発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. 私の声はよく聞き返されます。なぜうまく伝わらないのでしょうか。

A. 「人前で話すと、声が届かない」とか、「電話で何度も聞き返される」といった相談を受けることがあります。そういう人は、総じて声にも顔にも覇気がありません。健康状態は、すぐに声に出るものです。身体が弱くなると、息がしっかり吐けなくなります。こういう声はよく思われません。つまり、声よりも、その人自身に、話すときに必要な気が満ちていないところが、問題であることが多いのです。また、伝えたい思いが弱いときも伝わりにくいものです。

声もコントロールするものである以上、しっかりと伝えたければ、気の力や集中力は、人一倍必要です。オペラ歌手などは、一流のスポーツ選手なみのパワー、反射神経をもち、超能力者さながら、声を気と共に発しているといってもよいでしょう。

もちろん、呼吸機能、特に吐く息が弱い人、腹筋が弱すぎて強い息の出せない人は、身体づくりから必要です。

次に、話し方の問題でしょう。話そうとするのでなく、本気で伝えようとしてください。すると、その人なりの話し方が出てくるものです。それを、よりよい方向へブラッシュアップしていくことです。まずは、全身全霊を込めて伝えようとしてください。目的や自分を高める意識のないところに、声だけ届かせようというのでは無理です。

話すことはプロという意識でとりくむとよいでしょう。少なくとも、テンションは、私たち日本人も外国人の平均レベルまでは、到達したいものです。(♭π)

 

A.「よく聞き返される」というのは、いくつかの要因が考えられますが、もっとも一般的なのは、声が小さく弱々しいことでしょう。普段の声が小さくなくても、遠慮したり、へりくだったりするために、弱く小さな声になってしまうと、それだけで声が聞き取りにくくなってしまいます。

逆に、普段の声が大きめでも、聞き取りにくい場合もあります。本人は、しっかりと声が出ているので、当然、声は聞こえているだろうと思ってしまうのですが、声は聞こえても、言葉としてはわかりにくい場合もあります。声の大きさに頼って、滑舌を気にせずに声を出していると、はまりやすい落とし穴です。

また、声がかすれていたり、しわがれていると、声量も下がり、聞き取りにくさは倍増します。そのような声にはならないように、日々のケアは、怠らないようにしましょう。

女性によく見られるケースですが、優しい声を出そうとして、やや息混じりの声を、日常的に出している場合も、やはり聞き取りにくくなります。その出し方に慣れてしまって、息が混ざっていることに気がつかなくなっていることもあります。息を混ぜずに、艶のある声にすることが王道です。息混じりでも、滑舌をしっかり意識して、改善するとよいでしょう。(♭Ξ)

 

A.聞き返される人の多くに共通していえるのは二つあります。「音量不足」と「声が前にでていない」の二点です。

自分の平均的な声の音量が、聞いている人にとっては小さくなっていることが問題の一つです。声を大きくだすことに抵抗がある場合は、胸に声をあてるようなイメージで声をだしてみてください。それだけでも声が大きく聞こえます。

声が小さい人の多くは息がもれていることが多いです。胸に声をあてると息漏れが改善されるので声量が増して聞こえることが期待できます。

声が前にでていない人は、自分の声がこもっていたりすることが多いのです。このような人は前歯にむかって声を出すようなイメージをもってしゃべってみてください。前歯に声が当たると声が前に出やすくなります。ある程度の音量がでていても声がこもっていると聞き返されることがあります。(♭Σ)

 

A.聞き返されるのは、シンプルに相手があなたの声を「よく聞き取れない」からです。その理由としては、滑舌が甘くて発音が(内容が)よくわからなかった、または声の響きが少ないのでそもそも声が相手に届きにくい、自分で思っているよりも声が小さい、などが考えられます。

こう見ると「あなたの声」ではなく、「あなたの声の出し方」に問題があると言えそうです。もし滑舌なのであれば、それに特化したトレーニングをしてみましょう。取り組んだ分だけ必ず変化が出てきます。

声の響きが少ない場合には、声に響きを乗せて聞こえやすい状態に持っていく必要があります。声の響きが少ないとぼやけたような声、息まじりのような声に聞こえるのです。そのような声はまわりの雑音にも混ざりやすい(かき消されやすい)ので相手の耳に声が届きません。こちらもトレーニングによって改善できます。

3つめとして、自分の出した声が小さいと自覚していない場合もあります。これは自分だけでは判断しにくい部分なので、声のヴォリュームを上げるべく第三者から客観的な意見をもらってください。(♯α)

 

A.うまく伝わらない原因はいろいろ考えられます。一つは「しゃべる速さ」の問題です。早口すぎて何を言っているのか、相手が聞き取りにくいということが考えられます。また、言葉を噛んでしまったり滑ってしまったりということがあると、余計伝わりにくくなってしまうと思います。

次に「声」そのものの問題です。特に声が弱々しい人の場合、音として声が飛びにくいので、聞こえにくいということが考えられます。声が弱々しい人の場合、特に母音の発音が明瞭であるか、息漏れ声になっていないか、極端に浅い声になっていないかなど、人それぞれケースが異なるとは思いますが、見直す部分、改善につなげていく部分は多岐にわたると思います。

