発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

声Q5201.自分の話し方が単調でつまらないと感じます。どうすれば直りますか。

Q5201.自分の話し方が単調でつまらないと感じます。どうすれば直りますか。

A.チェンジオブペース(緩急)をつけて話してみましょう。話の調子に変化をつけることで、話をよりいっそうおもしろく、聞きやすくできます。(♭ё)
 
Q5202.会話が一本調子になってしまう原因は?

A.次のようなことが考えられます。
1.話す話題に興味がないときや、話す話題がない
2.話している相手の言葉が単調で変化がない
3.テンポやリズム、フィーリングが合わない
4.話し相手が一方的にしゃべっている
人と会話を交わすとき、呼吸や間はとても大事です。(♭ё)

Q5203.言葉に感情を込めて効果的に伝えるためには。

A.緩急をつけましょう。緩急の「緩」は感情を維持する、「急」は感情を解放するところです。しかし、緩急は言葉を単にぶつ切りにしたり、音の間をあけたりすることではありません。音を一つずつ切ると幼稚な話し方に聞こえてしまうので、音が切れていないような雰囲気を残しながら、思い入れたっぷりとゆったりと読むとよいでしょう。
長めの間をとった後の言葉は、やや高めに大きく入りましょう。そうすることで、より強い効果が得られます。これを「高出し」と言います。(♭ё)

Q5204.話をいっそう面白くするためには。

A.メリハリをつけましょう。最初から最後まで一本調子の会話では、人に飽きられてしまいます。どこが聴かせどころか、そこまでどのように持っていくか、その後はどう話のテンションを落ち着かせていくかなど、全体の構成から考えましょう。
大きく盛り上げるところや、小さく語るところ、声の置き方、バランス、切り方、余韻なども大切にしましょう。
いくらよい言葉でも、感情の伝わらない声や言葉では、人は感動しません。このためのトレーニングでは、詩やセリフを、気持を込めて読んでみてください。(♭ё)

Q5205.声の出し方に、いろんなアドバイスを受けて迷います。

A.声の出し方というのは本当に人それぞれだなと思うことが多々あります。私は声そのものよりもフォームやブレスに重点をもっていくので「口の形」もなるべく気にして歌います。しかしこれもバランスが大事で、口形を気にしすぎると自分の師匠のレッスンでは特に何も言われませんが他の歌い手さんの前に歌うと「もっと力を抜いたほうがいい」とかアドヴァイスをもらうことがあります。
私の考え方として「ある一定の音域は抑制されるべき」という信念があります。しかしこれはできるようになるまではとても大変な道のりで、ある期間、声がこもったり、詰まったり、奥まってしまって、歌っている側もくるしく、聞き手にも聞きづらい声になってしまいます。この期間というのはまさに我慢のときでこのときにもっと「開放しなさい」「明るく歌いなさい」と別の方に言われると別々の筋肉が働くのでどちらにもいけず苦しい思いをします。私は明るく開放するだけではうまくいかなかったタイプの人間なのでそちらにはもどれませんが自分のメソードで「暗く聴こえすぎない」方法を模索しています。
自分の先生、トレーナーを信じることはとても大事です。しかし外の現場では自分達と同じメソードで歌っている人ばかりではありません。また歌い手は一人の先生に生涯つく人は極まれでしょう。私はみたことがありません。複数の先生を経由してきた結果があるのでどれが全て正しいともいえません。
ただどんな発声でもその舞台で違和感なく仕事ができれば何も言われません。どこか不自然だったり不都合があるからダメだしをもらうのです。いろんな声の出し方があるのだという理解から勉強していくともっと楽になっていくと思います。(♭Σ)

Q5206.歌唱において、日本語は難しいと思いませんか。

A.今複数のプロダクションで複数のオペラ作品を同時進行で稽古していますが一番苦労しているのが言葉です。1つはプッチーニが書いた「ラ・ボエーム」、ヴェルディが書いた「ルイザ・ミラー」これはイタリア人作曲家がイタリア語で書いてあるのでとても歌いやすいです。日本人の私が歌って歌いやすいのですからイタリア人はもっと歌いやすいかもしれません。この二作品はイタリア語で歌います。
今大変なのはビゼーの「カルメン」を日本語訳で歌うことと石井歓作曲「今朝と盛遠」という日本語の台本の歌です。
カルメンはもともとフランス語の歌詞に日本語を合わせてあるので音符と言葉のニュアンスが違うところもありますしなにせ子音が多過ぎて音を流す、息を流すという作業がイタリア語に比べてとんでもなく難しいのです。ましてや本来イタリア語やフランス語、ドイツ語などをホールに飛ばす為の発声なので日本語のような浅い言葉は聞き取りづらくなります。
それを楽に流せるようにするためにはとても苦労します。もっと大変なのは日本語の台本をそのまま歌詞にした「袈裟と盛遠」です。ホールに響かせるために有効な長い音符が少ないので工夫と努力が必要です。同時期に複数の言語を扱うとそれぞれの特徴や長所、短所が見えてきます。日本語は、言葉はダイレクトに理解できますがそれを声にのせて2000人のホールに飛ばすのは大変な作業です。
でも日本人ですからね。日本語は大事に歌っていきたいと思っています。(♭Σ)

