発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.日本の声楽の限界や日本の歌のふしぜんさを、どう考えられていますか。☆

A.声楽家に対して、持つ声のイメージというのは、日本では必ずしも的を得たものではありません。実際の歌手への発声も本場のオペラ歌手とは、やや異なるといってもよいでしょう。しぜんに自分の中心の声を使うよりも、先生に教えられるやわらかな声に傾く人が多く、ドラマチックな迫力がなくなってきました。それが時代の要請とともに、日本人の限界を見据えた処方だったとしたら、まさにポップスと同じことが起きたといえるわけです。

本場のものをみたことのない人は、日本人の弱く美しくやわらかい音色に対し、向こうの迫力にびっくりするかもしれません。一説には、その人の体の中心の声を伸ばすイタリアと、師のコピーを徹底するドイツの違いがあるそうです。そうであれば、日本の声楽が後者になっていくのはよくわかります。私は前者の立場をとっています。(♭)