発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.歌やその音源からどう学べばよいのか。

A. 大切なのは、音楽的な基本、ここでは楽理よりは、歌の中の音楽として成立する共通の要素を入れることです。そして、あなたの声を体の原理に基づいたオリジナルなもの]に戻し、使えるようにしていくのです。そのためには、一流の音楽・歌を徹底して聞くことです。

同じ歌を異なるヴォーカリストで聞くこと、外国人の歌とそのの日本人の歌を聞くこと(日本語訳詞でも)、それらを比べることは、とてもよい勉強になります。(スタンダード、オールディズ、ジャズ、ゴスペル、カンツォーネ、ラテン、シャンソンなど。)

まずは、一流のヴォーカリストの学び方を作品のプロセスから追体験し、しかも彼らの基準においてチェックしていくことができるようになりましょう。彼らが何からどのように学んだかを追うと、かなり広い分野をカバーしていくことになります。

フレージングのコピーは、トレーニングメニュとしても使えます。できるだけ広範囲から、一流といわれたヴォーカリストの作品を集めましょう。彼らの伝記、自叙伝などを読むのも刺激になります。

実際に歌からどう学べるのかとは、それこそ、才能というものです。同じ曲から1つも学べない人も、100以上学べる人もいます。アンテナが1つしかない人と、100以上ある人がいます。レッスンでは、こういうことの重要性を伝え、そのアプローチを試みさせるのが重要なことだと思っています。つまり、アンテナ1本の人に、10本、20本のアンテナの立て方を伝えるということです。

歌の世界では、自分の声を使って進行・展開や構成を音の線で表わしていきます。これを私は、絵画に例えて、デッサンといっています。いわば線を引く=フレージングのことです。そこに色=音色を加えます。

カンツォーネ、オールディズ、ラテンなどは、声で音のデッサンがわかりやすいので、発声・リズムグループも含めた、基本の教材として使っています。

唱歌、童謡は、呼吸と発声フレージング、日本語の勉強によいです。

・演歌、歌謡曲は、日本人の情感表現のデッサンの研究によいでしょう。

声をそのまま大きく使って歌に展開していく段階では、あまりテクニックや効果のための装飾を入れず、ストレートに歌っているものが、材料としてお勧めです。生の声とその使い方のわかりやすい1950~1970年代あたりの作品をお勧めしています。(♭π)

 

A. 歌や音源からは、意外と多くのことが学べます。まず、発声です。好きな歌手がいたら、その歌手が歌っている曲を、聞きまくりましょう。 いろいろな曲を聞くのも、もちろんよいですが、一曲だけでもよいので、繰り返し何度も何度も、聞きましょう。すると、はじめは気がつかなかった、声の出し方や、フレーズによる声の使いわけ、サビでの声の準備など、細かい部分が、少しずつ見えてくるものです。さらに、響きの乗せ方や声を出している方向など、自分の発声にとって役に立つ部分が、いくつも見つかってくるものです。

また、同じ曲を、違う歌手で聞いてみると、曲の歌い方の構成やデュナーミクも、細かい違いも、見えてきます。歌手は生身の人間なので、それぞれの得意な音域や発声法も、似たような声の歌手でも微妙に違います。それに合わせて、歌い方も違ってきます。それを知るだけでも、自分なりの曲へのアプローチの仕方が、見えてくるかもしれません。楽譜を見ながら曲を聞くと、さらにいろいろな発見があり、勉強になります。楽譜が読めなくても、使ってみましょう。耳だけで、繰り返し何度も聞いて、曲の流れや構成を得意な方法に合わせて、画像や音でイメージしていくだけでも、自分が曲に取り組むときの大きな助けになるはずです。(♭Ξ)

 

A. 自分が目指している歌手がいて、その人のフォームや歌い回しをコピーしたいという目的ならば、その人の音源や動画をできるまで視聴して細部まで真似をするのは1つのパターンを学ぶ機会となりえるでしょう。私は同じ曲を複数の人が歌っているものを自分なりに、違いや分析を行うことで歌い回し、発声、発語、間などを学ぶことができると思っています。

ドイツのバリトン歌手フィッシャー・ディ-スカウなどはシューベルト作曲「冬の旅」という曲集を各年代で違うピアニストで録音し、その数は10を超えています。その年代、経験、知識量で変わる歌い回し、違うピアニストで起こるセッションの違いを聞くことができます。

または自分の録音を名歌手たちと比較して聞いてみてもいいでしょう。そうすることで自分と名歌手たちとの違いが鮮明になります。

一人の歌手の同じ曲で違う録音を聞き比べたり、同じ歌手の若い頃の歌とある程度年齢を重ねてからの録音の違いなどを聞き比べてもいいでしょう。

私が尊敬しているイタリアの歌手は70歳を過ぎても現役でミラノ・スカラ座で主役を歌っていました。彼の若い頃の録音もたくさん聞き、70歳を過ぎても維持している音色やフォームをよく視聴しています。そして同じ曲を他の歌手でも聞き比べます。

今は昔と違い動画配信で過去から現在の多くの歌手を聞き比べすることができます。これはとても素晴らしいことです。以前は自分でお金を払ってCDやレコードなどを買わなければいけなかったので、数も限られてしまうことがありましたが、今はそうではありません。逆に情報量が多すぎてしまうというデメリットもありますし、流行の時間が短いという問題も大きいと思っています。その意味では長期の目線で声を育てるということが難しくなっているとも言えます。時代が早く過ぎている今だからこそ、自分の学び方やスタンスを明確にしておくことが重要だと考えます。(♭Σ)

 

