A.日本人の日常会話は、口蓋も低く、口もあまり開かず話せてしまいますね。外国人が日本人の話す音声を真似すると、やはり平べったい音を真似して発します。ここから、歌の声に作っていくには、やはり、それなりの努力で楽器として有効な状態に仕上げていかなければならないと思うのです。
口蓋を上げる、後頭部の空間を広げるということをまず習慣づけて、歌うときの指針になさるといいと思います。ある有名なテノール歌手の自伝に、とても興味深い言葉があります。「すべての母音にオの音が入っているように歌うこと」。「あいうえお」を発するとき、日本人はとかく、口の表面はよく動かし、しかし口の中はあまりスペースを作らず、平たいペチャっとした音声で発音しがちです。これを、全ての母音に「オ」の音声の要素を入れて発音してみてください。自然と口の中が丸くなりませんか。自然に口蓋が高くあがりますね。この状態に加えて、後頭部の空間を意識してみてください。頭蓋骨回りの空間を広げることで、共鳴腔が確保され、ペチャっとした声が無くなっていき、丸みの帯びた音声になっていきます。(♯β)