最後に、伝える内容の組み立て方です。これは声とか早さとかではなく、どのように伝えれば相手が理解しやすいかという段取りが組まれているかという部分です。人によっては、自分の頭の中にあることと、相手が見えていることとで乖離が生じてしまい、聞き手が振り回されてしまうような場合があります。

人は一語一句聞き取らなくても、前後の内容から言葉や内容を解釈し、予測し、補完して聞き取っています。しかし、内容が突拍子もない方向に振り回されてしまうと、その予測の範囲を超えてしまうので、理解に時間がかかり、聞き返すということに繋がる場合があります。

大切なことは、聞く側の立場になって、伝える内容を順序だてて、焦らず落ち着いて、ハッキリとクリアにしゃべることを心がけてみてはいかがでしょうか。(♭Я)

 

A. マスク生活で聞き返されたり、逆に聞き返すことが増えてきたように思います。もちろんマスクをしてない状況でのご質問とは思いますが、声の出し方、発語の仕方で、だいぶ回避できることと思います。

口はしっかり開いていますか。そして、母音をしっかり鳴らすことができているか、子音を明確に発音できているか、日本語の場合は、こういったことがキーになると思います。

口を開けるといっても、唇や口先だけを開けるのではなく、軟口蓋をしっかり持ち上げて喉の奥を開くように意識しましょう。

母音をしっかり鳴らすには、息が流れて声帯が振動していること、口の中のスペースが適切に開いたうえで発音できていることです。

日本語はどうしても、狭い空間で人に迷惑にならない音量で、と意識するあまり、口をあまり開けずに息を通さないで発音してしまうことが多いです。広い空間を意識して、遠くまで息を流す意識で発声すると、声帯がしっかり振動してくれます。このように息が流れた状態であいうえおの母音を発声してみてください。

そして子音です。こちらもあまり他人に迷惑にならないように話そうと意識していると、発音があまくなってしまいます。カ行では中舌を硬口蓋にしっかり当て、緩まないで舌を離せていますか。サ行では歯の間に摩擦させて息を吐けていますか。タ行ナ行は舌先が前歯の裏あたりにしっかり着いていますか。このような考え方を調音法または構音法といいますが、これを学んでトレーニングするとよいと思います。(♯β)

 

A.よく聞き返される方、いらっしゃいますよね。原因はいろいろ考えられます。声が小さい、滑舌が悪い、強調の仕方が悪い、間の取り方が悪い、など。声が小さいなら、息のトレーニングなど一連の発声練習をする。滑舌が悪いなら、早口言葉の練習をする。このようにそれぞれの原因に対して、それぞれのトレーニング法があります。しかし、よく聞き返される人の多くは、このような「根本原因」からでなく、ただ単に、しゃべるのが速いことが多いです。このことを自覚すると、テクニックでカヴァーできます。

コツは、何度も同じことを話すことです。私も早口でよく聞き返されるので、ナレーションの仕事のときに先輩に教わりました。例えばですが「今日は暑いのでクーラーをつけたまま寝ようと思っている。」ではなく「今日はね、今日はですよ、暑いよね、暑いからさあ、クーラーをね、扇風機じゃなくてクーラーを、つけたまま、タイマーで途中で消したりとかじゃなくて本当にずっとつけたまま、寝ようと思っているんだよ。」とか話すわけです。

もちろんいつでも意識してゆっくり話せばよいのかもしれませんが、なかなか持って生まれたものは変わらないですよね。テクニックとして「何回も同じことを話す」、これを意識してみてください。(♭∴)

 

A. 単純に声が小さいことや、適切な高さでしゃべっていないこと、早口、音圧の弱さなど、原因はいろいろあると思います。私は別の観点から回答します。

語尾まではっきりしゃべっていないことが大きな原因のひとつです。

日本語は文末に結論が来ることが多いため、最後が曖昧だと聞き返されてしまいます。例えば「今日は晩御飯要ります」なのか「今日は晩御飯要りません」なのかは、最後の数音節で意味が判明するのに、肝心のここが不明瞭な人が多いです。聞き返すと「今日は晩御飯要りま」までハキハキ言い直してくれて、また語尾が聞こえない。再び聞き返されてしまい、「私は声が弱いのだろうか」と悩み、しゃべることへの自信をなくしてしまう。そんな人をしばしば見かけます。

傾向として、母語がラテン系あるいはゲルマン系の言語や中国語、韓国語の人、そして関西弁話者は割に語尾まではっきりしています。対して、母語がスラブ語系、南アジアの諸言語の人、そして東北弁話者は語尾が曖昧なことが多いです。

改善方法は最後まできっちりしゃべることに尽きます。話し切る息が足りないようでしたら息継ぎを増やしたたり、短い文章で受け答えするように心がけるとよいと思います。イタリア語話者のしゃべる日本語や、吉本の芸人さんのしゃべり方をよく聞いてみるのも勉強になります。(♯∂)