A. ここでは他の人が歌う「歌」が入った音源からどう学ぶのか、ということでお話を進めます。ひとつの曲に対して、歌い方に正解があるわけではありません。たとえ同じ曲でも、歌い手によって歌詞の捉え方や表現は違ってくるものです。音源を聞くことで、この歌い手は自分とは異なった捉え方をしている、そのような表現もあるという発見をすることは、自分の「歌」に対して大きな糧になります。たとえ細かいことがわからなくても、この歌を聞いたときに圧倒的に感動したとか、大きな衝撃を受けたというのも体験としての学びがあります。

そしてもちろん、技術的にもヒントを得ることができます。例えばテンポが速い曲が苦手という場合は、その曲の音源に合わせて歌ってみると、いかに自分のフレーズ感が遅れていたかに気づけます。また、アカペラだとその遅れを自力で改善するのに比べて、音源のテンポが指標となって声を引っ張ってもらえるので、これまでよりも声をどんどん進めていく方向に持っていけます。このように、自分に対象物(歌が入った音源)を提示することで、自分の歌をより客観的に捉えることができます。

(♯α)

 

A. 習うより慣れろ、学ぶより真似ろ、といいましょうか。とにかく、耳に理想の音を入れてからでないと、どこを目指してよいかわからないと思います。まずは名演といわれる音源を聞きまくって、頭の中に、いい音の経験をたくさん入れておきましょう。いつの間にか、自分が歌うときに、この曲はあの歌手の声の出し方を真似てみよう、この雰囲気の曲はあの歌手のあの曲で行こう、など引き出しが増えるわけです。自分のオリジナリティだけでやるには限界があります。先人の素晴らしい歩みを利用しない手はないです。

声の出し方も、理屈で学んでいくより、耳で聞いて感覚的に出していくと、案外すんなり到達することもあります。まして、外国語の歌を歌うのなら尚さら、耳から学ぶことは、大切です。

まずは、たくさんの名演を聞いて表現、技術、両面から真似していくことでしょう。(♯β)

 

A. いろいろな参考資料として聞くようにしてみる分には活用できると思いますが、ただの「歌マネ」になってしまわないように注意が必要です。持ち曲としているアーティストを聞いてみるのもよいですし、同じ曲をカバーしている違う人の演奏を聞いてみるのも、同じ曲を違う視点で見ることができて勉強になると思います。最終的には「自分としてどのように歌いたいのか」ということが大事になると思いますが、そのために客観的に曲を知るという意味で、音源と向き合ってみてはいかがでしょうか。

歌手によっての歌い癖というのはマネしたくなるポイントだと思いますが、そのような部分にはできるだけ影響されないようにしましょう。まずは自分なりに歌詞と音楽と向き合った上で、ほかの人はどのように歌おうとしているのか、伝えようとしているのか、どのように聞こえているのか、などを分析するための客観的な材料として活用できるとよいでしょう。(♭Я)

 

A. 「耳で聞いて歌を学ぶにはどうすればいいか」ということだと思います。2つの要素があります。1つめは「量のインプット」2つめは「質のインプット」です。

まずは「量のインプット」に関して。これは文字通り、聞きまくる、ということです。ライヴ、音源、映像問わず、分野問わず、好き嫌い問わず、とにかく聞きまくるのです。私は音大生時代、たくさんのオペラを、楽譜でも勉強したし、音源、映像でも図書館にあるものを片っ端から見ていきました。そのうちに、バッハに「カンタータ」という曲種があることを知りました。私が好きなのはプッチーニヴェルディワーグナーなどのロマンチックなオペラで、バッハなんてあまり興味がありませんでした。でもなんとなく「これは聞いとかなければいけないのではないか」と思い、まったく面白くもないと(当時は)思ったし、必要なわけでもなかったのですが、「バッハカンタータ全集」の音源を借りて、楽譜と対訳も借りて、にらめっこしながら朝から晩まで一週間くらい聞き続けました。これに意味があったかはわかりません。しかし、何か「伝統」というものを背負えた気がしています。

「質のインプット」とは、1曲か2曲を聞きこんで、完全にコピーしてしまうことです。歴史的世界的で、しかもあなたの好きなヴォーカリストの音源がよいでしょう。息遣い、伴奏からのずれ、リズムの伸び、すべてを覚えて真似してみることです。最低でも100回は聞いてみてください。(♭∴)

 

A. 学び方に正解はありません。ですが、聞いてどう感じるかは、重要です。

この感受能力は自分の経験や知識量に比例します。つまり、全然知らない音楽を聞いてももピンと来ないものですし、少しはかじったことのある分野なら、その優劣を測ることは曲がりなりにも可能です。要は自分の中に物差しがあるかないか、です。

もしも物差しがあるなら、よいところは真似をし、よくないところは何がダメなのか分析します。真似できないほど高いレベルなら崇めるなり長期スパンで目指すなりすればいいと思います。

物差しがないなら、簡単なチャートを作ってみるのはいかがでしょうか。好き⇔嫌い、明るい⇔暗い、力強い⇔繊細、踊りたくなる⇔じっくり聞きたいなど、感覚的なもので充分です。よくわからなくても構わないので、それぞれ5段階ぐらいで評価してみましょう。だんだん物差しができあがってきて、学べるものが増えるでしょう。きっと音楽を聞くのが、もっと楽しくなります。

しかし、この物差しで正確に測れるのは、今の自分より低いレベルのものだけです。自分より凄いものは、ただただ凄いとしか計測できないのです。それはそれでいいのではないでしょうか。全部わかってしまったら、きっとつまらないですから。(♯∂)