発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3384.地声は汚いのですか?

それは、主にオペラ界でのことですが、いまだにそれは、一部の人々のあいだでは、受け継がれているかもしれません。
確かに今でも、女性声楽家の大多数が、中高音域では、地声を使いません。また、低音域でさえ、地声を使わないソプラノは多いですし、低音域をしっかり出すアルトでも、地声を喉にかけて使う人は、少数派かもしれません。
その理由のひとつは、男性の好みの問題でしょうか。地声で中高音域を歌おうとすると、どうしても、キツく、するどく、力強過ぎる声になってしまいます。やさしく、やわらかく、まろやかな声とは正反対の声を、女性に求める男性は、数少ないのでしょう。
また、女性は、地声の音域が低いため、コンコーネでもわかるように、声楽曲を歌うには、地声だけではかなりの困難がともないます。どうしても、通常は、途中から裏声を使わなければならないのです。
これに比べ、他の音楽ジャンルでは、女性の歌う曲は、女性の地声の音域に合わせて、低い音域で書かれているので、無理なく地声で歌うことができるのです。
また、楽に地声を出そうとすると、つい喉にかかった、ザラついた声になりがちです。このことも、地声を汚いと思わせてしまった原因のひとつなのかもしれません。(♭Ξ)