A. 筋トレと聞くと、どうしても激しい動きを想像してしまいます。息が上がるような動きや息を止めてしまうものなど、動きの程度によっては逆効果になってしまう場合もあります。なぜなら、「歌うための身体」は運動するときの身体とは違う動きをするからです。筋トレをする=歌いやすくなる、という単純なことではないのです。
たとえば、一般的な腹筋・背筋の筋トレをした場合、瞬間的にギュッと力が入ったり、息を止める瞬間があったりします。もし歌う際に同じ状態になったとしたら、どちらも力みとなって歌の邪魔をしていまいます。その他の動きに関しても、息が上がるくらいの状態になった時点で、それはもう歌のためというより身体の健康維持のためのものと思ってください。歌うときは身体全体がうまく連携をとり、それぞれの部位がしなやかに動くことが理想です。鍛えるというより「動きやすくする」ことを求めたいです。ここでは細かい方法については割愛しますが、歌に役立つトレーニングとは、総じて身体の動きも呼吸も穏やかなものになります。