Q5207.年齢とビブラートは関係しますか。

A.年齢が高齢化していくにつれ、声のコントロールとは逆行して発声時に声が揺れてくる傾向にあります。プロの声楽家のなかでも、音程があるようなないような細かいビブラート(人によってはちりめんビブラートという人もいますが・・・)
がある人もいます。もちろん、気にならない方や、お好きな方もいるかも?!しれませんが、私はとても不快に思います。
では、どうしてそのようなビブラートがついてしまうのか?
ひとつは、年齢を経て声帯とその回りの筋肉のバランスが変わってきて、若い時と同じ息の圧力で息を吐くと声帯がピタッと閉まってバランスよく、効率よく鳴らなくなります。そればかりか、息の圧力で、声帯がビロビロに波打つような状態になって、声が揺れてくるのです。次に、喉の回りの筋肉だけに頼って、身体(皆さんがご存知の支え)を使わずに歌っている場合です。これも、声の暴走に近いものがあります。声帯を思いっきり絞めて歌う状態になりやすく、声帯も傷みます。(♯Δ)

Q5208.年齢によるビブラートの乱れの直し方は

A.直す方法のひとつは、ピアニシモで柔らかく声帯をあわせる練習です。ハミングも代表的な練習方法のひとつですが、ご自分だけで練習すると、喉を絞めやすくなる傾向にありますので、できたらトレーナーと一緒に発声練習してください。そして、柔らかく声帯を使って歌うということが大切です。吐いた息の上に声を乗せるというイメージを強く持ってください。始めは、OとかUとか口腔内の後ろの部分で発音する母音を選び、ゆっくりと息を吐きながら歌います。ロングトーンでいいので、声帯を柔らかく合わせましょうという意識を持って発声しましょう。そこでフォルテくらいの音量で歌わないで下さい。(♯Δ)

Q5209.呼吸について教えてください。

A.発声に欠かせない条件に、呼吸があります。声は耳で確認できるので教えても習い手も一応理解しやすいのですが、呼吸ばかりは教えるのも教えられるのも難しいと思います。もちろん、声を聴けばだいたいの呼吸の状態は想像できるのですが、しかし意外とその矯正は難しいです。特に高音を出す際の腹背筋の使い方は難関です。声帯回りの状態や共鳴も連動することですから一概には言えませんが、とにかく喉元胸元の力みを抜いてほしいです。声がひっくり返ってしまうくらい抜いてほしいです。安定した高音の出せる人の体感と出せない人の体感は、天と地ほど違うのです。僕自身が昔高音が出なかった経験上そう思うのです。
そしてとにかく呼吸の通り道に妨げなく軟口蓋、歯の裏側へと呼吸がアーチを描いて流れていく呼吸をイメージしてほしいです。
僕はよく、いびきをかかせて呼吸を確認させます。舌根と喉チンコを摩擦させて呼吸させることにより、呼吸を肌で感じ、また舌根の力みもとれるのです。その感覚で声を出すと流れのいい呼吸に声が乗ります。よくいう「カラス発声」です。呼吸を体感するエクササイズ、推奨します。(♭Д)

Q5210.人前で歌ったり台詞を読んだりする時、気にすることありますか?

A.人前でパフォーマンスする上で意外と見落とされているのが、ボディーコントロールです。立っている時の重心、リラクゼーション具合、歌詞や台詞の内容に応じたゼスチャーや身体の状態です。
プロの現場と比べて言いますと、皆さんは身体の細部への意識が不足しているように感じます。プロの現場では、ヨガ、太極拳、気功、様々なリラクゼーション法など皆、独自のやり方で自分の身体の調整を行います。演技や声の出方が本調子でないと、プロの役者は身体的な調整に必死になります。つまりベストなパフォーマンスの身体の状態を認識してるのです。舞台に立つ、とはただ立っていればいいのではなく、パフォーマンスする上でより良好なからだの状態がある、ということを知っていただきたいです。
また、歌唱や台詞、朗読をするときに見落とされがちなのは、伝えようとする内容や生まれた感情に応じたふさわしい体の状態に演者がもっていけるか、という視点にたつことです。日常では人は皆、良くも悪くも状況に応じた自分の心理作用にともなった体の状態になるものです。しかし演技となると、これがギクシャクしたり棒立ちになりやすいのです。つまり、自分の心理状況に応じたゼスチャー、立ち方、歩き方・・・つまりは役の心理状態にふさわしい体の状態にもっていきにくいのです。わざとらしいゼスチャーをしなさい、と言っているのではありません。歌い喋る時、伴奏を聴く時、人の台詞を聞くとき、ブレスをとる時・・・常に自分の演じてる心理作用に応じたからだの状態を探してみてください。これは瞬発的なもので、繊細なものです。基本はリラックスしている上で行われるのがふさわしいですが、コツをつかめば緊張状態の時にも行えるし、またこれは逆に緊張状態を解いてくれる役割ももってます。
(♭Д)