A.自己の主張を表現することはアーティストにとって重要なことですが、社会がどんな音楽を欲しているかを考えることも同様に、アーティストにとってとても重要なことです。芸術とは、決して自己満足なものではなく、最終的に社会に認められるものです。人は、人とのつながりによって成り立っていることを考えると、自分だけがよいと思う音楽ではなく、自分も含めた多くの人がよいと思う音楽を提供することを考えないと、結果よい芸術は生まれないと感じます。それは流行を追うということとも少し違います。流行をなぞるものには、自己の主張は説得力をもちません。常に、視野を広く持って、社会の状況や、時代による人の思考的傾向などに敏感に反応しながら作品を創造し、自己の主張を織り交ぜるということが、アーティストとしてのポテンシャルだとも思います。