A. 同時に音を出せないことで、対面レッスンよりも時間がかかるようなときもあります。また、声の大きさの判断、声質の微妙な判断は、出した声がカットされるときがあります。大きな声は、ノイズ音になることが多く、小さな声は、音量拡大されて聞こえます。
それでも、トレーニングということに重きをおけば、オンラインを使う意義があると思います。声を出さない、呼吸や身体のトレーニングならば、比較的、通常通り取り組めます。今後、慣れてくると対応も環境も改良されてくると思います。
A. オンラインでは歌ってもらったものに対しての講評の形にしています。伴奏の音源が先方にあったり、自分で弾き語りなどができるなら大丈夫です。
声門閉鎖の訓練、仮声帯の訓練、喉、唇、舌など部位別の訓練をメインにおこなっています。これは、器官ごとの訓練なので、先方に音源やピアノなどは必要ありません。
オンラインレッスンで各パーツのそれぞれの訓練を行い、対面レッスンでは全体をみてアドバイスしていくという形がよいと思います。コミュニケーションでは特に問題ありません。
A. 対面レッスンでは、発声の最中または曲の歌唱中にいちいち止めることなく指示を出し、歌いながら改善する、改善したいことに意識を向けてもらう、ということができます。
オンラインでは、ひとたび歌い出したら、途中でコメントをできないので(こちらが話すと歌を中断する形になるので)、ある程度歌った後で、まとめて「先ほどのここの部分は〜」とお伝えするため、効率がよくないのと、本人が内容を把握・理解するのに時間を要します。
部屋のサイズや画面の関係で、身体が全部見えないため、判断がしにくいです。例えばカメラが下からのアングルだと、顎が上がってしまっている人に指示を出しにくいため、カメラから遠ざかってもらうこともあります。
曲を扱うときに伴奏を弾くと、レッスン生がテンポを取りにくくなるので旋律のみを弾いています。実際に、伴奏(コード)だとテンポがわかりにくい、単旋律の方が歌いやすい、という人もいます。
こちらがリズムを提示し、それに合わせて息を吐いたり声を出したりしてもらう場合には、こちらの姿が画面から見切れる位置に座って行うようにしています。(私の口の動きと発する声に生じるタイムラグで混乱させないため。) 共鳴、音量、発音などについては、直接、声を聞けないことで、判断しにくいところがあります。
ですが、何かトレーニングを行う際に、それを実践する前と後で比較することにおいては、オンラインでも双方で共通認識を持てる(変化が出たことを共有できる)と思います。
発声中にピアノの音が途切れたりすると、それが表情に出るので、「あれ?」と感じたら、すぐに「音は聞こえていますか」と質問するようにしています。
A. オンラインの場合、直接、対面する機会がなくとも、定期的にメンテナンスを行えるというのが最大のメリットです。直接的なレッスンと全く同じ内容を得られるかという点では、なかなか難しいところもあると思います。
例えば、発声面における「口形の維持」「余分な力み」という部分は視覚的にもわかりやすいので、オンラインではわかりやすく判別できると思います。せりふ、朗読などの場合も、読み方、間の取り方、緩急のつけ方など、判別できます。
歌唱では、実際に生で聞こえてくる声との差異では限界があるというのが正直なところです。回線環境などで、音声が聞こえにくくなってしまったり、途中で止まりそうになってしまうということは、今後の課題になると思います。
対面レッスンでしっかり進み、対面レッスンが難しい状況での維持管理を目的としてオンラインレッスンを取り入れてみるのが、それぞれのメリットを活かしたやり方になると思います。
A. 発声技術の向上には「呼吸」「発声器官の使い方」「発音」などが重要です。
オンラインレッスンでのメリットは、画面を見ながらトレーナーの唇の形、顎の下げ方、眉の上がり方、肋骨の広がり方、舌の動かし方をつぶさに細かくみられることです。これらは「発声器官の使い方」「発音」の上達につながってきます。
対面レッスンでは接近できないのですが、オンラインではモニター越しに、細かに観察することが可能です。このメリットを十二分に生かしてもらいたいと思います。なるべく具体的に使ってほしい筋肉や場所にアプローチしてレッスンするように心がけ、抽象的な表現を少なくしています。
ただし、歌ったときに感じられる臨場感(ピアノ伴奏によって盛り上げている部分もあるので)は、限界があります。発声練習も最初にキーを出したあとは自分で音程をキープするやり方にしています。伴奏音源を使うとよいでしょう。
A. オンラインレッスンでは、曲をアカペラで歌ってもらい、それをフレーズ、リズム、音程の観点から直していきます。
一流の歌手は一流のフレーズ感を持っています。フレーズ感とは、簡単に言うと、インテンポに対して、ちょっと速くする、あるいは遅らせる感覚のことです。0.1秒のタイミングの違いが、一流と三流を分けます。(日本ではフレーズを教えられる先生は少なく「音が高くなるから盛り上がる」などの教育が行われているようです。)
その他、身体、呼吸、発声、共鳴、声域など、いわゆる声そのものに関しては、詳細には判断できません。音楽のレッスンに限っては、100パーセントの代用は難しいように思います。
タイムラグに関しては、気になりません。対面レッスンでも私はアカペラが基本なので問題ありません。(イタリア古典歌曲やコンコーネなどの声楽の教材では、対面レッスンでは伴奏をつけています。)
