A. 人によって、また、得意不得意によって、取り組み方は違うでしょう。私の場合は先ずメロディーの音取りをします。楽譜を見てメロディーを階名読みしながら、音程を確認していきます。ここでいきなり鍵盤楽器などを弾いて、音取りをする人も少なくないかもしれませんが、その方法だと、鍵盤楽器などで音が出せない場合に、音取りができなくなるので、音叉などでメロディーの開始音を確認して、頭の中で音を鳴らしていきます。急を要する場合は、ハミングなどで実際に小さな声を出しながら、確認する場合もあります。これを何度も繰り返し、メロディーの音程を頭に染み込ませます。どんなに簡単なメロディーでも、頭に染み込んでいないと、実際に声を出したときの様々なアクシデントに、喉が対応し難くなるからです。
これができたら、歌詞を付けて歌えるようにしていきます。歌詞だけを、何度も朗読する人もいます。発音し難い歌詞や、不慣れな言語の歌詞の場合は、音程を付けず、歌詞だけでリズム読みをするのも、効果的です。不慣れな歌詞で、いきなり歌ってしまうと、喉に無理をさせて、発声をゆがませたり、喉を無駄に疲労させる原因になります。歌詞を付けて歌えるようになったら、楽譜をよく観て(伴奏の部分なども隅々まで)、曲の分析をします。ここまで進めば、あとは発声の微調整です。どんなに楽に歌えているようでも、不慣れな曲では、わずかな無理や無駄を、喉に強いているからです。実際に何度も歌って、効率のよい発声に、調整できてきたら、完成です。(♭Ξ)
A. 単純に最初から最後まで歌いきれるかどうかを考えましょう。それが歌いきれなかったとしたら、考えられることはいくつかありますし個人差ありますが大抵は以下のようなことが考えられます。
1.喉周辺の筋肉、胸、おなか、口腔内、舌などの過剰な力み
2.技術不足
3.歌手の本来の音域を超えたところで歌っている。
4.体力不足または心身の体調不良
などです。4はまずは体調をととのえることが重要なので、ヴォイストレーニングとは少しジャンルが変わってきます。3に関してはカラオケの場合無理に原曲のキーで歌おうとせずに自分の出しやすいキーを見定めて歌うことが重要。トレーナーがいる人はトレーナーに自分の適切なキーや本来どのあたりの音域が自分にとって出しやすいかを尋ね、知っておくことが重要。
1、2ともに自分で考えすぎないほうがいい分野です。ヴォイストレーナーに指導を受け、客観的なアドバイスをもらいながらトレーニングしたほうがいいです。1、2は感情論や根性論ではなく技術が必要な部分です。本来、技術があるからこそ自由な表現が可能なのです。声の分野は自分を客観視するのがとても難しいので専門家とともに少しずつ体の使い方、呼吸、声門閉鎖などをしっかりと体に覚えこませましょう。(♭Σ)
A. マスターしたい曲がメロディーも知らない初めての曲だった場合でお話します。いきなり音と歌詞を合わせて歌うことは喉への負担が大きいので当然ですがやめましょう。まず音程やリズムを取った後で、「Sa」「Ma」「Fa」(子音+母音で発音しやすいものがお勧め)などの発音でしっかり声を乗せて歌う練習をします。歌詞をつける前に、シンプルな発音で歌いにくい箇所・高音域のフレーズ・リズムが遅れる箇所などを練習し、身体の感覚を掴んでしまうと近道です。もし音程を取った後ですぐに歌詞をつけて歌っても問題ないですが、その後でいったん上記の練習を行うとよいです。ヴォイストレーニングとして一つ挙げるなら、歌詞の母音部分だけで歌う練習(例:やまのうえ→アアオウエ)は息の流れを促す、レガートになる、フレーズ感が出てくるなど相乗効果があるのでぜひお試し頂きたいです。(♯α)
A. どのような曲をどのような状態でマスターするのかということによって、細かい部分は変わってくるかもしれません。まずは、その曲をはじめから終わりまで歌いきるために必要なことを取り入れていくことが重要だと思います。本番で暗譜の状態で歌えるようにしたいのであれば、音楽的な部分も歌詞も間違えない状態で覚えることが必要になってきます。
声に関する部分では、例えば音域が狭いのであれば、無理した声ではない状態で歌える技術を身につけていくことが必要だと思います。弱々しい声しか出せないのであれば、力まずに大きな声で歌えるようにしていく作業が必要になってくると思います。大枠でとらえて、「本番でどのような状態で歌えるようになりたいか」ということを目標にするとよいでしょう。それに必要なことを各々の状況や能力に応じて取り入れていくということが、練習としてもヴォイストレーニングとしても必要だと思います。
細かい部分は一概には言えませんが、無理のない声で、お客様を魅了する表現で歌えるために必要なことを、レッスンや練習の中で研究して身につけていくというのがよいのではないでしょうか。時間はかかるかもしれませんが、このような部分を目標に取り組んでいくことが最も大事だと思います。(♭Я)
