A.歌唱でも、高音のトレーニングになると表情筋まで関わるので、ひびきも前に出て、発音も明瞭になります。低音トレーニングは、深い声、芯のある声になりますから、声そのものを支えますが、そのまま発音にはあまり絡みません。しかし、これがあってこそ高い声も活きるのです。事実、本当の高い声の支えは太ももにきます。
ですから、体力づくり、体の柔軟、呼吸筋、表情筋のトレーニングをしておくとよいでしょう。
実際に大きな声で外朗売りや早口ことばで、のどを疲れさせるより、効率のよいトレーニングとなることもあります。役者やアナウンサーは、長年にのどをことばで酷使することで、声が鍛えられることもあるのです。そのリスクを減らしたのが私のヴォイストレーニングなのですが。
こうしてみてくると、発音のための滑舌トレーニングは、20パーセントくらいの要素で、それを長く大きくやり続けることで、体や感覚が巻き込まれていき、50パーセントくらいの要素のトレーニングが伴うと思えばよいのです。ですから、ときに「外朗売り」のトレーニングでも、正しい早口の発音だけに、最初からこだわるアナウンサーより、声の流れやメリハリから表現していく役者の方が、より表現力のある声を得られるのは当然でしょう。(♭)