発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q2863.普段の話し声を歌声に活かすためには、どうしたらいいのでしょうか?

A.日本では普段しゃべっている声と歌声が一致している人というのは、外国に比べて少ないのではないでしょうか。また今の若者に比べて、一世代前の日本人の方であれば、一致している方も多かったように思います。
普段しゃべっている声と違う声で歌うということは不自然です。できるだけ統一させていきたいものです。
そして、しゃべっている気持ちが高揚し、盛り上がって歌ってしまうというイメージが理想です。またしゃべり声に近い歌声を出そうとすると、どうしても下から声を出すイメージをします。「上にひびかせて」というイメージをもちながら、しゃべらないと思います。お腹から、下から声を出そうとするのです。このようにお腹から声を出そうとすることで、自分のもっている地声を歌声に活かすことができます。
また普段自分が発している声をしっかり聴きましょう。よくても悪くても現状の自分の声を聴き、耳に焼き付けたうえで、歌声に移行してもらいたいのです。多くの人は無意識にしゃべっているわけですから、無意識ではなく、意識的に聴くようにすることで、ペース配分やテンションのキープ等々考えられるようになってくると思います。客観的に冷静に自分の声や話し方が聴けるようになってくるのです。
普段の声を聴けることで、歌っているときも、自分の声を冷静に聴くことができるようになります。しゃべっている声が冷静に聴けないのに、歌声を冷静に聴けるはずがありません。ですから、自分の声を客観的に聴ける状態を歌のときに活かせるように工夫してみましょう。
歌っているときに集中力が高まり、テンションの高い状態でパフォーマンスできているときというのは、視野が狭くなったりしてしまっている状態ではなく、本当に冷静な部分というものが現われてきます。テンションが上がれば上がるほど、冷静な部分も増えてくるのです。だから感情的にその曲に入っている自分がいながらも、もう一人の自分は冷静に音程のことや声のことを考えたりできるわけです。
普段の声を歌声に活かしていきたいのですが、声としてはまったく同じではありません。しかし話し声と歌声を近づけていくようにトレーニングしていきましょう。またセリフを使っての練習もよいかとは思いますが、まずは自分の声をちゃんと聴くということが先決です。
そして自分の声をしっかりと聴き、受け身になるのではなく、積極的に話していけるように努力していきましょう。気持ち的にも体的にも受け身の状態では、よい声も出てきません。テンションも下がったままなのです。テンションを上げて、積極的に話していくことで、声も鍛えられます。普段の声が鍛えられれば、歌声にもよい影響が出てくるはずです。