発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3420.レッスンノートの書き方に、アドバイスや注意点はありますか?

A.以前に、レッスンは録音を取るだけでなく、ノートを作ったほうが効果があがりやすいというお話をしましたが、具体的なことにはふれませんでした。実際、メモ好きな生徒さんは、録音だけでなく、メモを取ったりもしていらっしゃいます。しかし、現実問題として、限られたレッスン時間の中で、わざわざメモを取るのは、レッスンの時間をむだに使うようで、あまりお薦めはできないのです。では、ノートは作らないほうがよいのかというと、そうではありません。レッスン中にノートを作成するのではなく、レッスン後に、その録音を聴きながら、あるいは、思い出しながら、ぜひノートを作りましょう。形式は、自由です。皆さんそれぞれに、好きなように工夫をして、作るのがよいと思います。また、レッスンだけでなく、自主トレーニングのノートも、ぜひ作成することをお薦めします。むしろ、自主トレーニングのノートのほうが、役に立つかもしれません。では、何を書けばよいのか、そこが一番、むずかしく感じられるかもしれません。
先生のことばで、あるいは自分自身のことばで、注意をうけたこと、ほめられたこと、などをメインに書いていきましょう。ポイントは、よく自分を内観することです。
そして、年月日の日付は、かならず記入しましょう。
また、その日のレッスンメニュや自主トレのメニュも、できれば記載したほうが、あとでノートを見直したときに、さまざまなことを想像・理解するための助けになります。欲をいえば、レッスンや自主トレの時刻や、その日の天候、自分の体調、睡眠時間と時刻、仕事や学校の時刻なども役に立ちます。
では、どのようなノートに書けばよいかということですが、私がヴォイストレーニングを受けはじめたころは、まだ一般庶民にはワープロも普及しはじめる前だったので、当然、紙のノートしかなく、B5版のノート(いわゆる大学ノート)に、もちろん手書きで作成しました。そのきっかけは、もともと、最初に師事した声楽のトレーナー(東京芸術大学の先生でした)が、大学ノートにその日のレッスンメニュや注意事項などを書き込んでくださり、レッスンのたびに私がそれを自宅から持っていって、先生のピアノの譜面台にセットし、レッスン終了後に受けとって、持ち帰るというシステムだったことです。その目的はもちろん、生徒さんが多いために、先生自身が、生徒さん全員のレッスンの進み具合などを記憶・把握できないためのサポート、という側面も大きかったのですが、とてもありがたいノートに感じられました。
そんな大切なノートですから、いつも、先生のなぐり書き(レッスン中に大急ぎで書いてくださるので、それはさけられません)を、眺めているだけでした。ところが、いつの頃からか、なにげなく、自主トレ用に別のノートを作って、自分で書きこむようにしたのが、そもそものはじまりでした。最初のころは、発声やら呼吸やら支えやらで、自分としてはうまくつかめたと思ったことを、なんと表現して記入したらよいかわからず、四苦八苦しましたが、しだいに、そのうまくできたテクニック全体を、ひとつのイメージとして自分に確実に定着させることがもっとも重要なことなので、それほど適切な表現でなくても、あまり問題にはならないということがわかってきました。それからは、自由に書きとめることができるようになったのです。
このように、私は、紙のノートを使う選択肢しかなかったのですが、今のみなさんは、後々の閲覧・検索・保存のためにも、ぜひ、デジタルで書き残すことをお薦めします。パソコンに入っている基本ソフトのノートパッドや、ワープロソフト、表計算ソフト、あるいは、データベース作成ソフトも、使いやすいかもしれません。
私の自主トレノートは、その後いつまでつづいたのかというと、実は、今でも、ほそぼそと書きつづけています。もちろん、紙のノートではなく、携帯電話のメール機能を使っています。それは、いつでもどこでも、自主トレをしているとき以外でも、ほとんどどんなシーンにあっても作成できるという便利さのために、選択した方法です。 (♭Ξ)