発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.トレーニングで発声の素地、器をどうつくっていくのか。

Q.トレーニングで発声の素地、器をどうつくっていくのか。

A.私のトレーニングでは、体への一定量の負荷を毎日保つことによって、体そのものを変えていきます。今のヴォイストレーニングにおいては、こういう考え方は珍しいようで、驚いてしまいます。特に変わるのは、声や呼吸に関係する筋肉と感覚です。結果として、声も変わり、より高度な目的にタフに対応できるようにしていきます。

 

Q.声量、声域は、結果であり、目的ではないとは。

A.目的は声を確実に捉え、完全に扱えるように、その自由度を上げていくことです。歌唱やせりふ、表現に対し、イメージしたデッサンをまったく狂わずに繊細に再現できる声(の条件づくり)と、その使い方の習得といえます。

Q.レッスンの目的は。

 

A.私の行なっているレッスンは、「オンする」ことを目的とします。「オン」とは、全く異なる次元での感覚で声を出せるようにすることです。スポーツにおける「ランナーズハイ」や、「ゾーンの状態」に例えるとよいかもしれません。これまでと全く違う感覚で声が出るようになるために、体や呼吸から根本的に変える必要があるのです。(「状態」でなく、「条件」を変えると述べています)発声の次元を変えること、異なる感覚、異なる体を求めるのがレッスンです。

 

Q.声を、どう区別するのですか。

 

A.私は、次の6つでみています。

 

 

 

A.よい状態の声(今の中でのベターの声)

 

B.まあまあの安定した声(よい状態で、それなりに出している声)

 

C.よくない状態の声(体調、気力、のどのよくない声も含む)

 

D.くせ声(よくない状態で固めた声、高い音や大きい声を出すための声)

 

AA.一歩上の声

 

AAA.あなたの最高の声(潜在的、可能性を活かし切った声、条件が整ったのちの将来のベストな声)

 

Q.トレーニングは底上げとはどういうことですか。

 

A.長年のトレーニングは、調子を崩しても、ある一定レベル以下には落ちないという、底上げをしてくれます。

 ただ、レッスンでの気づきと次元のアップを連続して起こさないと、単に安定させたいがためになります。限界への挑戦、最良状態に絞り込み、可能性を拡げることになります。

Q.ステージではトレーニング中の声(発声)でせりふを言ったり、歌わなくてもよい、そのまま使うべきではないとは。

 

A.トレーニングは、何かの目的のために強化、調整するのであり、せりふや歌はステージ、トータルとしての作品です。問われるものが違います。

 

レーニングは、意識して、ある部分を強化していくものですから、そのプロセスにおいて副作用(全体のバランスからみて悪い点、アンバランス)が出ることもあります。たとえば、右腕を鍛えたら、左腕も鍛えなくてはなりませんし、上半身が強くなったら、下半身がそのままでは支えられません。バランスが崩れては補強、また崩れたら補強を繰り返して、全体の器を大きくしていきます。(バランスをそのまま取るというだけでは、器はいつまでも変わりません)つまり、常に崩れること、下手になることを恐れてはならないのです。

 

 

 

Q.目的は、いくつ必要ですか。

 

A.次の4つの関係と、それぞれにおける今のあなたの目的と違い、しっかりと捉えておきましょう。

 

1.ステージ  2.レッスン  3.トレーニング  4.日常での生活

 

Q.目指すべきフレーズは、どんな「デッサン(色と線)」ですか? 

A.もう一度、プロローグ(P8)のフレーズで聴いてみてください。それで次の5つを考えてください。

 1.イメージしたもの

 2.イメージ通りにできたか (できたところでできないところ)

 3.伝わらないところはイメージのミスか、声のミスか

 4.声のミスなら、声でクリアするか、イメージを修正するか

 5.イメージを修正するとしたら、一時的に処理として使い実力がつくまで待つか、自分の力や個性相応に新しいイメージに変えるか

(サンプルは、rf

 

Q.好き嫌いで判断したいと思うのですが、だめですか。☆

 

A.そうするのではなく、せりふは表現、歌は音楽としてすぐれているかどうかで聞きます。歌に完成形はありませんが、その人の可能性を問い、レッスンの目的とするイメージを作るのです。このイメージを作れるか、さらにこれを相手に促しつつ、共有できるかどうかが、レッスンの質を決めます。

 あなたの持っているものをすべて使い切って、今までになかった絵(デッサン)を見せてくださいということなのです。これで「あなたの魂のすべて」というくらい、完璧に、完全に、描いてみてくださいということです。

 

Q.レッスンは何をするものですか。

 

A.それは「オンする」ものです。声にもセリフにも歌にも、これまでその人が出したこともなかった何かを「オンする」、つまり次元を変えてしまうほどのことを、私は求めています。これには声の状態だけでなく、集中力も気力も最高のアスリート級のものが求められます。自己管理への考え方などにもそれは通じます。(♭)