発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.私は音域が狭く、もっと広い音域の歌を歌いたいのですが、どうすればよいでしょうか。

A. 多くの歌は、1オクターブ半以内なので、キーにこだわらなければ、大丈夫なのではと思いますが、まれに声域が1オクターブ足らずの人も見受けられます。そのような人は、なかなかよい声を出します。アマチュアコーラスを楽しむ人にも、よく見受けられますが、よい声を出せるのに、声域が狭い。それは、よい声を出せる音域しか、声を使わなくなっているところに、原因があります。なまじよい声を出せるために、その音域でしか声を使わず、そこばかり発達して、他の音域を出すための喉に、チェンジができない、あるいはチェンジができても、よい声ではないので出したくない、出すのが恥ずかしいと感じてしまい、どんどん使わなくなって、ついにはチェンジができなくなってしまうようです。

重要なのは、どんなに変な声でも、まず出し続けることです。出し続けて、出し慣れていけば、さらに磨いていくことができるのです。本人には、聞き慣れていないので、変な声と感じてしまっても、通常はそれほど変な声ではなく、本人の思い込みにすぎないことが多いです。

もう一つ重要なのは、喉に無理をしていないことです。無理をすれば出せる声は、本人が思うよい声に近いことが、少なくないので、がんばってその声を出し続けてしまいます。すると、喉を痛めてしまうことにもつながり、かえってチェンジが遠のいてしまいます。がんばって出すのではなく、楽に脱力して、少々、変な声でも、がまんして出すことです。(♭Ξ)

 

A. 音域を広げるということであれば基礎的な発声のレベルがあがっていくと自ずと音域というのは広がっていきます。特に高音域は広がると思います。そういう意味では音域が狭いということは、トレーニング次第で解決の糸口が見えてくると思います。ヴォイストレーナーやスクールなどで適切な指導を受講されることをおすすめします。

音域が広がるというのは、よくない発声でも広がることもあります。音域を広げることだけが目的ならばやり方はたくさんあると思いますが、それが使える声が安定して出せるものかは、違った目線が必要になります。

体を使って体から声を出せる音域と、それ以上の喉をしぼってだす音域というのは、目的や質が違ってきます。出ない音を出せるようになるということと、体から声をだすということでは、方法が違うので目的をはっきりとさせることです。それは、トレーニングの質を上げるために、とても大事です。

狭い音域でも人を感動させる歌を歌う歌手もいます。綾戸智恵さんなどは、広い音域をもっている歌手ではありませんが、パワフルな歌唱で観客を魅了しています。トレーニングとして音域を広げることは基礎力の向上にもつながるので、ぜひ頑張っていただきたいのですが、どうパフォーマンスに活かすかは各自の考え方によります。音域だけにとらわれず、トレーニングしてほしいです。(♭Σ)

 

A. ご自身でジャッジしたその音域は、果たして本当にそうでしょうか?実はその人なりの思い込みや発声の癖などが影響して高音域(または低音域)が出しにくくなっているという可能性が大いにあります。事実、私は音域が狭いですと申告される人の多くは、レッスンになるとどなたも申告されたものよりも広い音域で発声しています。レッスンでいつもよりよい状態にもっていけたり、いつもの力みが軽減したりすることで、あっけなく自分が定めた限界の音域をクリアしてしまったりするものです。あなたも基礎練習をしていくことで、間違いなく今までより広い音域の歌を歌うことができます。その中でも特に有効なのは、呼吸の練習(息を流す)をすることです。声は息の流れに乗って出ていきます。単純なことですが、息が進んでいかなければ声も出ていきません。高音域では息が流れていないのに声を出そうと頑張るので、それがそのまま喉や喉周辺の力みとなって、ますます声が出にくくなるのです。ですので「息」に注目することが、遠回りのようで、一番の近道であるともいえます。(♯α)

 

A. 幅広い音域があったら歌える曲も増えてくるし、すぐ苦しくなっちゃうなんていうこともなくなりそうだし、憧れますよね。音域が狭い状態の人にとって、私が最も大切だと思うことは、「焦らないこと」だと思います。「焦らないこと」というのは、現在の状態で無理して音域の広い曲を歌うことを控えるという意味です。地道な訓練になるかと思いますが、現在無理なく歌える音域を大切に、その中で発声的なテクニックを身につけ、声を訓練していくことが、大切なことだと思います。無理をしないで少しずつテクニックを身につけていけば、個人差はあるにせよ徐々に音域は広がっていくはずです。

