A. 高音域を出しにくいと感じる人の発声の仕方で、歌っている姿を見ただけで苦しそうだと感じることがあります。どのような状況であるかというと、「音が上がるにつれて上を向きだす」、「音が上がるにつれて肩が上がりだす」、「音が上がるにつれて顎が上がり、口の上半分がとても開く」、「音が上がるにつれて口が横に開いていく」というような状態です。
これらは、見た感じとしても不自然な動作になり、違和感を覚えることになると思います。本人は必死なので、そのような意識は全くと言っていいほどないと思われます。これらの動作の良くない部分は、「声と体の重心が高くなり過ぎている」ということです。高層建築物でも、土台は相当深い部分まで基礎ができているはずですし、乗り物でも、低重心の方が高速域でふらつかず安定した走行ができます。F1マシンやフェラーリ、ランボルギーニなどが、あのようなスタイルなのはそれなりの理由があるのです。声に関して「重心が上がることによって息が入りにくくなってしまう」ことが一番の問題点で、高音域が苦しくなってしまう部分のかなりの要素を占めていると思います。
そのような状態を何とかしようと体が働き、「顎が上がる」、「肩が上がる」などの悪循環が始まると思います。声と重心は関係ないように思われるかもしれませんが、密接で大事なことなのです。(♭Я)