発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.声によい柔軟体操を教えてください

.今では、柔軟体操といえばストレッチのことと思われるほど、ストレッチという言葉が普及していますが、そのわりには正しくストレッチが理解されてはいないようです。もともとは、ヨガの修行のアサナが、体を柔軟にする効果が高いので、一般の人にもそれを実施しやすくするために改良されたものがストレッチだといわれます。それまでは、柔軟体操といえば、軽く反動をつけて、前屈したり体をひねったり、NHKのラジオ体操のようなものが、柔軟体操でした。しかし、体を柔軟にしたい思いが暴走すると、反動をつけ過ぎて筋肉を傷めたりしやすいので、ストレッチが脚光を浴びたようです。

本来のストレッチは、柔軟にしたい筋肉を楽に伸ばしたまま40秒程度キープするということが基本でした。ところが、5秒程度しか伸ばさなかったり、反動をつけて伸ばしたりと、かなり間違った方法をストレッチと思い込んでいる人も少なくないようです。

また、ストレッチは体を柔軟にする効果は高いのですが、運動の前に体を柔らかくすることは、ケガを減らすどころか増やしてしまう場合もあることがわかってきました。アキレス腱などいわゆるスジは、ストレッチによって柔らかく伸びるのですが、伸び過ぎるとかえって姿勢などをキープし難くなり、激しい動きによっては、ケガにつながるということです。

実際にストレッチで延びたスジは、数時間で元に戻るので、直後に激しい運動をしなければよいようです。最近は、野球選手などに見られるように、運動前にはハードにストレッチをするのでなく、楽に無理のない動きを付けながら、実際に野球で使う動作などの可動域を広げるように、動的な柔軟体操が用いられているようです。声を扱う人は、声帯のある喉首周辺と、呼吸に関連する胸腹体幹の柔軟体操は、最低限、取り組み続ける必要があるでしょう。(♭Ξ)

 

.私自身は身体をほぐすぐらいは歌う前におこないますがこれといって特別に柔軟体操などを取り入れてやっているわけではありません。基本的に音楽や舞台をやる人でなくても健康であってほしいので自分にあった柔軟体操などはやるべきだと思います。

例えばパヴァロッティなどはインタビューでヨガの呼吸がいいなどと言っていました。やらないよりやった方がいいと思います。

私は柔軟という意味では、顎や舌根の体操は多くやります。後は身体を温めるために散歩したり屈伸は結構やりますね。寒いと身体が固まりやすくなるので寒い時期は柔軟というよりは身体を温めるため血行をよくするために何か運動をやることが多いです。(♭Σ)

 

.柔軟体操で一番気にするところは、肩甲骨の辺りをほぐす、背中をほぐす、股関節をほぐす、首周りをほぐす,手首、足首をほぐすことです。

肩甲骨は、特に冬の時期だと、気温が低くて寒いとより固まりやすくなっています。骨から筋肉を引き剥がすイメージで、ひじを肩のあたりと平行になるように上げて、肩甲骨を背中の中心に寄せるように胸をはります。背中も同様に、しっかりねじる運動をして横わき腹のあたりを動かしてください。

股関節は、お相撲さんのようにまた割りをするイメージで。首周り、手首、足首はゆっくり回してほぐしましょう。(♯Δ)

 

.直後に声を出すことを前提に、色々なやり方があると思いますが、大きく分けて「立ったままのとき」、「横になれるとき」の状態でより効率的なものをひとつずつ紹介します。

ひとつめは、すでに衣装を着ている、横になるスペースがないなどの事情があっても立ったまま行える方法です。肩幅よりも少し広めに脚幅をとり、前屈します。肩甲骨のまわりをほぐすように、左右交互に肩甲骨を前に回します。このときひじをぴんと張ったままだと水泳のクロールのような動きになってしまいますので、なるべくひじを張らずに行い、腕は動きに身を任せるような感じで大丈夫です。気持ちよいと感じられる程度行ってからゆっくりと起き上がります。たったこれだけですが、肩甲骨をまわすことで背中と胸どちらも広がるので、身体が眠っていると感じるときや、逆に力みや緊張で背中が固まっているときなどにとても有効です。

