A. 発声のコツや秘訣はないと思います。また私自身、発声を習得したという意識もありません。強いて言うのであれば、自分の体の内側、外側両方の感覚に敏感であるということでしょうか。人間の体、感覚は日によって変わっていきます。ある時とても上手くいったからといって安心せずに、日々色々なことを試してみるのが良いとおもいます。(♯Λ)
A.発声の秘訣を一言で表現するのはむずかしいですが、最初にお伝えしたいのはやはり「息を流す」ことです。息の流れ無しには声は前に進んでいかないからです。声が出にくい、声が止まりそう、スムーズ感がないなど、なんとなくでもこれに似た感覚は皆さんもあるかと思います。そこで「息を流す」ことのトレーニングとして、「呼吸の練習」が非常に効果的です。
地道にコツコツ続けると、確実に発声時に変化を感じ始めます。また、あえて言うならこれは質より量ではなく、量より質です。適当にたくさんやっても意味がありません。しっかり身体を使って息を吐くことで、声は出さずともほぼ歌っているときの状態に身体を持っていくことができるのです。「呼吸の練習」=「お腹の支え」を鍛える練習、と言えると思います。
「お腹の支え」や息を吐いているときの踏ん張りを身体が覚えてくると、あるとき発声練習でも身体が同様の働きをしていることに気がつきます。すると、声が出にくい・止まりそうとは間逆の状態、身体は頑張っているのに声は力みなくスムーズに前に進んでいく、という感覚になります。しかしこれは、ひとたび習得したらそれでいいのではなく、その後も状態を維持するためのトレーニングは誰にとっても必要です。(♯α)
A.うまく声が出ている時はお腹にだけ力を感じ、喉や肩、胸、背中などは気持ちよく伸びている感覚で、声がどこにも引っかかっていないような伸びやかな状態になります。多くの方がいい声を出そう出そうと声を出す練習ばかりしますが、発声のコツは声を出す楽器=身体の方にあります。私自身もかつて早くうまく歌えるようになりたい!と思い、がむしゃらに声を出して練習をしていましたが、調子がいいときは良いのですが、調子を崩し始めると声が出なくなり、そのことに焦って、喉に力を入れて発声をしてしまい、喉に負担がかかるためさらにうまくいかなくなるという悪循環にたびたび入っていました。出てくる音を追うのではなく、自分の体をどう扱ったら良い状態なのかということを正しく理解してください。
うまくいかなかったとき、ある声楽家の先生の指導の下、ストレッチと呼吸法ばかり毎日行なったところ、今までできなかったことができるようになりました。良い声は全身を使って出てくるものですから、身体のどこかに不調があると影響されます。自分の体と向き合い居心地の良い状態にしてください。それが良い声を出せる時の感覚です。(♯Ж)
A.腹背筋の調節と頭蓋骨への共鳴が連動いてると感じたときに、よりよい発声の第一歩を感じました。
アコーディオンを想像してください。音程はさておき、空気の調節によって音量(共鳴)の大小を調節していると思うのですが、そのように喉元・胸元はただ息が通過しているだけでなんの緊張もなく、腹背筋のみの呼吸の調節だけで、ある程度自在に共鳴を調節できる感覚を身につけるといいと思います。体感としましては、下半身(腹背筋)と頭蓋骨が上下に離れていく感覚です。もしくは、下半身が内側から外側へ押し出されていく感覚です。
この下半身(腹背筋)の感覚を身につけるのは簡単ではないのですが、くしゃみをした時、咳をした時、大声で笑ったとき、暖かい息をおくりだそうとしたとき、そして例えるのを遠慮したいのですが、大きい排泄物をしようと気張ったときの下半身の動きに似ています。また、重いものを腰を入れて持ち上げようとしたときの下半身の感覚であったり、日常で自然と行なっていることが多いのではないでしょうか。
以上のような日常の自身の身体の状態を検証して、発声へのアプローチにするのも悪くないと思います。(♭Д)