発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

☆Q1617.呼吸法のヒントを何か教えてください。

音楽之友社「うたうこと」(フリデリック・フースラー、イヴォンヌ・ロッド=マーリング著 須永義雄、大熊文子訳)より、引用します。

A.歌手が呼吸に関して無条件に銘記すべき原則
1.まず、機械的-方式的にやらせようとする「呼吸法」はどんなものでも(それについてかかれたものも含めて)、すべて避けた方がよい。たいていのものは反自然的なことをやらせようとしているから。

2.声をだそうとするとき、空気をいっぱい吸い込んではいけない。そうしたところで息が長くなるわけでもなく、また、声も強くならず、よく通るようにもならない。

3.発声にさいして習慣的に息をたくさん吸い込みすぎ、それをしっかりもっており、つかわずに溜めておこうとする人は、遅かれ早かれ結局は呼吸器官を弱め、それに伴ってのども弱くなってしまうだろう。

4.次の区別を学ぶ事。呼吸器官の働きは、歌うさいには、極度に徹底的で強力なものでなければいけないけれども、息の使用量は極度に少なくしなければいけない。

5.すなわち、呼吸器官と息と、この二つははっきり区別しなければいけないのである。したがって「呼気ならびに呼気の圧力が発声のさいの駆動力である」という古い見解は、新しい科学的な研究によって否定されてしまったのである。声楽発声機構は管楽器と同じではないのである。「声帯は呼気流とは無関係に振動し得る」といほうがむしろ正しい。したがってもし音符またはフレーズの終りに、はっきりした爆発的な雑音を伴うようなことがあるとすれば、それは誤った出し方、声楽的ではない出し方であるにちがいない。

6.何よりもまず、息を吸おうという意識を持たないこと。何よりもまず第1に、正しく呼気をすることを心がけよ。そうすれば、全く信頼すべき法則に従ってほぼ確実に自動的に吸気がおこなわれる。

7.よく機能している咽頭は、かなり高い程度にまで呼気を調節し訓練するものだということも考えよ。だから、声には常によい「アンザッツ」をしなければいけない。

8.声を出さない呼吸練習は限定された価値しかないから、それにあまり多くの時間を空費してはならない。

9.時とともに、身体の形をよくする代わりに、かえって身体をみにくくするような声楽発声呼吸は、無条件に誤りであるとしてよい。(例えば慢性的に出た腹、曲がった背骨) (♭Σ)