A. あるオペラ歌手は一つのオペラを5000回練習すると言っていたのを聞いたことがあります。オペラの中にはアリアとよばれる、単独で存在する曲もあるので、つまり一曲に5000回歌って仕上げているということでしょう。私自身は本番前、何回歌うかなど考えたことはないですが、体感として、体にその曲が入るのに毎日練習するとして1か月はかかりますし、大事な本番に歌うときには1年くらい練習したものを歌うようにしています。
練習とヴォイトレとのことですが、まずは「イ」の母音を中心に「エ」「ア」など顔の前のほうに響く母音で練習します。全部「イ」のみで練習することもあります。すると、声帯が合わさりやすく、音声を作りやすいからです。そのあとにほかの母音で歌います。それができたら今度は、その歌詞を母音になおしたもので歌います。たとえは「うさぎ追いしかの山」でしたら、「ウアイオイイアオアア」といった具合です。そのあとに歌詞で歌ってみます。
その曲の特徴的な音型で音階練習をしたりもします。こういった地味な練習は、器楽奏者であれば絶対に行っているのですが、歌の演奏家は感覚的な練習にとどまっている人が多いので、おすすめします。(♯β)
A. とにかくたくさん音源を集めて聴きましょう。何時間も聴いて、歌詞やメロディーが自然に入ってくるくらいになったら、歌詞と楽譜を用意します。
次に、たくさん聴いた中から自分の声に合うキーの音源に合わせて歌詞を見ながら一緒に歌います。
少なくとも100回は歌ってください。
その次に、五線紙を用意して楽譜を自分のキーで書き直します。一緒に、音楽の構成や曲の形式を確認します。できればコード進行もこの時に確認します。
最後に、アカペラでも伴奏つきでもよいので自分の歌を録音してチェックします。
すでにいろいろな音源で耳ができているので、自分の歌の間違いなどがすぐに見つかると思います。(♯ё)
A. 最初に適当に楽譜をソルフェージュします。音程を鼻歌程度でよいので、とってみることです。
その行程で曲に対するイメージが難しい場合は、CD、DVD、Youtubeなどから音源を聴いて参考にするとよいでしょう。
曲に対するイメージができましたら、1フレーズずつ練習します。
まずは、歌詞を何度か読み、歌詞に慣れます。
次にゆっくりのテンポでよろしいので、音程をつけず、歌詞と音符(音価)でリズム唱をします。
指定のテンポまでリズム唱ができましたら、初めて音程をつけます。音程をつけてそのフレーズができましたら、次のフレーズへ進みます。
このような段階を経て曲の最後まで進みましたら、曲の初めから終わりまで通してみましょう。何も不都合(途中で音程がとれなくなるなど)がなく曲の最後まで歌い通すことができれば、その曲をマスターしたことになります。
ヴォイストレーニングの観点からいいますと、母音をはっきりいうこと、母音のみでフレーズを歌うことがよろしいかと思います。母音が同じ位置(高さ)で発することができて、子音をつけて歌うとよろしいです。(♭й)
A. 1.その曲を好きになる。(とても大切です!)
2.歌詞とメロディーを覚える。 私はここではフルヴォイスで、つまり自分の一番大きな声、息、体で歌いきることをすすめています。私は表面上をまず作ってしまうことを優先します。
3.歌詞を読むこと、音読して表現して伝えること。ここからはトレーナーとの作業になってきます。レッスンでは歌詞の朗読はかなりのクオリティを要求します。読んで伝わらないものは歌っても伝わりません。
4.ハーモニーと曲の構成を理解すること。これも適切な指導者が必要です。コード展開が肝となる部分はどこか、どこは速めにはしょる、どこは重く伝える、など。歌詞との関連もありますが、音楽理論による裏付けもあります。日本の声楽教師はあまりこのことをいいませんが、例えば、音域があがるにつれて、声を小さくしていくことも、大きくしていくことも、テンポを少し速めることも、遅くすることもあるのです。本来は、歌手の都合ではなく、ハーモニーと構造の理論から、答は出てくるのです。(♭∴)
A. 歌詞を朗読します。ただ読むだけでなく、朗読だけでお客さんに聴かせられるレベルまでです。次に、リズム読みをします。これは、音程は付けずに、旋律のリズムに乗せて歌詞を読む練習です。ただの朗読と違い長短があるので、曲によっては不自然になりますが、それでも自然に聞こえるまで読み込みます。
ここで一旦歌詞は置いておいて、メロディーの練習に移ります。歌詞は付けずに、母音やハミングや階名で歌います。私はひとつの母音で歌うと硬くなりがちなので、アエイ3つの母音を適当に並べて歌います。この段階では、強弱は無視してよいです。歌いづらいところは何度でも。なめらかに流れるまで。
ここまでが下準備です。回りくどい気もしますが、ここまでをしっかりやっておけば、次がとても楽です。
ようやく歌詞で歌うときがきました。歌詞をつけて歌って下さい。もし得意な音域より少し高い曲なら、キーを下げてもいいです。低めのキーで歌えるようになったら、喉や支えは同じ感覚をキープしたまま、キーを上げます。
最後に仕上げ。強弱や抑揚や、少しハズすところなど、思うように色をつけます。
つい面倒で、ここに書いたことと逆の順番で練習したくなります。気持ちはわかりますが、地道に仕上げていくのが結局のところ一番の早道だと思います。(♯∂)