A.朝起きて、声を出すと、かなり声が出し難いことに、驚いたことがある人は、少なくないでしょう。はじめは、喉の調子が悪いのかと心配したこともあるかもしれません。しかし、ストレッチや呼吸練習など、いろいろとウォーミングアップをした後は、声が出やすくなることは、実感しているでしょう。また、少し声を使い続けていると、さらに出しやすくなっていくことも、わかると思います。
ですから、歌う仕事が長時間になることが判っている場合などは、あまりウォーミングアップをせずに、歌う最初の一時間ほどを、ウォーミングアップ代わりにする声楽家も少なくありません。
はじめのうちはベストの声は出せませんが、逆に仕事の終盤に、喉の疲労の影響でベストの声が保てず、無理な発声になってしまうよりは、安全だからです。それでも、全く何もしないのでは、逆にいつもの声にしようと、喉が無意識のうちにがんばってしまったりするので、声を使わないウォーミングアップだけは実施して、ベストの声ははじめは出ないことを、肝に銘じてがんばらないようにするのです。そのうちに、声はとても出しやすくなってきますが、ここで調子に乗ってしまうと、よい声は出ても、最後まで続かない可能性もあるので、うまくコントロールすることが大切です。(♭Ξ)