発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3955.生理的限界と心理的限界について教えてください。

A.スポーツでの話ですが、発声トレーニングを開拓する上でも参考になると思います、生理的限界と心理的限界についてです。生理的限界と心理的限界という言葉を聞いたことがあるという方はそれほど多くはいないと思います。しかし、スポーツのトレーナーならこの言葉を知らないという方はまずいないと思います。それほどこの言葉は重要な意味を持つのです。

生理的限界というのは人間が本来もっている潜在的な能力(ここでは筋力のこと)の限界値をいいます。しかし、この能力は一般的な身体の仕組みとして、全てが使われているわけではありません。即ち、当の本人が最大筋力を発揮しているつもりでも神経系の防衛機構の働きによって抑制されてしまい、その一部の能力しか使えないでいるのです。定期的にトレーニングをしている人でさえも生理的限界の70%に相当する筋力しか発揮できないといわれています。これがいわゆる心理的限界と呼ばれるものです。つまり私達が最大筋力だと思っている部分は「心理的な抑制がかかってしまった一番低いレベルの筋力発揮」ということになるのです。

生理的限界と心理的限界の差には個人差があり、パワーリフティング、ウエイトリフティングなどの競技を行っている方では、心理的限界が生理的限界の85%~90%にも達するといわれています。この差が筋力差をうむと言われています。(♭∀)