発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q4045.呼吸法は、どのような方法をとるのが理想ですか

A.呼吸は、声楽家にとっても永遠の課題です。まず、ほとんどのトレーナーは「鼻から息を吸いなさい」と教えます。また、

声を出す直前にブレスを取るのがごく普通の概念ですね。「はい、深く吸って!」と教えられるのがほとんどです。

ベルカントは自然な呼吸、自然な身体のバランスで歌う方法なので、普段と、そう違う事はしないのです。

例えば「おはよう!」「こんにちは!」などを言う時にわざわざ息を吸い込んでからしゃべりますか?しませんね。健康な人が普段の生活で、呼吸を意識してしてますか?特にリラックスしている時には誰でもが腹式呼吸になっています。そんな時、鼻から吸おうか?口から吸おうか?と考えますか?息をしてる事など忘れてますね。

これがベルカント唱法の腹式呼吸法なのです。言い換えれば、「横隔膜式呼吸」と名づけたいぐらいです。

歌う直前に息をしないというのは、前奏などで、息を止めている訳ではなく、自然に呼吸をして待っているはずなので、肺には80%ぐらいの空気が出たり入ったりしています。その状態の時、さらに息をしてしまうと、肺には100%空気が入ってしまいます。

誰もが、たくさん息があればたくさん使えるはずだと考えます。しかし、人間の身体に100%というのは苦しくて、次の行動に出にくくなってしまうのです。

例えば胃に食べ物をたくさん詰め込んだら苦しくて動けません。「八文目」と言う言葉があるくらいですから、入りすぎは、出しにくいという状況になってしまい、最後のフレーズまで息が続かなくなってしまうのです。「私は息が短くて・・」という人は実は吸い過ぎの場合が多いのです。

まとめますと、息を吸うという行為から始まるのではなく、吐くところから始まります。フレーズを歌い終わり、息がなくなったら横隔膜の力を抜き、下がると勝手に鼻や口から空気が入ってきます。決して強制呼吸をしないのです。鼻からだけ、口からだけと決めるのではないのです。普段と同じように何にも意識せずに呼吸をするのがベルカントが目指すところです。(♭∀)