発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. オリジナリティについて、教えてください。歌い手でも、作詞、作曲や楽器はできなくては、よくないのでしょうか。

A.自分の曲で勝負しなくてはいけない時代のようですから、作詞作曲をするのはよいことです。しかし、自分の歌での個性とあまりに無関係につくっているもの、「創作はパクリから」といっても、亜流のような曲が多すぎる気がします。憧れのアーティストの曲しか、頭の中にはないのかもしれません。

要はオリジナルといっても、自分が作ったという形式だけで、内容がない、自分の持ち味も見えないし、何をどのように歌っていこうとするのかという、姿勢もわかりかねると、共感しかねます。

世界で何万もの曲が出ている中でヒットした曲、あるいは、ワールドチャートのランキングに入った曲と、あなたが作った1曲も、同じ1曲です。オリジナルというなら、自分たちの音楽が何に根ざし、どういうところにあるのかをしっかりと捉えた上で、自分ならではの曲を作ることです。

といっても、とにかく理屈なし、まずは作りまくることでしょう。

何よりも、表現される作品としてのオリジナリティがどのくらいあるかということが大切です。歌は、ヴォーカリストしだいでよくも悪くもなるとはいえ、いずれは、本当にあなたの個性を生かす曲づくりをすることです。歌のオリジナリティは、あなたの持ち味を生かせるかどうかなのです。

はじめてやったからとか、他人と違うことをやるのがオリジナリティというのではありません。人と同じことをやりながら、そこに埋もれず、その人らしさが光る、というのが本当のオリジナリティというものでしょう。何を歌っても、曲や歌の中にあなたが埋もれてしまわないこと。それだけのものをあなたはみて、自分の声や声の使い方を磨いてきましたか。あなたは自分の最高のセッティングが、選曲、テンポ、キィでわかりますか。 

あなたと曲とが本当に一体になって迫ってくる、存在感とパワーが感じられるステージに、人は心を打たれるのです。このパワーの源がオリジナリティなのです。

世界にはたくさんのよい曲があります。それをオリジナルに歌う練習が、力をつけると思います。テンポもキィも変える。スタンダード曲をオリジナルに歌唱するところから入る、オリジナルに編曲、作詞し、リカバーするのは、もっともよい練習です。

とにかく「誰かのようだ」「聞いたことがある」「古い」と思われるものは、求められるオリジナリティとは違うのです。

とはいえ、それぞれのスタイルでプロとして通用している人は、それぞれによいのです。ファンが決めるのですから、成り立っているものには理由があるのです。

ヴォイストレーニングは、自分の声の使い方と思われますが、私はオリジナリティ(自分の声のデッサン、線=フレージング、色=音色)を見つける手段だと思っています。(♭π)

 

A.クラシック音楽では、楽器を使う場合は、同じ楽器を使うので、楽器のよし悪しはありますが、極端な違いはなく、特に 素人の方が聞いた場合は、ほとんど違いは感じないでしょう。人の声を使う声楽でも、クラシック音楽に興味がない人が聞けば、男女の声の違いくらいしか、気がつかないかもしれません。それは、効率よくいい音やいい声を出すテクニックは、ある程度決まっていて、演奏者はそのテクニックを長年かけて習得しているので、同じような音や声になっていくらかです。ですから、驚くほどの他との違い、オリジナリティは、生まれないのです。

それでも、ソプラノ歌手のマリア・カラスや、テノール歌手のマリオ・デル・モナコなど、一世を風靡したオペラ歌手もいて、プロやマニアの聴衆にとっては、とても画期的な声だったので、プロには疎まれ、聴衆には拍手喝采でもてはやされました。プロの間では、喉を壊すので、真似をしてはいけないと、言われましたが、似た声を出すソプラノ歌手やテノール歌手も出てきました。しかし、やはり二番煎じに変わりはなく、一時的に注目はされても、大喝采を受けることはありませんでした。