ふたつめは、仰向けになって行う方法です。腕は45度くらいで手の平を上に向けてリラックスします。脚は膝を立てて、お尻からかかとが見える位置で脚幅をとります。左右の膝を同時に左に倒します。倒れるところまで倒し、床につく人は床まで倒しますが、なるべく右腰が浮かないように行ってください。柔らかい人は同時に顔を右に向くとより効果的です。左に倒した後は一度真ん中に戻り、今度は同じように右に倒し、これを繰り返します。この動作で横隔膜のストレッチになります。(♯α)

 

.首を回す。首の後ろ、左右、上向きでストレッチ。

肩を回す。肩を上下に上げ下げする。

腕を横に引っ張るストレッチ。腕を後ろにして、二の腕のストレッチ。

腕を前に伸ばして、手首のストレッチ。

前屈して上半身の力を抜く。ゆっくり起き上がってくる。

側筋のストレッチ。身体をぐるぐる回して、腰周りの緊張を解く。

屈伸や伸脚、アキレス腱を伸ばしたりして、下半身のストレッチ。

仰向けに寝て、足を片方ずつ持ち上げ、自分の方に引いてくる。(足の裏のストレッチ)

仰向けに寝て、両足を高く持ち上げ、その後頭の後ろまで持っていって腰のストレッチ。

仰向けに寝て、右足を左脇腹の方に伸ばす。(左も同じように)

正座の状態から仰向けに寝て、腿の前の部分のストレッチ。

脚を前に伸ばして床に座って、そのまま前にストレッチ。(ひざの後ろのストレッチ)

開脚をして、内転筋のストレッチ。左右に体を倒して、脇腹のストレッチ。

前に倒して胸と床がつくよう、手を徐々に前に伸ばしていく。

一時期流行した「ブートキャンプ」や「カーヴィーダンス」なども歌う前に取り入れたこともああります。(♯Å)

 

.歌う前に、なるべく柔軟体操をするようにしています。私が身体が硬いのもありますが、歌を歌うということは全身運動なので、全身が一体のものとして感じられるように、床に座り、片方の足ずつ、ひざの裏と、腰を伸ばします。このときに息を吐きながら伸ばすのですが、筋肉を伸ばすこと、息を吐くこと、そしてその息に声を載せて発声することを目的としています。

ひざの裏のほかには、首筋、鎖骨の周りを手でさすりながら伸ばしたり暖めたりしていきます。歌を歌う人の中に、このあたりをカチカチに固めてしまって歌っている人がたまにいます。私も昔は身体で支えられずに声を首辺りで支えてしまっていたので、自分の固めがちな部分を緩ませるという意味合いもあります。

あとは、体幹をねじって、ひねりを利かせた状態で、横隔膜を下げながら呼吸をしてみるなどもします。

脊柱規律筋を、のびをするかのように伸ばしながら息を出したりもします。

とにかく、歌うということは全身運動であるということを念頭において、あらゆる思いつく限りの体操をしてみると言うスタンスでおります。(♯β

 

.身体がかたい人、首や肩、背中がこりやすい人は、息を吸うときに力みやすく、その状態で発声しようとすると更に力んだ状態での発声になりますので、効率がよくありません。

発声しにくいと感じる人の原因の多くに、この「力み」の問題があります。無理のない自然な声というのは、自然な息の流れの上で行われるものです。そのためにも、身体を「しなやかに」使うことが重要になってきます。

力みやすい人の特徴をみると、「膝が固い」、「首や肩に力が入る」という現象を感じます。膝を突っ張った状態で立つと足に余裕が無くなり、結果的に上半身まで力みやすくなります。また、首や肩が硬くなる人は、この部分に声を支える力を作用させていることもあります。

