A.プロの歪んだ歌と、素人の歪ませた歌とは違います。歪みを真似たものは最悪です。他人の歌からは大いに学ぶべきですが、真似てはなりません。盗むべきは全く別のところにあります。歌の大きな流れのなかで、いろんな動きが生じます。それを多様に認めつつも一つひとつについては具体的にチェックするのです。 自然に変ずるのはよいのですが、毎回、全くコントロールされずにバラバラになるのではだめです。一定のパターンの上に自由さが出てくるようにしたいものです。最初から自由なのは結果として不自由な独りよがりになります。 プロは、ときに意図的に歪ませます。素人はときに歪んでしまいます。これも細かくみると同じことを細部にわたってコントロールする力がないことが原因です。ですから、歪んだからとか、歪まないからと発声でみるのでなく、歌という作品で、それぞれ何がどのように起こっているのかを、その感覚や発声の働き方を充分にチェックすることなのです。(♭π)