コミュニケーションについては、かえってオンラインのほうが「対等な」感じがするため、円滑にコミュニケーションが取れるようにも思います。
A. オンラインレッスンではマイクを介したやり取りとなるため、対面レッスン以上にしっかりとした声でレッスンに臨む必要があります。というのは、力のない声はマイクが拾わないときがあるからです。声の大きい小さいではありません。小さな声でも、空気を震わす力のある声ならマイクが反応します。反対に大きい声でも、響きが散った声はマイクに乗りません。ですので、対面レッスンよりも、マイクを通した声のよし悪しがわかるともいえます。(超高性能のコンデンサマイク等を使用している場合は、マイクはほぼ反応するので、対面レッスンと変わりありません。)
対面レッスンよりは声のみではっきりと意図を伝える必要があります。トレーニング段階で、マイクを制する声をひとつの指標にできるということが、オンラインレッスンの有効性だと考えます。しかし声や音楽の本当のエッセンスには、同じ空間にいる人間同士でしかやりとりできないこともあるといえます。
タイムラグが気になるのは、ほぼトレーナー側で、トレーナーが伴奏をし、それに合わせて歌ってもらう場合、歌う側は聞こえてくる音に合わせて歌えばいいのです。このとき、トレーナー側には伴奏に対して遅れた歌が聞こえているわけですが、慣れると、さほど問題ありません。
メニュに関しては対面レッスンと大体同じことが可能です。対面レッスンの際には、やりたい曲やテキストを持参される人も多いと思います。曲については、事前にいただけると、より有益なレッスンが可能です。
A. やりにくいこと
・声や共鳴を伝えるのには、相手の環境によるので、トレーナーがレッスン生の声を細かく聞けないことがあると思います。
・特に小さい音量、響きは聞きとりにくい。
できること
・歌詞の確認、レッスン生が持ってくる曲の歌詞が外国語であれば、イントネーション、アクセント、歌詞全体の抑揚など、語学レッスンはできます。
・ソルフェージュ的な音取りやリズム確認、譜読み、歌詞の確認など最初の土台作り。
・曲のイメージ作りは一緒に考えることができます。曲の中でのアーティキュレーションや曲全体の構成、どこが聞かせどころで一番歌い切りたい場所の見せ方など。
A. 話しているときはよいのですが、時間のずれにより、レッスン生の声が聞きとりにくい。単音の音さえ弾いていていいのか迷うことがあります。例えば、自分が弾いた次の音のときに前に弾いた音を歌うという感じなので、オンラインになってから伴奏を弾くのをやめています。ブレスを確認しにくい、高音になると聞こえなくなるなど、同じ空間にいないから、空気の振動が感じられず声の響きがわかりにくいです。細かいアドバイスはやりにくく、自分の言っていることがどのくらい伝わっているのか不安なときもあります。
A. 邦楽では、今のところ、タイムラグがあるため、唄のレッスンはなかなか難しく、身体の使い方を見るのも映像では限界があります。
A. 同時に、こちらが音を出せないのが、時間のロスにつながります。レッスン生が大きな声を出すと、音声がカットされます。(レッスン生が声を出している間は、こちらの音声はミュートするのがよいのですが、実行はしにくいです。)
声が、マイクを通した声なので、正確な情報を得にくいですが、実際には、マイクを使って歌うので、レッスンとしては、悪くないのかもしれません。感染症の心配を、しなくてよいのは、気が楽です。
A. しっかり声を出していなくても、マイクを通しての声ではボリューム感があるので判断がしにくいです。例えば、近所迷惑を気にして控えめに出していても、音量調整によって大きく聞こえるので、そういう声に聞こえません。
自宅なので緊張感がほぐれている人や、心身がスタジオの時よりもリラックスできているようで、それが声やレッスンの取り組みにも感じられるのは、よい点です。
A. 音が聞こえづらいことが多々あります。ロングトーンをしていると最後聞こえにくくなります。(お互いにマイクやスピーカーやズームの設定で音響を手動で調整するなど工夫して解決できることも多いと思います。)
よい点は、レッスン生がモニターをしっかり見るので口の形やあごの形などに注目してくれます。独りよがりになりがちな人も、耳と目をトレーナーに、向けて、注意深く聞いてくれます。普段できない言葉や、小さい筋肉にアプローチすることでよりいいトレーニングになることもあります。
悪い点は、フレーズを聞いてもらってから歌うので、時間がかかってしまう、スマホでは画面が小さくて見づらそうで、角度も下向きになる。座ってレッスンを受ける人は、部屋の環境で仕方ないのかもしれませんが、体をしっかり動かせない、トレーナーのどの筋肉を動かすかなどの指示がはっきり見えないなど。
音声チェックをして、ベストな環境のチェックを整えていくことです。
A. メリット
・オンラインだとフォーム等がより客観視できること
・レッスン生の自宅にあるものを活用できること(楽器、カラオケ機器、楽譜、ペットボトル、ビール瓶等)
・お互い感染リスクの心配なく声が出せること
デメリット
・音質の悪さや時差はどうしようもないこと
・レッスン生側が大声を出せない場合があること
・小さな音(息の音など)をマイクが拾わず、きちんとできているか判断が難しい。