これらを柔軟に使えるようにするためには、膝の辺りから、「自分が柳になって風に吹かれている」というようなイメージを持って、前後左右に揺れながら、ブレスと発声の練習をすることをお勧めします。力みやすい人は、客観的に見ると無意識のうちに動きが止まります。常に動き続けるようにして、リラックスした状態で出せるようにしていきましょう。(♭Я

 

.歌は全身の筋肉運動なので、柔軟体操はとても大切です。

ジョギングの前に柔軟体操をしないでいきなり走り出したら、体が本来の力も出せませんし故障にもつながりかねません。歌うのもまったく同じことです。「体が硬いんです」という方もたくさんいらっしゃいますが、いきなりすごいことをしようと思わず、今の自分を少しでも磨こうという気持ちでできるところから始めてみましょう。

とくに首回りや背中の筋肉は柔らかくしなやかに保ちましょう。このあたりの筋肉の働きは声に直接影響してくるので、毎日少しずつでも習慣にできると良いでしょう。気をつけなければいけないのは、無理な力を加えないということ。とても繊細な筋肉群ですから、丁寧に優しく扱ってください。また、これからの季節、冷えたまま柔軟体操をすることは控え十分に温めるということも心に留めてください。

体の関節や筋肉の柔軟体操は、少し広いスペースが必要ですね。場所が確保できれば、床に体を押しつけるようにしてゴロゴロ転がってみるだけでもずいぶんほぐれ、体の感覚に新たな発見があります。(♯ё)

 

.柔軟体操という言葉は、読んで字のごとく体を柔らかくすることと、運動選手がトレーニングや試合前に行うストレッチ等などの体操です。この体操を行うことにより、股関節をはじめ各々の関節が柔らかくスムーズに稼動し、結果的に体を起こしたり、ケガを防止することができます。

もちろん声楽、演劇をはじめ声を生業とする人たちにおいても柔軟体操は必要です。柔軟体操をせず、体が硬いまま声を出そうとすると体が使えず、喉に頼って声を発する可能性が高くなります。しまいには、喉が疲弊し痛くなる危険性が強いです。また舞台上で演ずる際にケガにもつながります。

柔軟運動をすることで体が起き、体内の血の廻りがよくなり、おのおのの関節、筋が伸びたり稼動し、体がほぐれていきます。そのほぐれた体の状態からは、体全体を使って発声することが容易となります。喉への負担もかからなくなり、健康的な喉を保つことが可能です。早朝、午前中、長時間のデスクワーク後に声を発する必要がある場合は、声を発する前の柔軟運動が特に必要です。

(♭й)

 

.私が教わりました柔軟運動をあげます。主に筋肉の筋を伸ばす、ほぐす運動です。

1.座る、起立どちらでも構いませんが、右手を左の即頭部に添え、ゆっくり10秒ほど右下へ押していきます。(34回ほど。左の首筋の伸びを意識します。逆の手も同様に繰り返します。)

2.次に起立をした状態から両腕をできるところまで伸ばし、伸ばし切ったところから一気に両腕を降ろします。(34回ほど。肩甲骨、腰周り、太ももの裏、ふくらはぎの裏、足首の伸び、ほぐしを意識します。)

3.起立をし、両腕が上へ伸び切った状態から手を組み、ゆっくり左右に振ります。(右左各々10秒ほど。34回ほど。わき腹の伸びを意識します。)

4.3の状態から真ん中に戻し、今度は右手を左肘に、左手を右肘に添え、ゆっくり左右に振ります。(右左おのおの10秒ほど。34回ほど。脇下周辺の伸びを意識します。)

これだけでも体が起き、ほぐれます。体全体を使って声を発することが少しでも容易になるのではないかと思います。大事なことは14まですべて息を吐きながら行うことです。 (♭й)