A.体を使って声を出すためには、まずはのどの力を抜くことです。声を出そうとすると、必ずのどを使います。もちろん声を出すのだから、のどを使うのですが、のどを使いすぎてしまうのです。のどを使いすぎることなく、分散させていきたいのです。のどだけに集中して声を出したくないのです。そのために、体のあらゆるところを意識して、のどに意識を集中させないようにしていきます。つまりそうすることで、体から声が出てきて、体を使って声を出すということができるのです。のどをリラックスさせるという前提で下記のトレーニングをしていきましょう。
「腹式呼吸」…お腹を中心に呼吸をしていきます。お腹に息を取り込み、お腹から息を吐いていきます。のどや胸ではなく、丹田を意識して声を出していきます。
「強く息を吐く」…基本は息を強く吐くことです。腹筋等を使うのではなく、体はリラックスさせたうえで、息を強く吐いていきます。体はリラックスしているのですが、強く息を吐くと腹筋の内側の筋肉が使われるはずです。その筋肉は声を出すために必要な筋肉なのです。息を強く吐くトレーニングをすることで、息を吐くための筋肉が鍛えられるのです。この筋肉こそを鍛えていってください。
「遠くへのイメージ」…このイメージを持つことで、声が遠くへ伸びていき、勢いのあるいい声が出てきます。パワフルに声を出している時も、ソフトに出している時も、遠くへのイメージを持ちましょう。
イメージだからといって、馬鹿にしてはいけません。声を出すためには、イメージがとても大切なのです。イメージするからこそ、イメージ通りに体が動いてくれるのです。遠くへ遠くへ、自分の声が伸びているイメージを持つことで、実際にそうなるのです。イメージを大切にして、体から声を出していきましょう。
「深いポジション」…腹式呼吸はお腹を意識して、お腹から声を出していきましたが、さらに足も含めた下半身全体から、声を出していくイメージを持ってみましょう。自分が踏みしめている大地からパワーを取り込む、足の裏からパワーを吸い込む。そしてそのエネルギーを、体を通して外に出していきます。そういったイメージで声を出してみましょう。
「下半身の支え」…「腹式呼吸」「深いポジション」とも関係してきますが、自分自身が大きな木になったイメージを持ってください。たとえば100メートルぐらいの大きな木であれば、その何倍もの根が地集中に張りめぐらされています。大木を支えるためには、それだけの根が必要なのです。重心を下にして、根っこが張っていると思って、声を出していきましょう。
「腹式呼吸」「強く息を吐く」「遠くへのイメージ」「深いポジション」「下半身の支え」 これらを実践していくうちに、体全体を使うということがわかってきます。
最終的には体を楽器にしていきたいのです。楽器にするためには、体を使い、体全体を鳴らして、ひびく声を出していくのです。