A. 前重心になりやすいという癖を認識しているのはよいことですが、ただ単に後ろ重心にしたら解決するというわけではありません。実際、歌うときに支える部分は身体の後ろ側ではありますが、足裏がバランスよく地面につき、安定して立っているときに本来の「身体の支え」が働くのです。身体を後ろ重心にすると、歌とは関係なく、身体が後ろに倒れないように支えるための筋肉が働き出します。また上半身が後傾するのに伴って、常に顎が上がった状態になってしまいます。
このことは、声を出さなくても後ろ重心で立ってみればすぐにわかります。もし意図的に後ろ重心にして上記のような状態で発声し続けていると、さらなる癖や力みが出てしまう可能性があります。
まずは、真っすぐに立つ姿勢を作ってみましょう。安全に椅子などにつかまって、つま先立ちになってみてください。数秒キープしたらかかとを下ろし、両足の指をギュッと握るように力を入れます。そして足指に入れた力をフッと抜いたときが真っすぐ立った姿勢になります。前重心になったと感じた際にはいったん発声を中断し、ぜひこの方法で姿勢を整えてから発声を再開してみてください。