発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q5211.オペラ歌手は太らないとなれませんか。

 
Q5211.オペラ歌手は太らないとなれませんか。

A.確かにオペラ歌手にはそういう人も多いし、胴まわり100センチは必要とさえいわれていました。オペラでもビジュアルな面も問われるようになって、マリア・カラスはデビューから結婚したとき(26歳)に100kg以上ありましたが、サナダ虫で、奇跡のダイエットに成功しました。しかし、これが声の寿命を縮めたといわれています。
ポピュラーにもジャズやゴスペル、エスニックなども、でっぷりした人は声がよく、そういうヴォーカリストが多いのは確かです。
(♭ф)

Q5212.相撲とりは声がよいのでしょうか。

A.高見山の声は、現役時代からテレビCMにも出演、「マルハッチ」「2倍、2倍」など、あの独特のしわがれ声は、人気でした。はじめて迎えた日本の冬に、扁桃腺をはらし、手術をしました。しかし、完治しないうちに、稽古をはじめてしまったといいます。のどに手をあて、上体を起こす「ノド輪」攻めのために、手術跡が炎症を起こし、声帯がつぶれたそうです。アメリカンフットボールの選手のころは、なかなかの美声の持ち主だったそうです。(♭ф)
 
Q5213.相撲とりは声がよく、歌がうまいといわれるのはなぜ。

A.プロの演歌歌手であった関取がいたからでしょう。増位山、琴風などは美声でならして、プロ歌手としてデビューし、もそれなりに売れています。演歌で女の気持ちを歌う人が多いのですが、独特なものですね。(♭ф)

Q5214.海外の太ったオペラ歌手について知りたい。

A.パヴァロッティは、150~200kgくらいといわれていました。体重が増えると、足が支えきれず公演がキャンセルとなるし、モンセラ・カバリエ(スペイン ソプラノ)は、転んで起き上がれず、横になったまま歌い切ったといいます。ドミンゴも、ステージ前にはシャンパン、ワイン断ち、ダイエットをするそうです。(♭ф)
 
Q5215.オペラ歌手は、わざと太るのですか。

A.役柄で役づくりもあるとは思います。しかし、ワイン、ピザ、スパゲティと、声楽家は大食いで陽気な人が多いともいえるでしょう。
気分よくしていなくては声に悪いからです。移動が多いと食事の時間も不規則であるなど、太る条件も揃っています。(♭ф)

Q5216.スマートなオペラ歌手もいますか。

A.最近、舞台もTV中継されたり、ビデオになったりしており、太りすぎているとオペラでも見栄えがよくありません。貧しい人、死んでいく人が主人公というときは、似つかわしくないかもしれません。(♭ф)

Q5217.シャウトの力の発揮について教えてください。

A.シャウトでの筋力発揮は、確かに、かけ声によって発揮筋力が増大するが、そのメカニズムは、まだ不明と思います。ただ、かけ声という筋力発揮とは別の神経活動が運動中枢の活動様式に影響して、抑制を低減するためと想像されています。石井直方氏の「筋肉学入門」には、加齢によって委縮しやすい筋として、頸部や背部(広背筋)、腹筋、大殿筋などがあがっていますが、歳をとってもトレーニングで回復できるという希望も述べられています。(♭ф)

Q5218. 歌手にはスポーツマンが多いのですか。

A.三大テノールの三人は1990年、サッカーワールドカップの決勝前夜祭をローマで行ないました。その三人ともサッカーには縁が深いのです。特にパヴァロッティは、19歳までプロサッカーチーム、レパント(モデナ)のゴールキーパーでした。ドミンゴゴールキーパーで、プロを勧められるほどのレベルだったといいます。カレーラスもサッカー少年でした。
歌手とは自分の体を楽器として使うのですから、スポーツ選手、アスリートと同じく、肉体労働者です。歌い手には、原則として、虚弱体質はいません。それでは歌の練習も舞台もできません。また、スポーツ選手ほど、若くして肉体的限界はこないとしても、歌手の声は、いつかピークを迎え、落ちていきます。しかしそこから、表現者として、芸術家としての進歩、成熟していくともいえるのです。
(♭ф)

Q5219.カリスマの話し声の特徴は?

A.声は、話し手がどのように使うかによって説得力がまるで変わってきます。声を分析をすると、興味深い結果が現われてきます。
演説がうまかった政治家、故・田中角栄氏の声は、強弱がはっきりしてフラクタル的(1/fゆらぎ)、保険会社のトップ・セールスマンの話し方もそうなるそうです。
声の魅力は、ことばのなかのリズムにも深く関わってくることがわかります。(♭ф)

Q5220.ヒトラーは「1/fのゆらぎ」の声を出したのですか。

A.ナチス・ドイツの大衆操作に関しては、多くの研究がなされています。ヒトラーは、「人心を捉えるのは、書かれた言葉ではなく、話される言葉によるものであり、世の偉大な運動のすべては偉大な雄弁家によって伸びていく」と言って、演説の重要さを説いていました。彼の演説は、石つぶてをバラバラと投げつけてくるような強烈なものであったといわれています。
彼の演説は、記録映画などに多く残されています。その中から、話の抑揚に関してパワースペクトルを調べると、ヒトラーの口調は、激しいものであったに関わらず、話のリズム、抑揚は見事な1/f特性を示しています。(♭ф)