Q.自分がよいと思っている声の高さは合っていますか。
A.実際に聞いてみなくては答えられないですね。その人に合っている高さとして声高があるのでなく、表現から高さや大きさや音色がトータルとして選ばれ、相互の働きの中で決まってくるものだからです。
ただ、発声だけから考えると、大体は、その人が出しやすい高さが今の状態でのよい高さに近いです。ときどき、大きな勘違いをしている人もいます。かなり広い範囲、あるいは極端に離れた高さでもよい声を持っている人もいます。
Q.低い声の練習をしていますが、どうもしぜんになりません。 A.日常の声が高い人、高く使ってばかりできた人には難しいこともあります。よく、新人や若い人がドスをきかせようとして空回りするような、押しつけ、胸に無理に押し当てた声、こもった声、張った声、おとした声にして自己満足に陥っています。これらは、ものまねや若いヴォイストレーナーの見本などによくみられます。とても不自然ですから、まねるともっと不自然になります。 低く出せばよいのではないのです。説得力や信用される声が低い声と言われるのはイメージのことです。説得力のある人の声は低くなくとも低く、太くなくとも太く聞こえるのです。噺家の名人は、男性でその年配相応の声のままの声で、若い女性を演じていますね。 Q.なぜ、話すときは低い声、朗読などでも低い声が好まれるのでしょう。 A.必ずしもそうではありません。瞬時に人の注意をひくときなど、たとえばジャパネットの高田社長の声は決して低くありません。しかし、CMやMCでなく、ドラマや朗読ものでのハイテンション続きでは聞くほうも疲れます。日常生活では日常化した会話くらいの声でよいのです。ただ、舞台は第三者に伝えるために、また、時間も限られているので、メリハリや発音などに加え、しっかりした声である必要があります。