発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.私の先生は、腹筋などの筋トレや声を鍛えることに反対するのですが。☆☆

Q.私の先生は、腹筋などの筋トレや声を鍛えることに反対するのですが。☆☆

A.私のところのトレーナーは、それぞれに立場がありますが、相手と目的によって、柔軟に対応しています。筋トレはアスリート並みの体のある人には、それ以上に必要と思いません。呼吸に関しては人によります。一般の人や、これから伸びる子供たちには補うべきと思います。

反対の根拠は、鍛えると硬くなる、固めてしまう、そのために動きがスムーズにいかなくなることなどのようです。しかし、これは鍛えようとしているときに起きることで、鍛えられたら余分な力は入りません。鍛えられていないと、少し無理がかかると支えられなくなります。これは、スポーツでも同じです。力を働かせるのに力で固めては力は働きません。強くすることイコール硬くする、固めるではなく、柔らく、しなやかに使うのだと思ってください。また、強くすることは、弾力に富み適応力を増すことの方向に捉えることです。

第二の反対の理由は、バランスの崩れです。これもすぐに使うのか、何年後に使うのかで、かなり考え方が変わるでしょう。急に変えようとするのは、リスクを伴うものです。ですから調整をずっと行うということも、長期において、適応するように鍛えられていっているのです。それも、私はヴォイトレとみています。また、アスリートレベルに恵まれた体感覚を持つ人なら、筋トレのような補強をまったくなしに歌唱だけでも充分なケースもあります。二極論でみないことです。

 

Q.声を鍛えてないはいけないと言うトレーナーと、声を鍛えるべきだと言うトレーナーがいるのはなぜですか。☆☆☆

A.最近は、鍛えるなというトレーナーばかりではないでしょうか。それは、発声の理論のおかげというよりは、音響技術が発達して声量のある喉の強いようなヴォーカリストが求められなくなった、少なくなったせいです。日本の声楽でも同じ傾向があります。

一定水準の完成度、無難に安定したステージが求められるので、歌手もリスクを嫌って冒険しなくなったのです。

完璧な歌唱で感動させられないと満足しない客ゆえ、ベストでない喉のときは、キャンセルする海外のアーティストと、少々、歌唱が悪くとも気にせず(あるいは、わからず)、出演の努力を喜ぶ日本の客温かさ (鈍さ)との違いもあります。そのため、プロ歌手で喉を壊す日本人は、昔に比べ減っています。

POPSでは高音志向のため、ファルセットなどの多用、声を薄く浅く使うために、ヴォーカリストの喉は鍛えられなくなりました。

もとより、喉を鍛えるというのはイメージ言語です。昔は、寒風のなか、喉から血を出して鍛えたというような人もいたようですが、さすがにそれを乗り越えてきた名人たちに習うという人はいなくなりました。喉そのものには、個人差があり、育ちの差があるので、私も海外のへヴィメタやフラメンコなどの、強い喉での発声を手本に、とは言えません。

しかし、歌唱を離れると、俳優、声優はもちろん、お笑い芸人、噺家、さらに邦楽、詩吟、民謡などでは、あたりまえのように声のトレーニングは、声量も含めて、いや声量を中心に、かなりハードに行われているのです。

歌い手の声が素人並みになってきたことも忘れてはいけません。それゆえ、魅力もおちたといえるのです。ただ、これは、トレーナーの方針より、本人にどのくらいの声があり、その声の可能性がどういう方向にあるかという問題だと私は思っています。

 ちなみに、鍛えるのに否定的なトレーナーは、主として次の3つのパターンです。

1、素質に恵まれ、長い時間に理想的に声を獲得できた。

2、鍛えようとして壊したり、苦労して声をみつけた。

3、鍛えられていない声であり、そういう体験もない。(弱い高音しか出ず、中低音域や話す声が素人)

 

Q.大きなイメージで声を教えるトレーニングと、とても細かくゆっくり丁寧な声を導くトレーニングはどちらがよいのでしょうか。

A.目的やあなたのレベル、方向、期間、その他もろもろによって異なります。トレーナーにもいろんなタイプがいます。大きな―小さな、細かい、丁寧は、どちらも大切と思います。思いきって声を出しつつ、出した声については丁寧に扱っていくことですが、大体はどちらかに偏ってしまうのです。歌については、日本人は丁寧さにばかり重きを置きがちですが、プロの条件の一つはインパクトなのです。きれいに美しく歌にしているだけでは、プロになるのは相当なハイレベル、かつ生まれもった声がないと難しいと知るべしです。

 

Q.トレーナーが指示することが、トレーナー自身でそのようにやっていないように感じます。

 

A.それが本当であるなら、先生から教わったままに、消化せずに受け売りしているトレーナーによくあることです。見本をとるか、指示をとるかを決めることでしょう。

 

Q.個人レッスンだけしているトレーナーと、グループレッスンをしているトレーナーとどちらがよいですか。☆

A.私は経験として、グループで同じメニュを6クラスで120名以上、10年以上使った上で、個人レッスンに切り替えました。トレーナーとして、グループレッスンは、多くのことを学べたからです。トレーニングメニュのよしあしや、生徒のタイプなどを比較できたのは、何よりの勉強でした。しかも、個人レッスンとは比べものにならないほど多くの人をみて、いろんな声に触れられました。どちらもの経験もある方がよいし、少しでも多くの人を長い間みて、経験が豊かになるのに越したことはありません。(rf「読むだけで…」)(♯)