A.声優は無理な役の練習をしがちですが、ここではそれを中心とはしません。
それでうまくなっていくことは早く使ってもらえる可能性はありますが、声の可能性が狭めかねません。それで長くやったり大きくやると喉をいためます。本来やってはいけませんが、現場はそれを求めています。声優は予算の都合上もあり、何役もやれる人が求められます。すると器用な人が先に世に出てしまいます。しかし、そういう人は5、6年たつと残りません。全部が中途半端だからです。自分の理想と違うところでやっているので、タフな声で長く続けて出せません。
現場で求められている以上、そうするなとはいえません。しかし、トレーニングでやることは自分のベースの上で、あとで自分の声を繊細に扱える声を鍛えていく、その上で求められたら、声を痛めない程度に応用するようにいいます。何事も戻さなければいけません。ファインプレーやラフプレーも危ないプレーもあります。そういうとき、考えなければいけないことは、目の前の試合に勝つことです。次に、怪我をしないことです。
現場の場合は基本を守ることではありません。表現することです。練習の場合は基本を守ることですが、それは現場で応用できるためです。ステージでは、心身の中でリラックスしていて、意識していないファインプレーが理想です。しかし、そういうふうに声、体が動いていくために日頃、心の面も体の面も技術の面もやっておくことです。