A.よく、共鳴のある声無い声といいますが、共鳴は実際にどんなことが起こっているのでしょう?昔、理科の実験などであったのは、音叉を二つ用意し、近くで一つの音叉を鳴らすと、もう一つも鳴り出す…これが共鳴と言われる現象でしたね。では、人間の身体の中ではどのように起こっているのでしょうか?共鳴のない声の場合(トレーニングされていない場合)は、声帯で発生した音が、空気中を伝播し、口腔や鼻腔から出て、倍音の乏しい、単色の音になってしまいます。こうした現象からか、日本ではまるで共鳴というと、「口腔、鼻腔、副鼻腔といった空間でのみのみで起こるもの」…この「空間で」といった考え方がかなり広まってしまいました。ですが、空間が鳴る、という考え方は実は共鳴現象とは異なるものです。昔の理科の実験を思い出しても、妙な話です。なぜなら音叉には空間なんてありません。声楽的に訓練をつむと、声帯で発生した音は、頚骨(首の骨)などを共鳴させます。ハミングをしながら首の骨をうなじのあたりで触ってみるとよくわかります。
声帯は直接、首の骨とくっついているわけではありませんが、声帯音に、首の骨や頭骨が、共鳴を起こすようになるのです。