちらが水にのって心地よく、力強く、美しいかです。音楽も強拍で吐いた部分でどのくらい乗っていけるかということです。