発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

★Q538.高音になると、バンドの音で消されて、観客に伝わりません。高い声はいろいろ出るのですが、どう出した方がよいのですか。

 他のプレーヤーの音とは、音響で調整すべき問題です。楽器とヴォリュームを競っても仕方ありません。しかし、本当の原因は、ヴォーカリストが高い音をしっかりと捉えて、歌えていないからです。表現から考えて、もっとも伝わる域で歌うようにキィを下げるのがよいと思います。高い音は、原則として、中音域をかなりのレベルまでできてから本格的に始めましょう。試しに高く出してみる分には、かまいません。
 音域や声量での問題というのは、体という楽器をしっかりとつくっておくと、なんとかなるものです。そうなると、感情を表現できる声の出し方でことばと響きのバランスをとりつつ、音楽的にも成り立つところは、おのずと限られてくるからです。
 きちんとやっていない人が、高音を出すと、それまでに片づけなくてはいけ中った問題が同時に複雑に生じます。喉を締め、首を締め、力で無理にあてます。音域が広がっては、また狭くなるという、繰り返し。そこから脱したときには、本人は習得したつもりでも、くせのついた発声になるか、あとに喉を痛めてしまう結果となります。ヴォーカルとして体が充分に使いこなせるだける楽器になっていないと、どうしようもないのです。
 根本的に解決するには、自分が楽に出せる一番高い音から、二、三音(あるいは半オクターブ)下げたところを何度もトレーニングすることで、少しずつ器を広げていくことです。