発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.レッスンではトレーナーのいわれることがうまくできません。不器用で向いていないのでしょうか。(1)~(7)

A.トレーナーの指示通りのことが、すぐにできるようならば、あっというまに一流になれるかもしれませんが、ほとんどの生徒さんは、なんとなくしかできないものです。生徒さんのその微妙な変化を、しっかりキャッチして、応援して伸ばすのが、私の好きなレッスンの進めかたです。トレーナーによっては、逆に叱咤激励して、伸ばすタイプもいらっしゃいます。昔の先生には、多いタイプで、誰でもへこみますが、不器用は悪いこととはかぎりません。やりたいこと、好きなことならば、四方八方手をつくして、がんばってみましょう。また、実際に全くできていないのかもしれませんが、何回も試行錯誤して、やっとできるようになったものこそ、本当に身に付くものなので、あきらめずにがんばりましょう。(♭Ξ)

A.それは貴方の問題もあると思いますが、トレーナーの問題もあると思います。
まず貴方の問題でお話すると本当にトレーナーの言ったことを正しく実行していますか?既成概念や自分の中の正解で満足していませんか?私の経験上間違った、もしくは分かったつもりで腹式呼吸や鼻腔共鳴などの言葉を乱用している生徒さんがいらっしゃいます。このような人はうまくなりません。自己満足な歌を歌っている人が多いです。あくまでもその生徒さんの現状を見てトレーナーはアドヴァイスすることを決めています。時には本や今まで聞いたこととは違うことも言うかもしれません。しかしその時はそれにしたがって下さい。まずやってみることです。信じてやってみるしかないのです。声は自分で判断できないのですから。
トレーナーの問題でいうと、トレーナーそれぞれ生徒さんに対して向き不向きはあると思います。しかし「トレーナーのいわれることができない」と思われている時点で次の手立てを持っておく必要があると思います。引き出しを少しでも多く持っておいたほうがよいと思います。
例えば高い音を出したい生徒がいたとして、もともと高い音がでるトレーナーと高い音が出るようになったトレーナーでは後者の方が説得力があるわけです。そこにいくまでのアプローチが自分なりにあるからです。
トレーナーという職業は常に生徒の鏡合わせだと思います。生徒の進歩が遅いときには自分の実力がないものだと思ったほうがよいと思います。自分自身に置き換えたとき払ったお金分の満足感は得たいと思うのが当たり前だと思うからです。トレーナー自身に向上心がないと生徒へのアプローチも一本化してしまいよくありません。
やめることより続けることの方がはるかに困難で苦労が絶えませんが、トレーナーはよくしたいと思って貴方にアドヴァイスしているのです。頑張って下さい。(♭Σ)

A.そう思う時こそ、上達のチャンスだと思います。すぐにわかってできてしまうと、それで満足してしまい、練習を怠ってしまいます。しかし、なかなか、うまくできない人こそ、何度も練習することで、確実に身につけることができ、絶対にそれを、忘れることはありません。しかし、苦労せず、すぐに身につけてしまった人は、繰り返し練習しないために、すぐに身につけたことを忘れてしまいます。上達する時期は、人さまざまです。今まで、手ごたえがなくても、求めて、いろいろ練習していくうちに、あるとき、急につかむことができることがあります。そうすると、その後、いろんなことがわかり、目の前が開けることがあります。できなくても、落ち込まないで、少しずつ、努力して、うまく歌える自分をイメージして、信じて練習することが大事です。(♯Ω)

A.レッスンでトレーナーの言われることができないから、不器用で向いていないなんてことあるでしょうか?!
たしかに、不器用な方はこの世の中に沢山いらっしゃるでしょうけど・・・。かくいう私もとても不器用なタイプです。ははは・・・
でも、それと向いていないのは比例しませんよ。それに、トレーナーと生徒さんご自身は違う人間。ということは、身体は違うし、性格も違う。トレーナーが説明していることが共感できたり、解りやすいこともあれば、全然共感できないし、感じ取れないこともあります。それは頻繁に起こりうることなのです。
むしろ、わかりにくくて当然です。なぜなら、喉を開けて声帯を目で見ることなんてできないし、身体だって分解してみることなんかできないし、ましてや、声を響かせる場所だって目で見て、体で触って分かるようなものではないからです。
そこが本当に難しいところでなんです。
私達トレーナーも、生徒さんの体を自分の耳と感覚を駆使して観察して、今まで勉強してきた方法論と照らし合わせて、より合理的に、楽に声が出せる、また歌えるようにする為にどうアドバイスして導けるかに努力しております。ですから、疑問に思うことは、どんな小さなことでもかまいません。どしどし質問してください。質問してくださる内容によって、何に迷っていらっしゃるのか、どういうふうに歌いたいのか生徒さんのご希望が分かることもたくさんあります。質問するのに勇気がいるかもしれませんが、ぜひ気軽に話してください。お待ちしています!(♯Δ)

A.進みの速い方もいればそうでない方もいらっしゃいます。しかし、大切なのは速いか遅いかではなく、着実に身につけていくということです。
レッスンで言われたことをそのまま表面だけ受け取ってはいないでしょうか。発声の技術に対するアプローチは十人十色で、同じことを言うにしても10人のトレーナーがいたら10通りの言い方があると思います。
特に歌に関してはトレーナーそれぞれの感覚や経験からアドヴァイスをすることも多いので、それがダイレクトに伝わりにくく第三者が体現しにくいのも確かです。
もしトレーナーのいうことに疑問があれば質問しましょう。他のトレーナーに質問してもよいと思います。もしかしたら解決の糸口が見つかるかもしれません。
そしてご自身の体の感覚にアンテナを張っているでしょうか。言われたままに声を出すのではいつまで経っても自分のものにはなりません。自分が歌っているときにどこに力が入っているのか、「こうしてみたら何か通るような感じがした」など何でもよいのです。そこから「ではこうしてみよう」と工夫してみてください。間違っていたらトレーナーが修正してくれます。受動的なだけでなく能動的にレッスンに臨んで下さい。(♯Λ)

A.誰一人として同じ身体、同じ声帯の人はいなのですから、課題も人それぞれ、上達具合も人それぞれ、向いている・向いていないと捉える必要はないかと思います。「歌う、声を出す」ことは、楽器である身体を使って行うのですから、誰にとってもなかなか思い通りにはいかないものです。一見器用にされているように見えても、その人なりの苦労は必ずあります。また人それぞれに歌い癖や固定概念があるので、それが邪魔をして身体が思うように反応してくれないのは、不器用とは少し違います。仮にその癖や固定概念がなければもっとすんなりできるはずだからです。
また、同じ説明をしてもトレーナーによって表現が違ってくるので、あなたにとっては分かりにくいという場合もあるでしょう。一概に自分の理解が足りない、不器用だなどと決めつけないでください。うまくできない歯がゆさはあるかもしれませんが、よい状態を求めて取り組むその過程がとても大切で、後々に肥やしとなっていくと私は考えています。うまくいかないときも焦らずに、地道にご自身と向き合ってみてください。(♯α)

A.逆に「器用だからといって、その分野に向いているか」というとそれは違うと思います。器用な人が大成するとは限りません。器用な人は習得が早い分忘れるのも早いという傾向もあります。または、すぐに習得できてしまうので、それ以上深まらない、ということもあります。
不器用で向いていないのか、ということよりも、不器用ですぐにできなくても続けられる情熱があるか、ということの方が大切だと思います。(♯Γ)