無理に音域の広い曲に手を出してしまうと、「無理やり出そう」とする「クセ」がついてしまう恐れがあります。この「クセ」は余分な力みだったり、声を出す上で邪魔になってしまう行為につながってしまうのです。そして、音域を広げるために、この「クセ」を取り除く作業から始めなければならないのです。しかし、「クセ」というのはなかなか頑固で、一度染みついてしまうと、取り除くのがとっても困難になります。場合によっては一生をかけて、その「クセ」と向き合い続けなければならないこともあります。ですので、変なクセがつかないように、その時点でできることを、トレーナーの指導のもとで焦らず、ていねいに行っていきましょう。(♭Я)

 

A. 音域を広げるには、声帯の伸縮性を高める必要があります。高い音を歌えば声帯は薄く伸び、低い音を歌えば太く縮むからです。高い音のときは、薄く伸びた声帯に強い息を突破させて音を出しますので、その強い息を出すのに耐えうる体の支えが、より必要になります。

声帯の伸縮性のトレーニングですが、まず5度の音程幅で練習してみましょう。ドレミファソファミレドを行ったり来たりして声帯のストレッチを行います。母音で行ってもいいし、リップロールやハミングで行ってもいいでしょう。

次により大きな幅、1オクターブでやってみます。ドレミファソラシドレドシラソファミレド  などの音階です。音が多くて歌いづらい場合は、各音を分離させずにグリッサンドのように音を区切らずに滑らかに滑らせて歌ってもいいと思います。声帯の伸び縮みを目的としています。

次に体の支えです。これは特に高い音のときに必要になります。息を吸って、肋骨が開いた状態を維持できるように慣れてください。その際、背中の筋肉やお腹の筋肉が、この肋骨の開きを助けられるよう、上半身を全て使うイメージで行ってみてください。(♯β)

 

A. 音域は広くすることはできます。ここでは低い声について書きます。低い音域はあまり注目されませんが、無理してでも出してもらうと意外とひびくいい声をお持ちの人が多いです。低い声のいいところは、喉が疲れにくいこと。結構無理して発声練習しても喉を壊しません。発声のコツとしては中音域から降ろしていく練習をします。そのときに自分が声と一緒に下りてしまわないように。高いところから見下ろすようにして低い音を出します。低い声はボリュームはいまいちかもしれませんがマイクにうまく乗せると補えるため、低い声を使えるようにしておくとよいです。

今の日本人は男女とも無意識に高い声ばかり使う習慣がついており、低いいい声をお持ちなのに自覚がない人がたくさんいらっしゃいます。普段から少し低めの声でしゃべる習慣をつけましょう。ちまたの音源はキーが高すぎることが多いので、自分のキーに移調して、歌ってみてください。(♭∴)

 

A. 音域は、低音に関しては、声帯の長さなどでおよその下限が決まります。ヴァイオリンでチェロの低音が出せないのと同じで、持っているサイズを超えた低音はないものねだりです。ただし、使い方が悪くて出せるはずの低音が発揮できていないケースでは、改善可能です。この場合は喉や息の使い方を「ゆるめる」感覚が大切です。ビール瓶にそっと息を吹き込んで音を鳴らしてみて下さい。これでいい音が鳴るくらいの息の量が、あなたがギリギリ出せる低音を開発する適量です。

高音に関しては、練習次第で大幅に開発可能です。チェロでも高音は弾けます。

まず、ご自身の可能性を確認しましょう。自分の喉がどこまで高音を出せる楽器なのかを知る簡単な方法は、ドレミレドをリップロールでやる発声練習です。どんどん音を上げていきましょう。それで出せる最高音があなたの限界点です。しかし、その音を「ア」などの母音で出すのは難しいでしょう。使える声にするためにさまざまな練習が必要です。、一つだけあげるとしたら、あくびの要領で息を吸いながら高音を出す練習です。声帯が薄く引っ張られた状態になり、高音が出やすくなります。あとは感覚的な説明となりますが、男性は女性の、女性は男性の真似をしてみると発見があり、音域の拡張につながると思います。(♯∂)