発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.上達の早い生徒さんをみて、上達のコツを教えてください。(7)~(13)

A.上達のスピードも人それぞれで、早ければいいかというと一概にはそうとも言い切れません。時間をかけても一つずつじっくりと自分のものにしていく方もいます。時間がかかったからといって決して自分が悪い、向いていないとは思わないでいただきたいのですが、上達が早い方の傾向として「器用な方」、「もともとの身体の癖が歌に向いている方」などでしょうか。
逆に少し時間がかかる傾向にあるのは、「今まで自己流で自分の歌い方を貫いてきた方」、「本やインターネットでヴォイストレーニングについての知識を勉強しすぎて混乱している方」に多いかと思います。
自分自身にも経験があるからわかるのですが、時として今まで一生懸命やってきた自分のやり方や知識を手放すのが怖く、トレーナーにいわれたことや、他の人からのアドヴァイスを素直にきくのが辛くなってしまうのです。
しかし、これらの方もやはり勉強してきている地盤があるわけですから、レッスンを機に軌道修正をすれば、あっという間に上達する可能性があります。素直さと、柔軟性そのふたつが上達への近道だと思います。 (♯Ж)

A.指導者からのアドバイスは、大きく分けて2通りのものがある。1つはすぐに改善できるアドバイスであり、もう1つは改善に時間のかかるアドバイス。そして、アドバイスする方もされる方もそのアドバイスがどちらに属するかは、概ね共通して理解するのではないかと思う。
一般的な例でいうと、、、姿勢を正して声を出す・ロングトーンを最後まで気を抜かない・フレーズの頭を強調するなどは前者。
背筋を使って声を上から前面に回して高音を出す、歌詞を語るように歌う、舌根の力を抜くなどは後者。
改善に時間のかかるアドバイスに関しては、ここでは問題としない。
問題としたいのは、すぐに改善できるアドバイスに関してのことです。
生徒さんと接していてよく思うのは、アドバイスして1度できたことが、2度目3度目にできていなかったり、次の回の時にすっかり忘れていることが多いことだ。また、すでにできるはずなのに躊躇してできないことも多い。
こちらから側の見方がすべてとは言えない。生徒さんに聞くと、違う課題に取り組んでいて、先ほどのアドバイスを忘れていたなんてこともある。
私は昔から指導者(演出家)から出されたダメだしは、次演じるときには120%増しで実践するようにしている。時にはやりすぎて周囲から失笑をかうこともある。これは私は計算の上で大げさにダメだし解消に励んでいる。
大げさにダメだし解消に努めると、まず指導者が安心する・喜ぶ、周囲にも愛される、そしてなにより自分自身の体に染み入るのである。そして毎回、ダメだしされた箇所に来ても意識できるようになるのである。
プロに世界では「3回同じダメだしを受けたら、次はないと思うといい」と言われる。それくらい指導者からのアドバイスは重いのだ、そう思って毎回のレッスンに臨むといいのかもしれない。(♭Д)

A.歌に限らず、どんなことでもそうだと思うのですが、素直であることだと思います。人の話に耳を傾けること、素直に聞き入れて、まずTRYしてみることです。
これまでの自分の経験から、トレーナーの言うことが違ったり、自分の知識と正反対であったりしても、逆らわずに聞き入れ、挑戦することが大切です。そして信頼できるトレーナーを見つけ、そのトレーナーを信じてついていくことです。疑い深い人、自分のやり方、主張を曲げない人は、なかなか伸びません。
疑問、質問がある場合は投げかけてください。
そうすることによって、トレーナーは生徒さんたちが何を悩んでいるのか、何が分からないのか、どこでつまずいているのかがわかります。
次に、真似ることです。「学ぶことは真似ること」ともいうように、トレーナーの一挙一動を見落とさず、聞き逃さず、そして声や身体の使い方を盗んで真似ていくのです。
予復習をしている生徒さん、レッスンを録音している生徒さんは必ず伸びています。(♯Å)

A.上達の早い生徒さん達に共通していることは、アドバイスを先入観を持ったり、頭であれこれ考えたりせず、吸い取り紙のように言われたことをそのまま受け止められ、練習をされています。
先入観を持ってしまうと、アドバイスの内容を自己流に解釈して、違って受け止めてしまうこともあります。頭であれこれ考えるというのはよいことのようですが、自己流の解釈になりがちです。
これはかつて自分自身がやってしまっていたことです。歌は頭脳で行うものではなく、感覚的な部分がとても多いと思います。感覚的なことを頭で理解しようとすると、今までの自分の経験をあてはめてしまい、今まで経験したことでない場合、指導者が伝えたいことに到達できない場合があります。
上達が芳しくない生徒さんの多くは、近道で上達しようという気持ちを強く持ち過ぎているように感じます。近道をしようと頭で色々考えてやることで実践することがおろそかになり、上達を妨げているように思います。(♯μ)

A.まずは考え方の柔軟さ、想像力、そして好奇心が上達のコツと言えると思います。あくまで体が楽器ですので、歌を歌ったり声をだしたりすることに対するレッスンでは、その楽器を作り上げていくという作業だといえると思います。
そして教える側の楽器の感覚はあくまで感覚でしか教わる側に伝わりません。同じ結果が出ても同じことをしているとは限りません。体の中は実際に目に見えません。どうすればいいかはあくまで生徒さんの考え方の柔軟さと想像力にかかってきます。また、本来声を出したり歌を歌ったりすることは楽しいこと、気持ちのよいことですから、常に好奇心をもってそれを追求する姿勢が大切になってくるのではないかといつも思っています。(♭Ч)

A.人によって様々な個人差がありますが、全体的に共通して言えるのは、何よりもまず「素直」であるということです。今の自分と真っ向から向き合っています。レッスンでは時として耳が痛いことも言われるかもしれません。それを今の自分の実力と認識して足掻ける人は成長します。
変なプライドを持っている人ほど回り道をします。そういう人の多くは、「自分はここまでできている」、「できないのは今だけだ」、「教え方が不十分だからだ」と逃げ道を作ったり、他人のせいにして、現実の自分と向き合いません。これではいくらレッスンしようが練習しようが、暖簾に腕押し糠に釘ですね。
素直であるといった人を更に細かく見てみると、「レッスンを休まずに毎回出席する」、「真面目である」、「レッスンを毎回録音する」、「指摘されたことを必死に理解しようとする」、「できた時とできなかった時の違いを理解しようとする」、「今回指摘された改善点を、次回のレッスンまでに自分なりに必死に改善して、次回のレッスンに臨むようにする」という特徴があります。
ここでのレッスンは日数が限られており、レッスンの間隔は平均で1~2週間あくわけですから、この期間に元通りになっていたのでは、成長できないのです。
そういった意味でも、レッスンを休むというのは、自分の成長を妨げる大きな要因の一つです。毎回休まずに来る人の方が確実に成長しています。
この期間をどうやって自分なりに処理するかは大きな違いになってくると思います。もし分からないことがあるのであれば、遠慮なく質問することです。分からないままの状態を放って置くのは非常に無駄なことであり、リスクも伴います。
兎にも角にも、自分自身と積極的に向き合ってください。それが効率のよい成長の第一歩です。(♭Я)