歌手でも、作詞・作曲や楽器はできた方が、いろいろな場面で役に立ったりしますが、必ずできなければいけないわけではありません。特に、不得意なのに無理をして取り組むよりは、曲や発声のトレーニングをしっかり積み重ねた方が、はるかに有益でしょう。逆に、作詞・作曲や楽器が好きならば、本業の研鑽を邪魔しない程度に、取り組むのは悪くないでしょう。(♭Ξ)

 

A. 歌手、シンガーソングライター、弾き語りのジャズシンガー、ギターやピアノ、ドラムなどのミュージシャン、いろいろな分野の方がいると思いますが、こうでなければならない、ということはまったくないと思います。

演歌歌手やミュージカル歌手、オペラ歌手、シャンソン歌手などのさまざまですが、これらの中で、作詞作曲をされる方はそんなにいらっしゃらないように思います。ジャズの弾き語りの方も、スタンダードを歌うことが多く、オリジナル曲を披露することは少ないように思います。

オリジナリティは、その人の内側から隠したくても出てしまう、湧き上がるようなものであり、義務感で作り上げるものではないと思います。自分の好きなことや得意なことを伸ばした結果出てくるものではないかと思います。しかし、そこに至るにはやはり、掘り下げていく作業は必要なのではないでしょうか。

もしあなたが詞を作ってみたい、曲を作りたい、何かを作らずにはいられない、という気持ちがあるのであれば作ればいいと思います。そして楽器についてですが、これも、楽器ができない歌手はたくさんいると思います。そのような方は、それに代わる音感が素晴らしかったり、表現力が素晴らしいのかなと思います。でも、何か一つピアノやギターなど、音階の鳴る楽器をやると、音程の指標になるので便利ではあると思います。(♯β)

 

A.詞を書きたいならばより語彙力があった方がいいでしょうから、文章を読む、思いついたときに詩を書き続ける、書き留める習慣はあった方がいいでしょう。日記を書くのもいいかもしれません。作曲ならばギターやピアノは多少なりともできた方がいいでしょう。または、楽器に代わる機材を使えることが必要になってくるかもしれません。

基本的にはオリジナリティを求めるときに、「しなければいけない」よりもなにを「したいか」が重要になってきます。作詞、作曲、歌唱すべてを自分が担当したいということであれば、ある程度の知識や機材は必要になってきます。例えば、たくさんのアーティストがカバーしている曲などをたくさん聞き比べしてみましょう。同じ曲なのにそれぞれの個性がみえてきます。これもオリジナリティだと思います。その意味では名曲と呼ばれるものほどカバーされているので、聞き比べてみるといいと思います。

歌手としてオリジナリティを求めるのに作詞、作曲が必ずしも必要とは思いません。有名曲でも自分なりの表現が見つかればそれはオリジナリティだと思います。しかし、作曲をしようと思うならばある程度の知識と楽器、機材は必要になってくると思いますのでそれを扱える技術は必要になってくると思います。結局はどこまでを歌手一人がやりたいかということで変わってくると思います。(♭Σ)

 

A.歌手は、文字のとおり歌い手であり声で音楽を奏でる人のことで、それだけで充分に役割を担っています。作詞や作曲ができないとだめだという概念をお持ちなのであれば、ぜひこの機会に払拭してください。楽器に関しても同じで、やりたい人がやればいいだけのことです。もちろん、何か楽器を演奏することで自分の音楽的な幅は広がると思います。それらのことができないとオリジナリティがないということも一切ありません。

歌手としてのオリジナリティとは、あなたの声・身体つき、あなたの音楽的表現、あなたの物事の捉え方・生き様などのことではないでしょうか。もし仮に歌手Aさんと歌手Bさんが同じ曲を歌ったとしても、全く同じ歌にはなりませんよね。声質が違うのはもちろん、歌詞の受け取り方・感じ方も違うので、自ずと表現もそれぞれの色が出てきます。つまりは、一人ひとりがすでにオリジナリティを持っているということです。音楽を続けることはそれを磨いていく作業のようにも感じられます。

(♯α)

 

