発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q5241.1/f(f分の1)特性とは何ですか。

Q5241.1/f(f分の1)特性とは何ですか。

A.声や音だけでなく、自然界のあらゆるものは常に変化しています。そよ風やおだやかな波、変動するゆらぎの中にあるわけです。
こうした変化したリズムが、ある一定のリズムを刻むと、その中にいると心地よい気分になれるということがわかってきました。つまり、人間を心地よくするリズムが『1/fのゆらぎ』と呼ばれるものです。今では、扇風機やクーラーにも使われていますね。1/fゆらぎのfは、振動数、または周波数のことで、frequencyのfです。一言でいうと自然界のリズムのことです。(♭ф)

Q5242.1/f(f分の1)ゆらぎについて詳しく知りたいです。

A.私たちは、穏やかな波の音や、木々の葉を震わせる微風の中にいると、心が落ち着いて頭が冴えてきます。で、調べてみると、それらはみな1/fのゆらぎのリズムを刻んでといいます。音楽でいえば、古今の名曲といわれるもののほとんど、たとえばモーツァルトの楽曲にはこのリズムが多く含まれているそうです。
情緒科学研究所の渡辺茂夫所長は、1/fのゆらぎとは、「人類共通の誰でも自律神経が安定する情報」であり、「多くの人々を一度に酔わせ、説得してしまう力を持つ演説家の条件は、思想の緻密さよりも増して、音楽的才能かもしれない。」と述べています。(♭ф)

Q5243.アメリカ元大統領ケネディの声はどうでしたか。

A.アメリカで最も人気のあった第三十五代大統領、ジョン・F・ケネディの演説もきれいな1/fゆらぎの抑揚を持っているそうです。相次いで現れる“AND”と“AND”の間の単語の数の変化(ゆらぎとして考える)で、バワースペクトルを調べると、これも1/fになるそうです。ジョン・F・ケネディの演説は、その発声の強弱、息の継ぎや間の空け方、話す速度など、あらゆる点で完璧だったといわれます。(♭ф)

Q5244.日本人にとってもっとも耳に心地よい声とは誰ですか。

A.「松田聖子の声ってのはよ、日本人には一番耳障りのいい声なんだよ。こりゃ、オレが小野測器っていう声の質を測る会社の社長に聞いた話しなんだから間違いはねんだよ」と劇作家、故つかこうへい氏が述べていたことがあります。
人間の耳に快いとされるのは、大体九百~千ヘルツの音だそうです。そこで松田聖子さんの歌(『青い珊瑚礁』『SWEETMEMORIS』『ETERNAL』)の周波数を測り、それがどのくらい含まれているかを、FFTアナライザを使用して調べてみた結果であるそうです。
ちなみに声の周波数とは、声帯から1秒間に送られてくる振動数のことです。単位はHz(ヘルツ)で表わします。つまり、1秒間に送られてくる振動数が1回なら1Hzです。千ヘルツとは1秒間に千回の振動数ということです。
脳力開発研究所の志賀一雅所長が松田聖子さんの声を分析してみたところ、どの曲も900Hzに近く、さらに1/fのゆらぎがよく出ていたそうです。このことからも、松田聖子さんの歌声は、耳に心地よい声といえましょう。(♭ф)

Q5245.「f(エフ)分の1のゆらぎ」というのは、どうして人を心地よくさせるのでしょうか。

A.人間の心拍周期の平均値に対して、どのような変化があるのかを調べてみると、きれいな「1/fゆらぎ」が現われます。音楽のリズムも心臓の心拍数と似ているのです。(テンポは ♪=110あたりがよい)
武者利光氏によると、音楽には、ゆっくりと変化する部分と速く変化する部分が混ざっていますが、その変化の仕方を分析して、変化する速さを表わす場合にも、別な意味で、この周波数が用いられます。ある現象の時間的変化の性質を分析して得られる、成分の周波数を意味しています。
「ゆらぎといっても、非常に規則的に動いているものもあれば、次にどうなるかわからないゆらぎもあります。現実に存在するゆらぎは、ある程度予測ができるものですが、完全な予測はできません」
たとえば、風のゆらぎならば、強く吹いたり、弱くなったりする変化が、1秒間に何回くり返されるかをみるのです。つまり、ゆらぎを時間的な意味での変化とし、その時間変動を周波数に変えて、周波数との相関から分析します。そこで、周波数がベースとなり、fが使われることになるのです。
このため、1/fゆらぎは、変化の周波数が大きい成分ほどパワーが小さく、逆に変化の周波数が小さい成分ほど、大きなパワーをもっていることになるのです。(♭ф)

Q5246.「フラクタル」とはなんですか。

A.数学の用語で、幾何学の考え方の一つです。音楽学の佐治順子教授によると、「音楽の場合、その音は空気の振動であるから、単純に形のある幾何学として見ることはできません。この分析には、ピッチの高低、強弱、リズムなどを全部平均操作して音の鳴り方を総合します。この鳴り方の時間による推移を調べるのです。
たいていの音楽では、推移に複雑なゆらぎが見られることがわかりました。たとえば、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」や「カンタータ」などは、まさしくフラクタル性が顕著な音楽で、旋律の動きが長い時間、あるいは短い時間でとってみても、その動きはよく似たものになっている」というそうです。
古典音楽について、リズム、エネルギーの強弱、周波数のゆらぎを調べてみると、そこには明らかなフラクタル性が見られるそうです。特に子守唄やバロック音楽などでは、その傾向が強いのです。
そのため、子守唄やバッハの曲など、大人が聞いても落ち着くのです。心地よい音楽は、メロディ、リズム、強弱などの変化の仕方がフラクタルといえるでしょう。(♭ф)

Q5247.ビブラートとは何でしょうか。

A.ビブラートは、心地よい音の揺れのことです。演歌や歌謡曲の伸ばすところで、強調されることもあります。楽器、特に弦楽器などにもあります。歌声では、周波数の1%以内で規則的な変動を与えることをビブラート(vibrato)といいます。およそ1秒に6、5回の揺れになります。(♭ф)
 
Q5248.楽器と声のビブラートは違うのですか。

A.バイオリンなどのビブラートは、ピッチ(音の高さ)を高低に細かく変化させます。やはり、1秒に7回くらいのがもっともよく使われています。このときの揺れ幅は、半音までの半分くらいの高さでの変化に納めています。ところが、声の場合は半音ずれることもあります。つまり、音高「ラ」でビブラートをかけると、「ラ」のシャープと「ラ」のフラットの2音間を揺らぐこともあるわけです。その中心が合っていれば、ピッチが狂ったようには聞こえませんが、高低のどちらかにずれてしまうとよくありません。
もう一つ、大きさの大小を変えるビブラートがあります。人間の声もバイオリンも共鳴の揺れで、さらに独自の音色を出して、演奏を引きたてているといえます。(♭ф)

Q5249.ちりめんビブラートは何ですか。

A.亡くなった島倉千代子さんの声のふるえ、シャンソンなどにみられる「切れ」を称していう人もいます。ちりめん(縮緬)とは、布面に細かいしわがたくさんある絹織物です。(♭ф)

Q5250.風呂場での練習でうまく聞こえるのはどうしてですか。

A.風呂場は密閉された上に、反射する固い壁のため残響が長く、カラオケのエコーのように聞こえやすくなるからです。音量も失われにくいし、音質も保てます。(♭ф)