発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q4310. 深い声を出すには、どういうトレーニングをしたらよいのでしょうか。たとえば、滑舌をよくすることや、舌を鍛えること、顔の筋肉を鍛えることで、声が深くなったりするものなのでしょうか。(5)~(8)

.深い声を出すには、声の響きを深くすることです。が、一歩間違えると非常に喉に負担をかけるような悪い発声の方向に陥りやすい一面を持っています。というには、深い声と太い声を勘違いしやすいからです。日本人の声は、大抵の人がテノールかソプラノの声です。ですので、まずは先入観に囚われず自分の本来の声を見つけて、磨いていくことが一番大切です。声の響きをどんどん作っていけば、おのずと生声よりも深くて柔らかい声になっていくはずです。

滑舌を良くするには、下あごから舌根の辺りの力みを取ること。これが一番効果が現れやすいです。声がもこもこしていると、何を言っているかわかりません。それから、子音を意識的にしっかり発音することです。例えば、距離が遠いところにいる人に話しかけようと思ったら皆さんはどういう風にしゃべりますか?!お腹から精一杯の声を出すだけでは伝わらないですよ。子音を意識的に前に飛ばしたり、NMを時間をかけてしゃべらないと母音しか聞こえません。これも踏まえて、頭声発声に役立てると良いです。(♯Δ)

 

.深い声にこだわる必要はないと思います。深くしようとすることで、喉に不要な力が入り、不自然な声の響きになることがあります。そうではなく、声が薄く浅くならないように横隔膜を使うことを訓練すると良いと思います。(♯Λ)

 

.声は息の流れに乗って外に出ていくので、深い声を出すには深い息、深い呼吸が必要です。これは深い声に対してだけでなく、発声全体にとっても必要なことです。

レーニングのひとつの方法として、椅子に座り膝を抱えるようにして上体を倒した状態で呼吸をしてみてください。立っているときよりも背中に息が入るのが感じやすいと思います。

1)この体勢でゆっくりと息を吸い、吐くときは背中が膨らんだ状態を保つようにします。

2)ある程度(1)に慣れたら、アエイオウやアエアオアなどの母音をゆっくりと一息で、背中が膨らんだ状態を保ったまま発音します。簡単な音程をつけるといいです。

3)最後に真っ直ぐ立ち(2)と同様のことを行い、同じ感覚にもっていくことを試みます。

お腹だけではなく背中へも意識を広げることで、より深い声に持っていきやすくなるでしょう。また、声の響きをのせたり発音するにあたり顔の筋肉の働きは必要になってくるので、舌も含めて鍛える、柔軟性を持たせるといったことは「深い声」にもよい効果をもたらすと思います。(♯α)

 

.深い声と浅い声の違いをまず知ることです。イメージがないと求めるものの方向性も違ってくるので、イメージをもつこと。深いつもりでもただ胸に押し付けただけの発声ということが多々あるので注意しなければいけないと思います。

滑舌をよくしたり、舌を鍛えてたり顔の筋肉を鍛えても声は深くはならないと思います。これをしたら、こうなる、という機械的なことでは声は変わらないでしょう。ただ、舌や顔の筋肉を適宜使えないと声は変わらないと思いますが、それがイコール深い声、とは限らないと思われます。(♯Γ)