発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q4562.「支え」とは何ですか。

A.力みのある生徒に「体が力んでいる」と指摘したところ、「お腹に力をいれて支えるように言われました」そこで「支えってなに?」と質問しました。
以前にも同様の質問をしたことがあります。出てくる答えは「お腹に力を入れて…肋骨を広げて…丹田に力をいれて」などの答えが多かったです。
声楽というジャンルが生まれ発達したイタリアという国では支えのことをappoggiareといいます。この単語、支えという意味のほかに「軽く置く」「もたせかける」「立てかける」「音を引き伸ばす、強調する」「もたれる」「寄りかかる」といった意味があります。
少なくともイタリアの声楽の世界で使う、支えの意味であるappoggiareには「力む」「固める」という発想はありません。
また音楽用語でよくでてくるallegroという言葉は楽典の本や音楽理論の本には「速く」と書いてあります。しかしイタリア語の本来の意味は「陽気な」「快活な」「楽しい」「明るい」「鮮やかな」「みだらな」「ほろ酔い」といった意味です。ただ単に早くするだけではallegroの意味にはならないのです。ただ速いだけならprestoでいいのですから。
このように、本来の意味を考えていくと実際に自分がやっている動作、音楽とは違うことがあります。
混乱したときは一度迷っている言葉を調べてみると案外解決していくと思います。(♭Σ)