A.この質問には二つの意味合いがあるように思います。一つ目はオリジナリティですが、いわば個性です。他の人と差別化を図る意味合いが強いと思いますが、この部分は、自分の特徴とは何であるのかという部分に着目してみてはいかがでしょう。声、音楽性、パーソナリティ、ビジュアル、何に対して生きがいを感じるか、何をしているときに自分は輝くのか。これらのことに対して、自分ではどう感じているのか、客観的な意見ではどうなのかということをデータを収集した上で、自分なりに分析し対応していくことも大切だと思います。

次に、歌手は作詞作曲、楽器演奏ができなくてはダメなのかという質問についてです。結論から言うと、できないよりもできたほうがより幅が広がるだろうと思います。だからと言って、できなくてはダメということはないと思います。むしろ、歌、作詞、作曲、楽器演奏をそれぞれ中途半端にするくらいなら、歌い手としての資質を確かなものにしていくことの方がはるかに重要だろうと思います。

大切なことは、「〇〇しなくてはならない」という義務感で行っているうちは、あまり望ましいものにならないと思います。それよりも、より歌を上手になりたくて楽器をやり始めたら、楽器も弾けるようになって楽しくなってきたとか、詞や音楽が閃いたから、作詞をしてみたり、作曲の勉強をしたいと思うようになった、というポジティブな気持ちで臨めるようになるとよいですね。(♭Я)

 

A.オリジナリティについては、まったく考えなくて大丈夫です。基本に徹し抜いた人が、最もオリジナリティに溢れたパフォーマンスをします。これは歌や芸術に限らず、すべてに共通のようです。

私は若い頃に武道をしていましたが、武道の習得の過程を「守破離」といいます。「守」は、師匠に言われたとおりにすること。基礎の訓練に没頭すること。「破」は、習ったことを破ること。「離」は師匠から離れること。オリジナリティに溢れること。「守」が一番大切です。まずは誰かの弟子になって、徹底的に真似しないと、真のオリジナリティには到達できません。

私の師匠は日本から20代で留学してから生涯を終えるまで、音楽の本場ウィーンで暮らしていました。「個性的な芸風」と讃えられ、生涯第一級の音楽家として、弟子を育て続けた師。レッスンでおっしゃったことがあります。「俺が個性的だって。俺はウィーンではガイジンだから徹底的に習おうと思った。ウィーンで師匠に習った伝統を徹底的に守っているだけだ。みんなは俺ほど伝統に忠実ではない。だから当たり障りのない演奏になるんだ。俺は伝統を知り抜いているから、どこまで壊していいのかかがわかるんだ。」

よく「オリジナリティ」とか言って、見た目を派手にした人がいますが、内容がなければ一瞬で終わります。

ゲーテ「派手なものは一瞬光り輝くだけだ」

ガンジー「本当に大切なものはゆっくりと進む。」

地道にトレーニングを続けていきましょう。

歌手は歌手です。音楽に限らず映画や本や絵画やスポーツなど、インプットのすそ野は広げたほうがいいですが、特に作詞作曲、楽器がマストとは思いません。(♭∴)

 

A. 努力が足りない人に限って、しきりにオリジナリティがどうこうという話をしたがります。やたらと「自分は人と違う」「私は変わり者だ」「ぶっ飛んでいるとよく言われる」といった謎のアピールが多く、肝心の歌や中身が薄いことが多いです。

必要なのはたくさん勉強して練習することと、よいものを見たり聞いたりするインプットによってセンスを磨くことです。それができていればオリジナリティは自ずと萌芽します。

「人と違う」ということを目標にすると、方向を間違えます。それは結局他人を基準にしているにすぎないからです。レベルの高いものに触れて審美眼を鍛えながら己を高めていくことによって、気づいたら唯一無二の存在になっている。それがオリジナリティだと私は考えます。

作詞、作曲、楽器は必須ではありませんが、できないよりもできる方が豊かです。歌について立体的な視点を与えてくれるからです。作曲と楽器についてはハードルが高いかもしれませんが、作詞なら専門知識がなくとも取り組めるかと思います。言葉に対する鋭敏な感覚を養いましょう。(♯∂)